87話
「なんだ、みんなビビってんのか?」
「まぁまだ序盤戦だからな、さて、次はどこ行こうか」
「一旦2組のところに戻る?」
イケイケの瑛太と涼也、少し慎重になってる拓也。
「せっかくここまで来たんだし、この辺りの騎馬達引っ掻き回してやろうぜ!」
「おっしゃ!行け瑛太!」
次の作戦はとりあえず手当たり次第に鉢巻を奪いに行くみたいだ。
「しっかり掴まってろよ!まずは4組突っ切って3組だな!」
またも一気に加速して4組がいる場所に突撃して行く俺たち。
「オラぁ!鉢巻寄越せやー!」
…後で先生に怒られたりしないだろうか…
「お、おい!こ、こっち来たぞ!」
さっきの崩された所を見ている4組の騎馬達は及び腰になっているみたいだ。
「セイっ!!」
〝グシャ“
またも一騎崩し、その勢いのまま横にいた騎馬に近づいて涼也が鉢巻をするりと奪う。
「ハッハー!まだまだいくぜぇー!!!」
…俺らの騎馬なんか強過ぎない?
「次は3組だ!!直樹!拓也!!崩すなよー!」
一度4組のエリアを抜けて外に回り、瑛太は3組をロックオン。
「来るぞ!!固まれ!」
暴れ回っている俺たちを警戒して既に3組の騎馬達は複数で固まって守りを固めている。
「おいおい!あれに突っ込むのか!?」
「とりあえず1回当たったら何とかなるってー」
心配している拓也にそう返している瑛太。
〝ドンッ!“
流石に今回は崩せなかった。
「止まったぞ!囲め囲め!」
チャンスとみたのか3組の騎馬達が俺たちを包囲し出した。
「あ、ヤバいかも…涼也!頑張って躱してくれ!」
「長くは保たんぜ!」
相手は3騎、流石に無理かな。
と思っていた時
「クソ!お前らだけ目立ちやがって!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
その声の後、3組の騎馬の包囲が緩んで一騎の騎馬が突っ込んできて俺たちの横に並んだ。
「新山!助かったわ!」
「別にお前ら助けに来たわけじゃねぇよ」
「ふーん、まぁサンキューな」
涼也と新山が話している間にもジリジリと迫ってくる3組の騎馬。
「瑛太!とりあえずここ抜けて2組の方戻ろうぜ!」
「おうよ!」
「俺ら戻るけどお前らどうすんのー?」
3組の騎馬と鉢巻の取り合いをしている新山に声を掛ける涼也。
「ちょ!今忙しい!何て?」
「俺ら!戻るけど!どうする!?」
よく聞こえるように大きな声で言う涼也。
「戻る!」
「あいよ!着いてこいよー」
その言葉を聞いた瑛太は、騎馬を走らせて新山と小競り合いをしている騎馬に体をぶつける。
その瞬間に涼也が相手の鉢巻をパッと奪った。
……涼也取るのうま…
「ほれ!開いたぞ!」
「行くぞー!!」
開いた隙間を強引に突き進む瑛太。俺と拓也はとりあえず着いていくだけでなんとかなっている感じだ。
3組の包囲を抜けた俺たちは2組がいる方へと帰った。
後ろを見るとなんとか着いてきている新山たち。
「おい、2組かなりヤバそうだぞ!」
「あー、ありゃ合田だなぁ…」
2組の騎馬達を〝グシャ“と崩して行っている大柄な騎馬が見えた。
その騎馬の前に居るのが合田…1組の合田 勇、柔道部のキャプテンでかなりのパワータイプだ。
「っしゃー!!2組潰すぞ!」
「かますぞ瑛太!行けるか?」
「気合い入れるわ!!!直樹、拓也!しっかり掴んでろよ!」
グンと加速する瑛太の肩を離さないように掴みついて行く俺たち。
「藤岡らが戻ってきたぞ!!」
俺たちの姿を見た合田たちの騎馬が迎え撃つつもりなのかこっちを向き走り出した。
「おらぁ!!」
「うらぁ!!」
〝ドンッ!!!!“
グラウンドの真ん中で激しくぶつかり合う瑛太と合田。だけど2人とも一歩も譲らない。
掴んでいた肩からすごい衝撃が伝わってきた。
「瑛太大丈夫か!」
「瑛太!」
「ああ!!」
「頑丈だなぁおい!」
「はは、お前もな!」
「後は任せろ!」
ぶつかり合っている状態の騎馬の上で涼也が相手の鉢巻を奪いにいく。
鉢巻を取るのがかなり上手な涼也だが、相手の上に乗っている人も上手い。上も下もかなり激しい攻防だ。
他の騎馬達はこっちに来ずに、俺たちの騎馬と合田たちの騎馬の周りはぽっかりと空間が出来て一騎打ちになっている。
「クソっ!一旦離れるぞ!」
なかなか勝負がつかない事にイライラしたのか、合田達の騎馬が少し離れた。
「強いわぁ、なかなか決まんねぇ」
「はぁ…はぁ、そうだな、そろそろ俺も限界っぽいぜ」
騎馬戦が始まってから身体を張りながら動き回っている瑛太は肩で息をしてかなりしんどそうだ。
「合田たちまたぶつかってくるつもりだろうし、次で決めないとな」
…俺らの騎馬もたいがいヤバいけど、それに張り合う合田達もかなりヤバいな。
「来るぞ!」
「おっしゃ!行くぜー!!」
涼也の声に気合いを入れる瑛太。
「頑張れよ!瑛太!涼也!」
「頼んだ!」
「「おう!」」
どうしても後ろの俺たち2人は前の瑛太と上の涼也頼みになってしまう。
走り出した俺たちと合田たち。
「いくぜぇー!!」
「こいやぁ!!」
〝ドンっ!“
っ!!
激しくぶつかり合って大きくグラつく二組の騎馬だがすぐに立て直して再び競り合いになって、上も下も激しい攻防が続いた。
その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「貰ったぁー!!!!」
合田達の騎馬の後ろから聞こえた声はまたしても新山の声だった。




