8話
次の日の朝。
いつも通り遅刻しないギリギリに間に合うように家を出た。
下を向きながら昨日知った西條さんの家の前を通ると
「おはよう!」
と声が聞こえた気がして顔を上げると
「おはよう!三津島くん!」
ニコニコした西條さんが立っていた。
びっくりしながら「お、おはよう」と返すと
「私今日寝坊しちゃって、今から学校に行くとこなの…よかったら一緒にいこっ!」
そう言って俺の隣に並ぶ西條さん。
西條さんでも寝坊することあるんだなぁ…
俺は何も考えずそんなことを考えていた。
2人で一緒に学校に行くという状況に
「で、でも、俺なんかと2人で登校なんてしたら、へ、変な噂とかたっちゃうかも…」
立ち止まり俯きながら言う俺に
「でも早く行かないと遅刻しちゃうよ!それに時間も遅いから同じ学校の生徒もいないし大丈夫だよ!ほら!いこっ!」
と、歩き出す西條さん。
まぁ確かに、いつもこの時間同じクラスの人と遭遇したこと無かったな…他に歩いてる生徒もいないし、こんなラッキーなこともう無いかもしれないからせめて楽しもう!
好きな人と一緒に登校できるなんてシチュエーションに内心はウキウキの俺。
と同時に、何を話せばいいか悩む。
「三津島君いつもこの時間に登校してるの??」
上機嫌で歩いている隣の西條さんが聞いて来た。
「だいたいこれぐらいの時間かな、ほんとに朝起きるの苦手で…」
苦笑いしながら恥ずかしさに頬を掻く。
「朝起きるの苦手って昨日も言ってたよね、……そうだ!
朝起こしてあげよっか!」
「こう見えていつもはもっと早起きなんだよ!!」
そう言いながらスマホを取り出す西條さん。
「ほらっ三津島君もスマホ出して!LINE交換しようよ」
「え、あぁ、え?、うん?」
いきなり好きな人との連絡先交換チャンスという急な展開に、俺の思考能力は著しく低下し、言われたままスマホを取り出し、アプリを起動する。
「じゃあQRコード読み込むね!………はいっ登録終わりっ!」
手早く登録を済ませると、早速西條さんからLINEが。
《これからよろしくね!》
可愛らしいスタンプとともに送られてきたメッセージに、ようやく現実に戻って来た。
『え!?ちょ!?西條さんからLINE!?えぇー!?!?』
「既読スルーとかだめだからね!ちゃんと返事返してよ!」
と嬉しそうにスマホを胸に抱えながら話す西條さん。
「わ、わかった。」
「よろしい!遅刻しちゃいけないから早く学校行こう!」
とても軽い足取りの西條さんに対して、朝から驚きの連続でもう頭がパンクしそうな俺はの足取りは心なしか重かった。




