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ずっと片思いだった女子が同じクラスになった途端グイグイ来るんですけど  作者: ナミツキ


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96話


テーブルにやってきた新山の顔はどこか緊張している風に見え、事あるごとに突っかかってきていたため、何事かと身構える。


「あー…三津島、ちょっといいか?」

どうしたのかと思えば…俺に用?

「え、うん、どしたの?」


「………今まで悪かった!突っかかったり、バカにしたような言い方しちまって…」

そう言って頭を下げる新山。

「…えっと…」

「すまん、急にこんなこと言われても困るだろうけど…」


「まぁ別に俺は気にしてないから、これから普通にしてくれたら全然構わないんだけど」

「三津島ありがとう、それと西條…」

「…え?なに?私?」

最近見てなかった冷たいモードの明里さんだ!

「あ…いや、悪かった、しつこかったり…」

「ええ、私には直樹がいるし、他の男子に興味もないから迷惑だったわ」


明里さんのストレートな物言いにしゅんとなってしまった新山。


「あれ?この空気どしたん?」

「新山なんかあったのか?」

大きめのお皿におかわりのお好み焼きを乗せた瑛太達が戻ってきた。

「新山が今までのこと謝りに来たんだけど…明里に撃沈されちゃったとこ…かな」

俺は苦笑いを浮かべて瑛太達に説明すると元の場所に戻った椎名さんが助け舟を出した。


「ま!せっかくの打ち上げだし、楽しくしよー!ほら、明里も食べなって!」

そう言って持ってきたお好み焼きをヘラで切り、明里さんの取り皿へと移した。

「そうそう!今までのお前の直樹への態度、めちゃくちゃ嫌いだったけど、謝ったんなら許してやるよ」

「はは、なんで瑛太が上からなんだよ」

笑っている涼也に釣られたのか、気を取り直した新山。

「なんせ今まで悪かった、これからよろしく頼むわ」


そう言って自分たちのグループのいる席へと帰って行った。


「あの新山が謝りに来るなんてなぁ」

「今日のリレーの時のやつがよほど効いたんじゃね?」

「まぁ直樹、これから好きなだけ西條と学校でイチャイチャできるじゃん」

「よかったなー!」

「べ、別にそれは関係ないだろ」


涼也と瑛太に揶揄われていると「…私はもっと直樹とイチャイチャする!」と明里さんが嬉しそうに宣言してきて、「充分いちゃついてるぞー」「このバカップルめ!」「…羨ましい」と、さらにみんなから揶揄われることになってしまった。


今日の打ち上げどうやら飲み物もおかわりし放題らしく、新山達のグループが手分けして注文をとりにきてくれたり、食べ物のおかわりは要らないかなど、クラスメイト達に聞きに行っていた。


…今まで偉そうにしてきてあまり好きじゃ無かったけど、新山が変わるだけで他の奴もここまで変わるもんなんだなぁ。


6時に始まった打ち上げは、なんやかんや楽しくてあっという間に時間が経っていき、ちらほらと帰る人も出始めて、気づくともう8時になろうかとしている。


「うちらもそろそろ帰るー?」

「そだね!もうお腹いっぱい!」

「…楽しかった」

「…俺ももう食えねぇ」

「瑛太…3枚は食べ過ぎだろ」

「楽しかったね!」

みんなで新山の叔父さんにお礼を言いに行ってから店を出た。

ちなみに参加費である2500円は打ち上げの途中にちゃんと新山に渡してある。


「はー美味かったなぁ!」

お腹をさすりながら満足げに話す瑛太。

「そうだな、いい店だったわ」

「また来たいねー」


皆んな楽しそうで、打ち上げは大成功だったみたいだ。


「さて、もう暗いしみんな気付けて帰れよー」

「また学校でな!」

「バイバーイ」

「またねー」

「…じゃあね」


「おつかれさまーみんな気つけてねー!」

「おつかれー」

店の前で涼也たちと別れて明里さんと2人。歩き出してすぐにどちらかともなく自然と手を繋ぐ。


「あーお腹いっぱい!食べすぎちゃったかなー、ほら触ってみて!」

そう言って繋いでいた手を一度離し、俺の掌を自分のお腹に当ててきた。

その行動に少し驚いたがまぁ最近の明里さんならこのぐらいのスキンシップは気にしないか…と思い、お腹をさすってみる。


「ふふ、ポコって出てない?」

「そうかな?」

…余分な脂肪もないスラっとしたお腹だけどなぁ。

遠慮なくさすさすと触っていると、こしょばかったのか「はい!おしまい!」とまた手を繋ぐ形に戻った。


暗くなった道を2人で歩く。


「…そういえばさ、私たち付き合いだしてそろそろ1ヶ月なの知ってる?」

「ゴホッ、ゴホッ。し、知ってるよ」

…お好み焼き出るかと思った。明日サプライズで何か送ろうと思ってたのに…これじゃサプライズにならなくなってしまう!

…ヤバいヤバいヤバいヤバい!

「よかったらさ、明日雑貨屋でお揃いの小物とかどうかな?」

これはもう、正直に言ってしまおう。

「いいね!…ていうか実は元々そのつもりで明日誘ってたんだ…記念だし、サプライズといいますか…」


「え!?あ!ごめんー!」

「大丈夫大丈夫、気にしないで」

「せっかく直樹が考えてくれてたのに、ほんとごめん!」

申し訳なさそうに謝る明里さん、このままでは埒があきそうにないと思った俺はちょっと大胆な行動に出る事にした。


繋いでいた手を離して立ち止まり「明里」と名前を呼んで手を広げる。3歩ほど前にいる明里さんは振り向くけど、俺が手を広げた意味をまだ解ってないみたいだ。

恥ずかしさを押し殺して「おいで」となるべく優しく声を掛けると、ボン!と顔を赤くしながら1歩、1歩と、ゆっくりと近づいて来た。

最後の1歩は俺から近づいて優しく抱きしめた。

「ほんとに気にしなくていいから、明日一緒に選ぼ?」

と言うと、俺の腕の中にいる明里さんはカクカクとロボットみたいに頷くだけだった。


少しの間だったけど、抱きしめていた明里さんの身体を離すと、顔が真っ赤なままフリーズしていた。

「だ、大丈夫?嫌だった?」

「嫌だなんてそんな!直樹からこんなことしてくれるなんて嬉しくて!」

アワアワとしている明里さんの手を握り直し、やってやったぜ!照れさしてやったぜ!と、謎の達成感と少しの優越感を感じながら帰路へとついた。



お読み頂きありがとうございます!


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