73話
庭に出るともうテーブル、イスがセットされていて、いつでも始められるようになっていた。
「野菜持ってきたよー、お肉はママが持ってくるって!」
テーブルにお皿を置いて、炭にうちわで風を送っているパパさんにそう伝える明里さん。
「…先に野菜でも焼くか」
コンロに網をセットしてタマネギ、茄子、カボチャなどを焼き始めた。
パパさんが焼いてくれるみたいだし、俺は…飲み物準備しとくか…
人数分のお茶が準備できた時、愛菜さんがお肉を持って家から出てきた。
「おまたせーいっぱい食べてねー」
テーブルにドンと置かれた見るからに高そうなお肉。
「うわぁ美味しいそうだね直樹!」
「す、すごいね」
「ふふ、今日は直樹くんが来るからいつもより気合い入れたのよー、だから遠慮なんてしないでね」
と、楽しそうな愛菜さん。
「明里も直樹くんも、どんどん焼くからたくさん食べなさい」
「はい!ありがとうございます!」
よほどお肉が好きなのか、機嫌が良さそうなパパさんが俺のことを名前で呼んでいた。
「良かったねパパ機嫌よさそうだよ」
そう俺に耳打ちする明里さん。
「うん、どうなることかと思ったけどね」
2人で話していると
ジューっとお肉が焼ける音とともに、肉の脂が炭に落ちてとても良い匂いが漂ってきた。
「さぁどんどん焼いていくぞ」
上機嫌なパパさんは次々に網の上に肉を置いていく。
「はい、どうぞ」と明里さんがタレが入ったお皿とお箸を準備してくれていた。
「頂きます!」
良い感じに焼けたお肉はパパさんが網の端に置いて行ってくれている。
一切れお肉を箸で取り、タレに絡めて食べるとめちゃくちゃ美味しかった。
残念だが我が家ではなかなか食べることのできないお肉だ。
「めっちゃ美味しいです!」
「はは、そうか!」
俺の言葉に嬉しそうな顔で笑うパパさん。
「野菜も焼けてるよ!」
キャベツとタマネギをお皿に入れてくれる明里さん。
「ありがとう」
…うん野菜も美味しい。
俺は夢中でバーベキューを頬張るのだった。
「…それで2人はどっちから告白したの?」
「ゴホッ、ゴホッ」
だいぶお腹が膨らんで来た頃、愛菜さん近くに寄ってきて、急にとんでもない話題をぶっ込んできて俺は盛大にむせてしまった。
「大丈夫?」
「う、うん、大丈夫」
隣に座っている明里さんには愛菜さんの声が聞こえて無いみたいだ。
「ふふ、娘の初めての彼氏なんだし、色々聞きたくなっちゃうでしょ?明里は照れちゃって教えてくれないのよーで、どうなの?」
「えっと…俺から…です 」
「いいわねー、男らしいじゃないの、どうして告白しようと思ったのかな?」
「その…気がつけばと言いますか…溢れたと言いますか…」
「きゃー!青春って感じね!それでそれで?」
愛菜さん!声のボリューム大きいですよ!
「なになに?何の話ししてるの?」
俺と愛菜さんが何を話しているのが気になったのか、不思議そうな顔で聞いてくる明里さん。
「明里と直樹くんの馴れ初めを聞いてたのよ」
その言葉にお肉を食べていたパパさんがピクリと反応しているのが見えた。
「もうママってば!前に内緒って言ったのに!」
明里さんは顔を赤くして抗議している。
「こんなカッコいい子に告白されるなんて恥ずかしがることじゃないのに、なんで隠すのよー」
カッコいいだなんて…恥ずかしいです。
「そ、それは…もう!別にいいでしょ!…デザートとってくる!」
明里さんはそう言って赤い顔のまま家の中へと入って行った。
「ふふ、明里ったらすぐに照れるんだから、直樹くん、これからも仲良くしてあげてね」
「もちろんです!」
「…ほら!パパも!」
こちらの様子を伺っていたパパさんがピクリと身体を揺らし、ゴホンと咳払いをした後に歯切れが悪い感じで話し出した。
「えー…あれだ…その…明里のこと…よろしく頼む…」
「はい!ありがとうございます!」
「交際は認めるが…まだ中学生だからな、健全な付き合いを心掛けるように」
「そうね、そこは大事なことね。直樹くん、お互いのことをちゃんと考えて行動すること!明里にもちゃんと言っておくわ」
「わかりました、これからもよろしくお願いします!」
これで両親公認ってことだよな。良かった…パパさんも認めてくれて。
ホッと安心しているとふと気になることが出てきた。
パパさんが言う健全な付き合いってどこまでなんだ?
モヤモヤと考えていると、明里さんが帰ってきた。
…もう照れていないみたいだ。
「お待たせ!直樹が持ってきてくれたプリンだよ!」
そう言ってトレイに乗せてきたプリンとスプーンを皆んなに手渡していく。
「おぉ美味そうだな、早速頂こう」
どうやらパパさん、甘い物も好きみたいだ。プリン買ってきてくれてありがとう母さん!
「「いただきまーす!」」
明里さんと愛菜さんも食べ始めた。
「うん!美味しいよ直樹!」「このプリン美味しいわね」
「よかった」
じゃあ俺も頂こう。ふるふるのプリンを一口食べる。
「…美味しい」
「ね!美味しいよね!」
そう言って一口づつ味わって食べている明里さん。
…パパさんは黙々と食べ続け、もう二つ目みたいだ。
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「ごちそうさまでした!直樹!私の部屋行こー」
デザートも食べ終わりお腹がいっぱいになった頃、明里さんから部屋に誘われた。
「えっと、片付けは…」
流石に食べっぱなしで退散するのは申し訳ないし…
「片付けはいいわよ、残ってるお肉パパがまだ食べるから、2人は遊んでらっしゃいな」
「ありがとー!じゃあ直樹と部屋入るね!」
明里さんはそう言って俺の手を引く。
「え!あの!ごちそうさまでした!美味しかったです!」
明里さんに引っ張られる形で、一先ずバーベキューを終えるのであった。




