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C2-4 遺跡の盗賊団


 ○ラにするか、ファイ○にするか、はたまたア○にするか。

 一番テンプレなのどれだろう、とかちょっと悩んだり。


 ―――二千年……三千年前とする説もあるらしい、遥か昔に栄華を極めたという王国、の遺跡。

 石造りの家屋や、地下に広げられた住居跡は、意外なほど使用に耐える物が残っており、当時の人々の技術力の高さが伺える。


 当時としても相当な版図を持ち、世襲制の王の穏やかな治世の中にあったらしい王国の記録は、ある日を境にぷつりと途絶えている。

 何かの要因による衰退とも、他国の侵略による滅亡とも考えづらく、その末路については多くの学者を今なお悩ませ続けているのだとか。



 そんな王国の墓地の一つとされるのが、今私の眼下に広がるこの遺跡であり、現状盗賊の根城とされている場所であるそうな。……何ともバチ当たりな話だ。

 まあ、遺跡の学術的価値なんて、向こうの世界ですら理解出来る人間は稀だけども。


 祟られたりしないのかとも思うけど、この世界の幽霊事情を知ってると、少なくとも二千年は経ってるらしい遺跡に霊が残ってる可能性はまず無いんだよねえ。

 憑依やら驚かしやらで延命(?)しようにも、遺跡化するぐらい人通りが絶えて久しいわけで。

 そうなると二千年は長すぎ、というか一ヶ月でもだいぶ厳しい。


 ちなみに墓地といっても国民用の集合墓地ではなく、やんごとなき身分の方用のそれだとか。

 ……ピラミッドですね分かります。広がってるのは主に地下方向だけども。



 地下への入り口がある小神殿……跡地を中心に、石造りの小屋がちらほら。

 ……幾つかは使用感ありますな。現在進行形で盗賊が利用してるっぽい。


 えー、物資の保管庫に、石の屋根の上に建てた物見やぐらに……おお、詰め所っぽいとこまで。

 意外と統制とれてるね、この盗賊団。まあ、この規模なら当然か?



 次はモブ盗賊の強さがどないな感じか調べましょう。

 まあ、私が見たところでそこまで大したことは分からんのだけども。

 精々よく見る冒険者、すなわちG~Eランク冒険者と比べて強そうか否かぐらい。

 んー……たまーにFランク相当なのが混じってる程度かな? 弱えな、オイ。数だけかよ。


 まあ考えてみれば盗賊なんてやってる時点で、まともに働こうとも考えなかった輩なわけで。

 それに対して、たとえランク的には最低から一つ上にあたるFランクでも、そう名乗れるようになった人間ならば努力か才能あるいはその両方が少なからず実を結んだ人種なわけでして。

 並べて比較すればそういう結論が出るのは当たり前の話かな。



 さて最後にそんな彼らのお頭を探します。……地上部分にはそれらしいのがおらんな。

 中央の大き目な神殿(?)の地下かな? ……おお、ちょっと他とは毛色の違うのが居る。


 その辺の盗賊より一回り大きな身体に、これまたデカイ剣。

 丸太のような四肢に、伸び放題の髭に髪。いかにも悪人そうな面構え。

 これは知力よりも腕力で求心力を得るタイプと見た。


 今はやや目つきの鋭い有能そうな部下とチェスっぽい卓上遊戯の真っ最中……ってあれ、知力もあるのかこいつ?

 遺跡には不似合いな家具は後から持ち込んだものだろう。部下ともども上等そうな装備といい、いやはや金回り良さそうですなー。


 奥の部屋にも何か色々積んであるね。行商人が襲われてるって噂もあったし、強奪した光物でも集めてあるのかなーっと。



 …………ほほう。


 ……ほうほう。なるほどなるほど。



 …………毟る時間は無いね。戻りませう。





「―――と、いう感じのようです」


 遺跡近くにあった木立の影で、ギルドで用意してもらった遺跡の地図を囲み、偵察の結果を聞く冒険者一同。

 地図の上には盗賊に見立てた小石が並んでいる。見た感じの強さは石の大きさで表現だ。


「…………よし、作戦を立てよう。少し待っててくれ」


 色々と、それはもう色々と何か言いたそうなアレコレを無理矢理飲み下したような様子で相談を始める、Bランクパーティ『銀の翼』が面々。

 その背中には、街の冒険者一同の「ああ、分かる分かる」という暖かな視線が注がれていた。


「……マジやべえなあの子」


 ぼそり、と呟いたのは、パーティの斥候役を務めるという弓使い(ラクス)氏。

 その一言にびくっと身体を震わせ、こっちを見つめるユズちゃん。

 チュウ、と一鳴きしてサムズアップを返す私。


 絞められました。解せぬ。



「……ところで、そのネズミを使って見張りを黙らせることは出来るか?」

「いえ、それは……」

「(―――チュウ)」《大の大人がネズミに何を期待してるんですかね?》


 前脚を使って「やれやれだぜ」のポーズを決める。肩も竦めてハードボイルド風味だぜ。


「……何て言ってるんだ?」

「あー……えっと……無理です、と……」


「……何故か無性にバカにされた気がしたんだがな……」

「う……」



 おいこらー、ユズちゃん苛めんなー。

 ……あ、ちょっと、絞めるのやめてくださいユズちゃん。タップ(Tap)タップ(Tap)



        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 ―――盗賊の数は多いが、広範囲にばらけている。

 地上部分の連中なら街から連れてきた冒険者達でも、多対一とならない限り対処可能。

 これらを踏まえ、各小屋ごとに数人ずつ組分けした冒険者を向かわせて同時に制圧。

 地下部分の本丸に情報が届かないうちに自分達Bランクパーティを含む一団で乗り込む。


 リーダー剣士(ポルト)氏の口から告げられたこの作戦に、異を唱える者は当然いなかった。





「(……四人。事前調査通りです。内二人が入って右側のテーブルで歓談中。一人が部屋奥で藁の上に寝転がり、最後の一人は中央やや左で武器の手入れをしているようです)」

「(盗賊にも比較的真面目な奴がいるもんだな)」


 本丸周りの小屋の一つに回された三人の冒険者。

 大柄な身体に合わせた大盾と大槌が似合うナイスガイと、比較的軽装な片手剣使い。

 その前衛二人に、後衛魔法使いであるユズちゃんを加えたバランス高めの即席パーティである。

 ―――実際にはそこにチート斥候能力の幽霊が加わってるがな!


「(扉に近い奴から不意打ちで倒して、まずは数の不利を解消するのが一番かね?)」

「(……あ、あと手入れをしている一人以外は、武器も手元から離しているようです)」

「(それじゃそいつを最初に狙って、混乱しているうちに片付けるか)」


 扉の前でひそひそと突入作戦を立てる三人。

 即席とはいえ同じ街を拠点にしている冒険者同士、互いの能力はある程度把握している。

 それを踏まえて細かい所を素早く確認。やがて各々の武器を構えて頷き合う。


「(それじゃ行くぞ。……一、二の―――)」


 三……は口には出さず。蹴破られた扉に目を見開く盗賊。

 最も迎撃態勢を取れる可能性が高かった男が見たのは、自分に向けられた細剣の切先。


「【ファイアボール】っ」

「なっ―――」


 顔面へと吸い込まれるように放たれた火の玉が、男の言葉を遮る。

 腰を下ろしていた二人は、その様に反応する間も与えられずに部屋内に飛び込んできた冒険者の槌と剣により、それぞれ沈黙。


「なっ……なあっ!?」


 何なんだ。と言いたかったのか。それともただ意味の無い声が出ただけか。

 泡を食って起き上がった最後の一人はと言えば、突如飛び込んできた三人、空っぽな自分の手、部屋の隅に立て掛けた武器と、次々と視線を動かし──

 やがてどうしようもないことを悟ったか、引き攣り笑いを浮かべながら呟いた。


「……降伏は受け付けてるか?」

「まあ、無駄に痛めつける趣味はねーな」


 振り上げられた大槌を、男は何処か安堵するような表情で迎えるのだった。




《……うむ、まさに一瞬の出来事》

「(全く無警戒のところに、完全に不意を突いた状況でしたし)」


 加えて個人の力量も、Eランク冒険者三人 対 Fランクにも届かなそうなチンピラ四人、と比較にすらならん有様だったし、むしろこの結果以外になる筈も無いか。

 不利になりそうなのは人数差だけども、それも大して差が無いように割り振りされてるわけで。

 ここまで完璧に不意打ち出来るのは、ユズちゃんを含むこのパーティだけだろうけど、他も大体似たような状況だろうね、今頃は。


「―――全員縛り終えたぞ」

「それじゃ、近くの襲撃地点を様子見しつつ合流場所に向かうとするか」

「そうですね」


 意識の無い盗賊達を冒険者必携道具、何の変哲もない丈夫なロープで縛り上げる。

 ……ああ、顔面に火の玉喰らった奴だけど、そこまで酷い状態にはなってないよ。

 火傷は当然負ってるけど、あの攻撃は意識を飛ばすのが主目的。

 うちのユズちゃんは人間を生きたまま焼き殺して喜ぶサイコパスちゃんではありません。


「一応確認するが、周りに敵影は?」

「……無いみたいです」


 手の中の生物───近くを飛んでた虫───に確認をとっている、振りをするユズちゃんです。

 もうみんな慣れたもんだよね。ぶーんぶーん。


「……ここはもう良いので、他のパーティの様子を見に行って下さい」

《りょーかい。ぶーんぶーん》


「くふっ……(その羽音? は必須なんですかっ!?)」

《そんなわけなかろう》


「…………」



「ど、どうかしたのか?」

「い、いえっ! 何でもありませんっ!」


「「お、おう……」」


 まったく何をカリカリしてるのやらー。

 ……えっ、終いにゃ火放つぞ? やめておけ。その術は(今の)私に効く。やめておけ。





《―――まあ、どこも似たようなもんだよね。知ってた》


 遺跡上空にふわりと浮かび、冒険者達が向かった小屋の状況をざっと見渡す。

 どの小屋からも、大体同じタイミングで縄に繋がれた盗賊が引きずり出されてきている。

 違いがあるとすれば気絶した盗賊と降伏した盗賊の比率ぐらいなものだろうか。


 私によってもたらされた、異常に正確な情報を基に経験豊かなBランクが立案した計画の実行。

 これで不測の事態が起こるはずもない。


 あと気になるのは本丸の状況ぐらいだけども―――



「―――があああああぁっ!!」

「……威勢だけ良くってもねえ」


「ぐああっ!?」

「「「お頭ーーー!?」」」



 ですよねー。

 お頭さんは一応モブよりは腕が立ちそうってことで、そこそこ高めに見積もったのだ。

 そのため万全を期してBランクの方々が直々に相手取るという筋書きになっていた。


 正直に言えば、いいトコDランク程度かなーとは思ったけどね。

 ほら、甘く見積もって痛い目に遭う冒険者が出るのはマズイじゃん?


「凶悪な盗賊団の頭目と言ってもこの程度か。ちょっと期待してたんだがな」

「いやいや、そんな実力者がこんなせせこましい事するわけないじゃない」


 その結果がBランク四人がかりの『かわいがり』である。これなんてイジメ。

 戦力過多? ネズミがそんな細かい分析出来る訳ないじゃないじゃないっすか。やだなあ。



「畜生がぁっ!? オレはこんなっ、こんなところで終わる男じゃねぇんだっ!!」

「へいへい、それはお前さんが決める事じゃねーよっ……と」


「ぉごっ……があ……っ」



 斧戦士(クルガン)氏の振るった斧の柄が、頭目の顔面に吸い込まれるようにめり込んだ。

 ボキゴキっという景気の良い音から察するに、鼻の骨でも逝ったかな?

 明らかな加減は生け捕りにするつもりだからかな。その方が実入りが良いもんね。


「ぢ……ぢぐ、しょ……っ!」

「おぉ、まだ立つのか。根性だけは一丁前かもな」


 仮にも盗賊団の頭として肥大したプライドと意地が許さないのか、ダラダラと血を垂らしながら立ち上がる頭目。

 ……でも気付いてるのかな? 余裕をもって捕縛を狙われてる時点で、この四人からは歯牙にも掛けない相手と判断されてるってことに。



 でっかい剣を振り回して奮闘するも、いい様に転がされ、蹴られ、ボコられ……

 苦しいねー。辛いねー。これまで好き勝手出来てた分、余計に惨めだよねー。



 ま、存分に地獄を見たら良いと思うよ。部屋の奥に積み上がってた()()()()()の数ぐらいはさ。

 ……どこもこんな奴ばっかで嫌になるよ、全く。



 【悲報】初戦闘描写【一瞬】


 ドラク○で例えたら、Lv20前後3人によるスラ○ム4匹への不意打ちだからね。仕方ないね。



 魔法名は分かり易さ重点としました。文字媒体ですし。

 凝った名前は映像が伴ってこそです。二次創作なら別ですが。

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