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観測者に見守られる屋敷で生きることにした ~静は世界を支配しない~  作者: 灯乃しんわ
第四章 静かな日々、揺れ始める世界

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閑話 静かな夜に護る心

王都ルミエールの夜は眠らない。

陽が落ちても通りの灯りは消えず、人の声と足音が、絶え間なく行き交っている。

商人の声、馬車の車輪の音、酒場から漏れる笑い声。

昼間とは違う、夜の顔がそこにある。


《ルミナ・ヴェール》の四人が宿に辿り着いた頃

街の空気には、はっきりとした緊張が混じっていた。

教会を中心に広がる噂は、予想以上の速さで王都全体を包み込んでいる。


「……やっぱり、フォルツとは全然違うね」

部屋に入ってすぐ、フィアがそう漏らす。


「噂の広がり方が早すぎる」

リーナが静かに扉を閉めた。


「教会の周り、人が多かったわ。昼間より、夜の方が……動いてる」

ミレイアの言葉に、アリアは小さく頷いた。


「明日だね」

フィアが軽く言う。


その一言で、部屋の空気が引き締まった。

明日の報告、どこまで話し何を伏せるのか。


ベッドに腰を下ろしながら、リーナが問いかける。

「……どこまで話す?」


すぐには答えが出なかった。

四人とも、それぞれに考えがあった。


ミレイアが、窓の方へ視線を向けたまま口を開く。

「全部話すのは、論外ね。でも、何も言わないのも……守ることにはならない」


「線を引く、ってこと?」

フィアの問いにミレイアは頷く。


「そう。あの子を――セリナを

 "象徴"にしないための線」


その言葉にアリアが目を上げた。

セリナ、あの屋敷で静と共に暮らす穏やかな少女


ミレイアは、静かな声で続ける。

「最初に会った時から、ずっと思ってた。あの子は、前に出るための人じゃない」

「誰かの期待や都合を背負わされるべきじゃない」


一瞬、部屋が静まり返る。

フィアも、リーナも、その言葉の重みを受け止めていた。


「……庇うのね」

リーナが確かめるように言うが

その声には非難ではなく、静かな共感があった。


「ええ」

ミレイアに迷いはなかった。

「私は、あの子を守る側に立つ。たとえ、それで誤解されても」


フィアが、少し困ったように笑う。

「ミレイアらしいなぁ……」


アリアはゆっくりと息を吐いた。

「ありがとう」

短い言葉だったが、そこには、強い意思がこもっていた。


「じゃあ、決まりね」

アリアは、皆の顔を見る。


「支配エリアの性質。女神の加護があること

 そして……危険性が無い、という事実」


「でも」


言葉を区切る


「屋敷の詳細、静個人のこと

 セリナの"在り方"は……話さない」


リーナが頷いた。

「守るために、距離を保つ。それが今の最善ね」


四人の間に静かな決意が満ちていく。


夜は更けていき、フィアは先に眠りについた。

リーナは書類を整えながら、明日の報告に必要な資料を再確認している。

ミレイアは窓辺で街を見下ろしている。


アリアだけがまだ起きていた。


(静……)


あの屋敷で見た変わらない日常


特別なことをしなくても、人を安心させてしまう、不思議な人

セリナと共に過ごす穏やかな時間。


(……きっと、今も同じ夜を過ごしている)

王都がこれほど騒いでいても

あの人は変わらず、静かな夜を過ごしているのだろう。


だからこそ


世界がどれだけ騒ごうと、自分たちは、言葉を選ばなければならない。


護るために

壊さないために


アリアはそっと目を閉じた。


夜明けは、もうすぐだ。


《ルミナ・ヴェール》は、静とセリナの日常を守るために動く


夜の王都が、静かに眠りにつこうとしていた。

イメージソングを作成してみました。

もし興味を持って頂けましたら、曲を聴きながら読んでくれたら嬉しいです。

物語の方も順調に書き進めていますので宜しくお願い致します。

https://suno.com/@10monoshin8


カクコムでも先行掲載しています。

もし続きが気になって読んでいただける方が居たら下記のページでお願いします。

https://kakuyomu.jp/works/822139842423376578

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