90話
「よーしみんな揃ったなー、現在私ら2組は2位だ!昼からの2種目で充分1位になれる!頑張れよ!」
「「「「「「「おー!!」」」」」」」
佐々木先生からの激励を受け、やる気を出すクラスメイト達。
…昼からはクラス全員参加の種目ないんだけどな。
「では!借り物も競走に出る5人!入場門に行くように!」
「じゃあ行ってくる!応援よろしくね!」
「頑張ってね、行ってらっしゃい」
手を振り、パタパタと走って行く明里さん。
…さて、どんなお題を引くんだろうか。
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入場の曲が流れて、3年生各クラス5人ずつが入場してきた。
明里さんは1番目に走るみたいだ。
明里さんと他のクラスの人たちがスタートラインに着いた。
〝位置に着いて…よーい、パン!“
順調にスタートしてまず1個目のお題が書かれた紙に辿り着いた明里さんは1枚めくる。
頭を抱えている人、すぐに保護者席へと向かうもの、みんな忙しそうにしているけど、明里さんはその場で立ち止まったままだ。
…どうしたんだろう、一つ目からそんな難しいお題だったんだろうか。
「直樹、西條止まってんぞ」
「うん…大丈夫かな」
心配していると紙を手にようやく走り出した明里さん。
グラウンドを抜けて校舎に向かって行った。
そしてその後少し時間が経って、他の人達が二つ目のお題に取り掛かったぐらいに戻って来た。何やら服装が変わっている。
借り物競走用に保健室に準備されていたのか、タイトスカートに黒いタイツを履き、上には白衣を着て、首に聴診器をぶら下げている。
…な、なんだか妙に大人っぽく見えてドキドキする。
お題をクリアしているか確認する先生の元へ行き、手に持っている紙を先生に渡す明里さん。
紙を受け取った先生が◯が書かれた旗を上げたので、どうやら1つ目のお題をクリアできたみたいだ、そしてそのままの格好で2つ目のお題の紙をめくっていく。
しばらくキョロキョロと周りを見渡した後、保護者用のテントへと向かっていった。
「三つ子の人いませんかー?」
「メガネとサングラス両方掛けてる人ー!」
「今聖徳太子のお札持ってる人いますかー?!」
明里さんが見えなくなっていると、他の人たちが走り回って大声で借り物を探している。
「うわーめちゃくちゃ難しいじゃん!」
「明里大丈夫かなー?」
「頑張れー!」
…これはほとんどリタイアするのがわかるな、明里さんは大丈夫かな。
「お!西條出てきたぞ!」
俺の心配をよそに明里さんは保護者用のテントから1人の女性と一緒に出て来た。
その女性と先生の元へ行き、しばらく話すと◯の旗が上がった。
「「「「おぉ」」」」
二つ目のお題をクリア出来たことにどよめくグラウンド。
一緒に来てくれている女性に頭を下げて帰ってもらい、3つ目のお題が書かれた紙を捲る明里さん。
紙をめくった時、少し笑っているように見えた。
その後すぐにこっちへと走って来た。
「直樹!一緒に来て!」
「お、俺!?」
「うん!直樹じゃないとダメなの!ほら!」
そう言って手を伸ばして来たのでその手を掴んだ。
「お題はなんだったの?」
「ふふ、今は内緒!もうすぐ分かるよ!」
2人で確認役の先生のところに行く途中聞いてみたけど教えてくれなかった。
「はい!これです!」
「これ貴女が引いたのね…加点は狙うの?」
紙を渡された先生は温かい眼差しで何かを明里さんに確認している。
「はい!もちろん加点の方でお願いします!」
「じゃあ確認するからお願いね」
…加点?いったいどんな内容なんだ?
「直樹腕広げて」
「こ、こう?」
「えいっ!」
言われるがまま腕を広げて立っていると、ガバッと抱きついてくる明里さん。
「私は!あなたが!大好きです!!」
いきなり大声でそう宣言する明里さんに、グラウンドがキャーキャーと沸き立つ。
「え!?ちょ、ちょっと!」
「…直樹は?」
「…す、好きです…」
は、恥ずかしい…こんな注目されているところで…
どんどん顔が熱くなっていくのが分かる。
明里さんと抱き合って見つめ合うと、俺たちの身長差で自然と上目遣いになる。明里さん白衣バージョンといういつもと違う服装なのも相待って見惚れてしまった。
「はい!オッケー!お題クリア!」
◯の旗と共に先生がそう宣言してやっと現実に戻った。
「やったね!一緒にゴールまで行こ!」
俺から離れた明里さんはそのまま手を取り走り出した。
「あ、明里!結局お題ってなんだったの?」
「ふふ、大事な人とハグがお題で、愛を叫ぶが加点要素だって!」
「そんなお題有りなんだ…でも恥ずかしくて出来ないって人はどうするんだろ?」
「お題が書いてあった紙に、恥ずかしい場合はお題変更可って書いてたよ!」
お題を3つクリアして、さらに1位でゴールした。
後の3人はまだ2つ目で躓いているみたい。
〝あと5分で終了です!“
制限時間も残り少なくなってきた。
そのあと1人が2つ目をクリア、あとの2人は1つ目だけクリアで第一レースが終わった。




