83話
「千晴惜しかったなぁ…」
「1組の子速かったね」
序盤は1位だったが、最後の直線でギリギリ抜かれて2位でゴールした椎名さん。
「まぁとりあえず全体で見ると俺らのクラスが優勢っぽいし、一先ずは良しとしようぜ!」
女子も走り終わり、3年徒競走が終わり、グラウンドから退場してテントに戻った。
帰る時、保護者席に居る愛菜さんがこっちに手を振っていたのでペコリとお辞儀をして通り過ぎた。
パパさんが持っているビデオカメラはバッチリとこっちに向いていた。
退場門を出た俺たちだけど、次は玉入れなので瑛太はテントに戻らずそのまま入場門へと向かった。
「お疲れ様!直樹めちゃめちゃかっこよかったよ!!」
「あ、ありがと」
帰ってきた明里さんに開口一番に褒められてテンションが上がる。
「私もドベじゃなかったんだよー!凄いでしょ!」
そう言って頭を俺の方に向けてきた。
俺は「が、頑張ったね」と言いながらとりあえず撫でてみると、明里さんは満足そうに笑みを浮かべていた。
「ふふ、ありがと!」
…3位でこんなに嬉しそうにするなんて、可愛いなぁ。
〝ナデナデ“
明里さんも俺の頭を撫でてきて2人でヨシヨシとしている変な格好になっている。
「はいはいお二人さん、イチャイチャするのもいいけど、玉入れはじまっちまうぞ」
「あっ、そうだね!応援しないと」
反対側に座っている涼也につっこまれて思い出した。
1年、2年、3年の学年順に4組が一斉にカゴに玉を入れる。
1、2年の競技が終わり、瑛太が出る3年の出番が来た。
ピストルの音と共に4クラスが一斉に玉をカゴに投げる。
一つづつ投げる人や、拾えるだけ拾って一撃を狙う人と色んなタイプ人達がいた。
どうやら瑛太は一撃タイプらしい。
俺たちのテントの近くで2組が投げているから、瑛太の「どりゃー!」や「おらぁー!」という気合いの入った声が聞こえて聞こえてくる。
「頑張れ2組ー!」
「よく狙えよー!」
「盛り上がってるね!藤岡くん達いい感じっぽいよ!」
楽しそうな明里さんに「瑛太ー!頑張れー!」「がんばー」と、大きな声で応援している椎名さんと伊勢さん。
…あれ?次の競技って障害物競走だよな、椎名さんと伊勢さん出番だったはずだけど…
「明里?次って障害物競走だよね?」
「えっとね……うん、そうだよ?」
プログラム表を確認する明里さん。
「伊勢さん達ここで応援してるけど大丈夫?」
「…確か伊勢達出るよな」
涼也も思い出したみたいだ。
「あっ!望美!千晴!次出番だよ!入場門行かないと!」
いまだに応援している2人に、慌てて声を掛けている明里さん。
「そうだった!!」
「忘れてたー」
伊勢さんと椎名さんはバタバタと慌ただしくしながら入場門の方へと走っていった。
「怒られそうだねー」
「まぁね」
〝パンっ“
そうこうしていると玉入れが終わったみたいだ。
「どうかな?」
「けっこう入ってると思うぜ」
各クラスの担任の先生がカゴの中から「「「「いーち、にーい」」」」と玉を上に放り投げている。
「「「45」」」
3組が脱落した。
「「48」」
1組も脱落した、我らの2組はまだ残っている。
「「51」」「52」「53」
最後まで残ったのは4組だった…
「負けちゃったね…」
「惜しかったなぁ2つ差かー」
…瑛太達も頑張ってたけど、2位だったか…悔しいだろうな。
瑛太達が退場して、次は伊勢さん達が入場してきた。
障害物競走はグラウンドを一周するのだが、今年の3年はネットくぐり、くじを引いてそこに書かれた種類のボールをスプーンの上に乗せて平均台を渡る、ぐるぐるバット、袋ジャンプをこなしてからゴールする競技となっている。
学年ごとに少しずつ障害物の種類が変わるシステムだ。
「望美達どうかなぁ?なんだか私がドキドキしてきたよ」
「何のボールを引くかで変わりそうだよね」
ピンポン玉、ソフトボール、バレーボール、バスケットボールの4種類あるからな。
「意外と重い方が安定しそうだな」
「じゃあソフトボールが狙い目かな?」
「程よく小さくて軽すぎないからね」
「あぁくそー!負けちまった!すまねぇ!」
自分たちなりに障害物競走の解析をしていると瑛太が戻ってきた。
「おつかれー惜しかったね」
「おつかれ、いい勝負だったじゃん」
「いやぁ僅差で負けるとより悔しいわ!うがぁー!!」
…瑛太負けず嫌いだもんな。
「まぁまぁ、落ち着いて、次椎名さん達だよ」
「ふぅー、あぁ、さっき入場門で会ったから頑張れって言っておいたぜ!」
1年生の競技が始まった。
1年はネットくぐり、けん玉、クイズ、袋ジャンプとなっている。
意外と出されるクイズが難しいようで、みんなそこに手間取っている。
1年が終わり、2年の番になった。
2年生はネットくぐり、ダーツを使った水風船割、ぐるぐるバット、パン食いとなる。
上手く当たらないとなかなか割れない水風船。
ここが上手く抜けられるかどうかが勝敗を分けていた。
2年生が終わり、とうとう伊勢さん達3年生の番になった。
俺たちのテントの近くに平均台が置かれて、応援するにはちょうどいい感じだ。
各クラスのみんながテントの前に集まりだした。
「私たちも行こうよ!」
そう言って席を立った明里さんが俺の手を引っ張ってテントの前に移動した。




