86話
幸い2組は男女共に足が速い人が多いみたいで、俺に続いて綱を引く人がどんどん増えた。
全員で引く頃には、俺らのクラスの方に少しだが有利な状態になっていた。
「「「「「オーエス!!!!」」」」」
綱引きの時に何で掛け声がオーエスなのか知らないけど、自然とみんなオーエスと言いながら綱を引く。
必死に綱を引く俺らだけど、ピクリとも動かない綱。4組とパワーは互角みたいだ。
このまま耐えれると初めのリード分で俺らが勝てる!
ピクリとも動かない白熱した勝負に1、2年からも大きな応援が飛んでいる。
そのまま時間が経過し、終了の合図が鳴るまで耐えた俺たち2組が勝った。
「よぉーし!!」
「まずは1勝!!!」
「全部勝つぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」
クラス全体がなかなか良い感じの一体感になっていた。
普段は男子の中でも偉そうにしている新山達のグループも、周りに声を掛けてチームワークが出来ているみたいだ。
次は1組と3組。
序盤は先に綱に到着した1組がリードしたけど、3組がジリジリと競り勝って逆転勝利。
そして次は連続になるけど、3組と2組。
1勝している組同士の戦いだ。
「相手は疲れてるはずだ!!チャンスだぜ!」
「このまま2連勝!!」
俺たちは一回分休めてるから少し体力も回復してる。
…ここは確実に勝って連勝したい!頑張るぞ!
〝位置に着いて…よーい…パン“
「頼むぞ直樹ー!」
「いけ!三津島ー!」
…そう言われても1人じゃ引けないんだけどな。
またも1番最初に綱に着いた俺。
とりあえず綱を持ち引っ張る体勢を整える。
続々とクラスメイト達も綱に着いて引っ張り始めるが、3組の方へと少しずつ縄が動く。
疲れているはずなのに、チームワークの差で負けているみたいだ。
「揃えるぞー!!せーの!」
瑛太の大きな声を合図にウチのクラスも息が揃ってきた。
そこからはすぐに逆転し、3組が転んで一気に2組が勝った。
…あと1勝で全勝!!
「よしよーし!!」
「ナイスー!」
連勝に1、2年も一緒に沸き立つ2組。
次は1組と4組の試合だ。
2回休めている4組が有利になりそうだな。
ピストルの音とともに始まった1組と4組。
結果は1組の勝ち。
開始と同時に好スタートだった4組だったけど、途中で女子達が転けてしまって一気に1組に引っ張られてしまった。
次は4組対3組、良い勝負だったけど僅差で4組の勝ちだった。
最終戦、我ら2組対1組。
これに勝つと全勝だ。
「よーし!皆んな頑張ろうぜー!」
「全勝で1位になるぞー!」
「「「「「「おーー!!!!」」」」」」
良い感じにテンションも上がってる。
〝位置に着いて…よーい、パン“
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ーーーーーーー
「2組最高ー!」
「おっしゃー!総合1位!!」
「ナイスー!」
1組に勝って全勝になった俺たち2組は、総合得点でも1位になっていた。
この次の騎馬戦でそこそこ残れると午前の部は1位通過できそうだ。
「やったね直樹!」
「うひゃ」
退場した後、俺たち男子は騎馬戦があるため入場門で座っていたんだけど、急に背中に柔らかい感触と頬に伝うサラサラの髪に心臓が飛び出るのかと思った。
「びっくりしたー!…全勝できたのは大きかったよ」
なるべく自然を装いながら話す俺。体操服越しに伝わる明里さんの身体に意識を全て持っていかれている。
「ね!次の騎馬戦頑張ってね!」
「ありがと、1位で午前終われるように逃げ回ってくるよ」
「怪我しちゃダメだよ!」
「後ろの担当だから大丈夫だとはおもうけど、気をつけるね」
入場の放送が鳴り俺の背中から柔らかい感触が離れてしまった。
「じゃ行ってらっしゃい!」
「うん、行ってきます」
騎馬戦に行くのに彼女に見送られるなんて、まさしく戦場へ向かうみたいだな。
騎馬戦は各学年ずつ4クラス分の騎馬が一斉に戦い、上の人の鉢巻を取られるか、騎馬が崩れると負けだ。
1、2年が終わり俺たちの番になった。
4人1組で騎馬を作る。
「作戦どうするよ?涼也」
同じ騎馬の前を担当する瑛太が上に乗る涼也に聞いている。
「んー、逃げ回るのが最終的に勝ちやすいんだろうけどせっかくだし、ガンガン鉢巻取りに行こうぜ」
「いいねー!それでこそ男だな!!直樹!拓也!思いっきりいくぜ!」
「わかった」
「OK!」
後ろのもう1人はバスケの時に同じチームだったクラスメイトの拓也。
〝位置に着いて…よーい、パン“
「おらぁ!いくぞぉー!!」
瑛太の声を合図に勢いよく飛び出した俺たちは、正面にいる4組の騎馬に突撃していく。
「一撃かますぞー!踏ん張れよ涼也!」
「おっしゃ!やったれー!」
そのままの勢いで相手にぶつかる瑛太。
〝グシャ“
なかなかの勢いでぶつかられた相手は、騎馬を維持出来ずに崩れてしまった。
…瑛太気合い入り過ぎ…ちょっとやり過ぎのような…
一騎崩したところに、やられた4組の騎馬が左右から涼也の鉢巻を取ろうとしてきた。
「やりやがったな!」
「おら!」
「おっとっと」
二騎からの攻撃を上手く避ける涼也。
その間も俺はガシガシと足を蹴られて地味に痛い。
「ほっ!」
「くそ!一旦下がるぞ!」
涼也が1人から鉢巻を奪い、残る一騎が逃げて行った。
「ナイス涼也!」
「へへ、どんどん行こうぜ!」
まだ騎馬戦は始まったばかり、他のクラス達は様子見している。




