表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漆黒の金時計  作者: 春 ゆみ
第一章  プロローグ
5/16

1-(5) 月明かりの中

すべてフィクションです。

よろしくお願いします。

 暗闇に包まれて、フクロウが鳴いた。

 窓横に腰かけている見事な黒髪の青年が、それを仰ぎ見た。

 フクロウは窓の外に植えてある木にとまって、かすかな物音、物陰、気配を感じ逃さないように、全神経を研ぎ澄ませている。


 青年は目を細めた。

 別に眩しくはないが、それは自分にとって、まぶたを全開にして見られるような、それはちっぽけなものなんかじゃなかった。

 僕はそんな生命達に、畏敬の念さえ抱いている。

 

 

 何の為、誰の為、そんな周りの存在なんか気にせず、ただ自分の衝動、本能の導くままに、自分は動き回ってみたかった。

 『人間にしかできないこと』、それは無数と言っていいほど存在する。だがそれ以上に『人間にはできないこと』が多すぎた。

 

 ――――いや、そうじゃない。

 

 『人間にしかできないこと』の犠牲として、『人間にはできないこと』が生まれてしまったんだ。

 さまざまな束縛を代償としてまで、人間は何を手に入れたかったのだろうか。

 生じたのは、束縛、因縁、金、富、名声、そして・・・・・・

 

  

 青年は腰かけていた窓横から、スラッと飛び降りた。

 ストレートの黒髪の上を月の光が、つややかな波として映しだした。

 ――――考えても仕方ない。

 

 青年は顔をしかめた。

 

 ――――僕にはもう、どうする事も出来ない。できるとすれば、おそらくはこの・・・・・・。

 

 ユキは隣のベットで眠っている、もう一人の青年を見た。


 ――――新しい、ルームメート。

 

 青年は、そのままベットの上に寝転がると、月明かりに映し出された天井を無意識に睨んだ。というよりは、これから先の時間を見つめていた、と言った方がいいのだろうか。


 青年はフッと、自分の後ろめたさを嘲笑った。

 ――――寝よう。もうおそい。


 青年は新しいルームメイトに背を向けると、目を閉じた。

 そのままゆっくりと、そして確実に深い眠りに落ちていく。

 

 フクロウはいつの間にか、風に流されてどこかへ行ってしまったようだ。

 

  

 

twitterやってます。小説更新情報をつぶやいたりしているので、どうぞ気軽に寄ってみて下さい。相互フォロー、大歓迎です。⇒http://twitter.com/#!/kinahamu

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ