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ずっと片思いだった女子が同じクラスになった途端グイグイ来るんですけど  作者: ナミツキ


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84/98

84話

一番手で走るのは伊勢さんみたいだ。


横一列に4人並んでスタートの合図を待っている。

今の所総合得点は3組、2組、1組、4組の順位になっている。俺らのクラスは2位だ。


「ギリギリ負けてんなぁ」

「まだ3種目だからどうなるかわからんって」

俺たちと一緒に前列に来ている瑛太と涼也がそう話していると〝パン“というピストルの音が鳴った。


いいスタートを切った伊勢さんは1位でネットへとたどり着いた。


「うわぁ、容赦ないよね」

「うん、めちゃくちゃ通りにくそう」

3年生というのもあってか、ネットを押さえている係の人達は伊勢さん達が通るのをガチめに邪魔している。


何とか1位のままネットを通過して、ボール運びにたどり着いた伊勢さん。机に置かれた紙を1枚めくる。


「何引いたのー??」

「ちょっとヤバいかも、バスケットボールだったー」


すぐ近くにいるため明里さんが伊勢さんに話しかけていた。


そこそこ大きめのスプーンの上にバスケットボールを乗せる伊勢さん。

乗せて歩くだけでも今にも落としそうだ。


…これで平均台とか激ムズだろ。


「頑張れー!」

「落ち着いてー」


クラスから声援が飛ぶが、平均台の真ん中辺りでボールを落としてしまった。

そうなるとまた平均台の最初からやり直さなくてはならない。


その間にピンポン玉とソフトボールを引いた2人が伊勢さんを抜いていった。

バレーボールも難しいのか、落としてしまってやり直してる。

「ヤバいヤバいー」

そう言いながらも何とか平均台を渡り終えた伊勢さん。


「望美頑張ってー!」


1位と2位はもうぐるぐるバットに差し掛かっている。

地面に置かれた紙を1枚選ぶと、そこに回る回数が書いてある。


15回、10回、5回、0回と4枚あって、1位と2位が15回と10回を引いたみたいだ。

…これは伊勢さんが0回を引けば逆転出来そうだぞ!

「明里!伊勢さんチャンスだよ」

「んー、望美って昔からそんなにくじ運良くないんだ、ここで0回引けるかなぁ」

と明里さんは苦笑いしている。


紙をめくる伊勢さん、そのまま通過するのか??

ドキドキしながら見ているとバットを拾って回り出した。


「ほらー!」

「でも5回でもだいぶ早いんじゃない?」


伊勢さんが回っている間に最下位だった人が0回を引いて1位になった。

10回の人が終わってフラフラと走り出したぐらいで伊勢さんも回り終わって走り出した。その足取りは普通に走れている。

「直樹!望美2位にはなれそうだよ!!」

興奮気味の明里さんは俺の肩を揺すりながら伊勢さんの様子を見ている。


15回の人はもうフラフラでまともに走れていない。

あと残っている障害物は袋ジャンプだけだ。


1位の人が袋ジャンプの半分ほど進んだ所で伊勢さんも袋ジャンプを開始した。

…結構大変だよな、あれ。


そのまま伊勢さんはコケることもなく2位でゴールした。


「2位だね!バスケットボールになった時は焦ったけどまぁ良かった!」

「はは、ホントだね」

「伊勢は2位かー」

「結構見てるとドキドキするもんだな!」


「次は千晴だよ!」

明里さんに言われてスタートラインを見ると椎名さんが次の走者だった。

〝パン“

スタートに少し遅れたが足が速い椎名さんはネットに着く頃には1位だった。

スルスルとネットを潜ってそのまま1位をキープしている。


「うわ、椎名めちゃくちゃ速いじゃん」

「千晴運動神経いいしな!」


「さすが千晴って感じだね!」

「はは、すごいね」


平均台まで来てカードを選ぶと、スプーンにソフトボール乗せる椎名さん。

平均台をスイスイ渡っている椎名さんさんに明里さんが声援を送っている。

「頑張れ千晴ー!」

「ははは!任せなさーい!」

こっち向いてピースをする余裕まである。


1位で平均台も通過し、ぐるぐるバットへ着いた椎名さん。

紙をめくって、そのまま走り出した。

「え?0回引いたの?」

俺が驚いていると「うわぁ…さすが千晴だなぁ」と明里さんは若干引いていた。


圧倒的な差で袋ジャンプまで着いた椎名さんは、周りに手を振るパフォーマンスをする余裕まである。

そのまま1位でゴールした。


「うおー!ナイス千晴!すげえな!」

瑛太の大きな声が聞こえたのか、椎名さんはこっちを向いてガッツポーズをしていた。


その後も2組の女子たちは好成績で障害物競争を終えた。

次の競技は全員参加の綱引きだが、一旦休憩時間となり少し時間が空いている。


「直樹?、ちょっと一緒に来てくれないかな?」

「いいよ、どこ行くの?」

「ママ達のところなんだけど、いいかな??」

愛菜さん達のところか…場所が変わってなかったら父さんと母さんもいるんじゃないかな…


「うん、大丈夫」

「よかった!じゃ行こ!」

そう言って立ち上がり俺の手を握って歩き出した明里さん。


3年生の間では俺たちの事を気にする人は少なくなったのだが、1、2年生の近くを通ると、羨ましげな視線や嫉妬の籠った視線など、色々な視線を送ってくる人が未だにいる。


…まぁ、どう思われても別にいいけど。

明里さんに実害がなければ。


明里さんが先導するような形で歩いていたけど、俺は隣に並んで〝ギュッ“と手を握った。


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