アウトドア王女の日々はまさしくサバイバル
「なろうラジオ大賞7」参加作品です。
「さぁ、セバスチャン!今日も気合い入れていきますわよ、オーッホッホッホ」
私――アドリーナは朝食の席を勢いよく立ち上がると、そう宣言した。
「セバスチャンはどこまでもお嬢様について参ります」
普通、王族につく側仕えの筆頭は、同性の者だ。私の筆頭は男性のセバスチャンだが、それは女性の側仕えがこぞって私の側仕えを嫌がったからに他ならない。
「今日は森に出るのでしてよ」
食器を片付けるセバスチャンが、小さく頷いた。
セバスチャンと私は身軽な装備に着替え、森へ出た。
「おかしいですわね、今日は獲物が少ないですわ」
異変に気づいた私は、注意深く歩いていく。
パァン、パァン!
「銃声が聞こえましたわ。いくわよ、セバスチャン!」
頭を切り替え、私とセバスチャンは急いで駆け出した。
少し走ると、視界がひらけた。その先に人影が見える。
「カイル王子!?何故ここに!」
驚き、叫ぶのはセバスチャンだ。
私も目を見開く。なぜ隣国の王子がここにいるのだろうか。
確かに国土の北側に広がるこの森は最も他国に近いと言える。けれど、大分遠い。それに、側仕えは……?
たくさんの疑問が浮かぶ中、カイルが口を開いた。
「追手がいて……匿っていただけますか?」
その一言に私は大きく頷き、セバスチャンとともにカイルを保護する方向へと動き始めた。
◇ ◇ ◇
「よくやってくれた」
父である王に呼び出され、同じテーブルにつく。隣にはカイルも座っており、今後の方向性についても議題に含まれているようだった。
「過褒ですわ。わたくしは当然のことをしたまででしてよ」
私がそう言うと、父はゆっくりと頭を振った。
「カイル殿下は優秀な人材だ。反乱により亡命の身だったとはいえ、保護できたことは王国にとって非常に僥倖である」
そこで一度言葉を切ると、思わせぶりに視線をカイルへと向けた。
「……それに、カイル殿下にとってもラッキーな出来事のようだし」
「陛下!」
カイルが焦った様子で父の話を遮るように叫ぶ。一瞬で耳まで赤くなった彼を見て、私は目を瞬いた。
「カイル殿下、全ての根回しはこちらで終わらせた。後は君が踏み出すだけだ」
「はい……」
カイル殿下の潤んだ目が、父へと向けられる。
「あの、それはどういう……」「アドリーナ様」
カイルの真面目な眼差しに、息を呑む。
「”隣国の王女”であったころから、お慕いしておりました――婚約を、結んでいただけませんか」
彼の真っ直ぐな瞳に、私は差し出された手をとった。




