88話
「貰ったぁー!!!!」
いつの間にか合田達の後ろに回り込んだ新山が奇襲を仕掛けた。
涼也と鉢巻の取り合いをしている合田達の騎馬の上の人は後ろから来ている新山に気づいたけど対応することが出来ない。
…やったか!?
そう思っていると「くそぉー!!」と言う声と共にかなり強引に涼也の方に雪崩かかってきた合田達の騎馬。
「っ!!」
「危ない!」
2つの騎馬がもつれながら崩れてしまった。
「おい!大丈夫か瑛太!」
「お、おう!」
ゴソゴソと崩れた騎馬から這い出てきた瑛太、何とか怪我はないみたいだ。
「すまねぇ、崩されちまった」
「はは、崩れる瞬間に鉢巻は取ったからよ、俺らの勝ちだわ」
そう言う涼也の手には、1組の色である赤色の鉢巻が握られていた。
「えぇ!あの瞬間に取ったの!?」
「おう!最後の瞬間守りが疎かになってたかんな」
驚く俺に簡単そうに言う涼也。すげぇな。
「あとは頼んだわ新山!」
涼也はポカンとしている新山たちに声を掛けていた。
「いやぁ強かったー!」
「お前らもな!」
お互い讃え合う瑛太と合田。
俺たちも、合田達もお互い特に怪我もなかったみたいで自分たちの待機場所へと戻って行った。
その後残った新山達や2組の騎馬を応援していたけど、早々に鉢巻を取られ結果は3位だった。
1位1組、2位3組、3位2組、4位4組
テントに戻ってきた俺たち。
次は1、2、3年女子全員によるダンスのため、前の方へと移動した。
最近流行りの曲を全員で踊り、その曲の途中で組ごとに違う踊りを披露する。
…明里さん練習頑張ってたからな、ちょっと見せてもらった振り付けも可愛くてやばかった…
やっぱり注目されるんだろう………他人に見られるなんてモヤモヤするなぁ。思わず独占欲が出てしまった。
ダンスは点数に入らないため、どのクラスの男子達もウキウキとした楽しそうな雰囲気が出ている。
なかなか始まらず、しばらく待っていると女子達の入場が始まった。
事前に明里さんに聞いていた通り踊りは自分たちのクラスのテントの近くでやるみたいで、よく見える所に明里さん達が来た。
俺と目が合い少し照れる明里さんも大変可愛い。
手を振ると小さくも振りかえしてくれた。
音楽が始まり、まずは全体で同じ振り付けで踊り出した。
「あれ?直樹動画撮らねえの?」
「え?これ動画撮っていいの?」
「周り見てみ」
涼也にそう言われて周りを見渡すと、動画を撮っている男子がそこそこいた。
「うわ、撮ってる人結構いるんだ」
「はは、後でなんか言われるかもな、でも自分の彼女撮るぐらいならいいんじゃね?」
…そうだよな、後で明里さんに消してって言われたら消せばいいし。
そう思いゴソゴソとスマホを取り出し、明里さんにカメラを向けてみると、踊りながらも笑顔で手を振ってきた。どうやらOKみたいだ。
それから共通パートが終わり、1組から順に踊る個別パートが始まった。
踊る組以外はその場でしゃがんでいる。
2組の番になり踊り出す明里さん達。
伊勢さんも椎名さんも明里さんもみんな楽しそうだ。
「上手いもんだなぁ!」
「みんな頑張って練習してたからね」
自分たちのパートも終わり、一旦しゃがむ明里さん達。
…うん、可愛かった!綺麗に撮れたはずだ。
その後無事に踊りが終わり、テントへと帰って来た明里さん達女子一同。
「疲れたー」「楽しかったね」
「お腹減ったー」
「どうだった??ちゃんと出来てた??」
俺の隣に座るや否やそう聞いてくる明里さん。
「うん、良かったよ、か、可愛かった…」
「へへ、ありがとう!動画撮ってたよね?後で一緒に見よ!」
「う、うん」
そこに担任の佐々木先生がテントへとやってきた。
「おつかれさーん、頑張ってるな!さて、今から昼ごはん休憩になる。1時20分にまたここに集合すること!はい、解散!」
一気にガヤガヤと騒がしくなるテント。
「一緒に食べようー」「いいよー」
「どこで食う?」
友達同士で食べる人や家族と一緒に食べる人でみんなテントから散っていった。
「明里一緒に食べるー?」
「今日はねーうちの家族と直樹の家族で一緒に食べるんだー!」
「えぇー!すごー!」
伊勢さんが明里さんをご飯に誘っていた。
「じゃあまた後でな!」
「おう!」
涼也達は家族で食べるのか早々にテントから出て行った。
「じゃあ直樹!行こっ!望美、千晴また後でね!」
「はいはーい」
「またね!」
みんなと別れてテントから出た俺たちは手を繋ぎながら保護者用テントへと向かった。
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「直樹くんの所の騎馬凄かったわね!!すっごく強かったじゃないの!」
テントに着いてすぐ愛菜さんがテンション高めに話しかけて来た。
「前と上が強かっただけですよ、僕は後ろからついて行っただけで…」
「…4人で1つなんだから、君も頑張っていたさ」
「あ、ありがとうございます」
剛志さんに褒められてつい照れてしまう。
2人と話していると、うちの両親がいないことに気づいた。
「あの、うちの両親は…」
「そうだった!翔子さんと浩史さんは昼ごはんの場所取りに行ってくれてるの、私たちも行きましょう」
そう言って歩き出した愛菜さんと剛志さんについて行った。




