69話
先生の近くに座って整列している俺たち。
「よーし、じゃあ全員タイム測れたからリレーのメンバー発表していくぞー!呼ばれた前に出て来てくれー」
クラスのみんながザワザワと騒がしくなる。
「静かにー、6位から発表していくからなー」
と言って次々に発表していき、4位まで発表された。
まだ俺の名前は呼ばれていない。
「じゃあ3位な、男子渡辺!女子伊勢!」
涼也と伊勢さんが呼ばれて前に出る。
「やったな涼也!」「頼むぞ渡辺ー」
「望美がんば!」「頑張ってね伊勢さん!」
とクラスメイトから声をかけられて涼也たち2人は少し恥ずかしそうにしている。
「2位いくぞー、男子新山!女子椎名!」
呼ばれた新山はすごく悔しそうな顔で俺を睨みつけて、ドシドシと不機嫌そうに前へと出ていった。
「頑張ってね千晴!」
「1位狙ったんだけどなーダメだったか、ははっ」
一方楽しそうに前へ出る椎名さん。
「さて、1位の発表だ、男子…三津島!女子…柳!」
新山が2位で呼ばれた時点で1位と分かってはいたけど、いざ発表されると嬉しい。
立ち上がって前に行くときに
「まぁ直樹圧倒的だったもんな!」
「頑張ってな三津島ー」「頼んだぞー」
と瑛太や、球技大会で同じチームだったクラスメイト達から応援され、嬉しくてムズムズしてしまう。
前に出て、クラスメイトを眺めるとニコニコと嬉しそうな明里さんが手を振っていた。
小さく手を振りかえしていると
「この12人がリレーのメンバーってことで、今日の放課後からグラウンドで練習しても良いことになってるから励めよー、じゃあちょっと早いけど授業終わりな!解散!」
と言ってスタスタと校舎に帰って行った佐々木先生。
その場に残された俺たちもゾロゾロと更衣室へと向かった。
「よろしく、三津島くん」
その道中、同じく1位になった柳さんに話しかけられて立ち止まった。
「あ、うん、よろしく…えっと…」
なんて呼べば良いか分からずにいると
「柳 うるは、柳でもうるはでも好きに呼んで」
「わ、わかった、よろしく柳さん」
「うん」
と言って柳さんは女子更衣室へと向かった。
今まで話したこと無かったし、話しかけられたことに驚いたけど、着替えるために更衣室へと歩き出した。
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制服に着替えて教室に戻り、自分の席に座っていると着替える終わった明里さんが俺の席に来た。
「1位おめでとう!体育祭頑張ろうね!」
「ありがとう」
「えっと、今日から放課後練習するの?」
そういや練習しても良いって先生言ってたな。
「他のメンバーがどうするか次第かな」
「千晴達はバトンパスの練習するって言ってたよ!」
男子はどうなんだろう…着替えてるときは何も言って無かったけど、涼也に聞いてみるか。
そう思った俺は後ろに座っている涼也に話しかけた。
「涼也、放課後ってリレーの練習するの?」
「悪ぃ、俺部活だわー」
「あぁそっか、部活忙しいもんな…」
「すまん、とりあえず他のメンバーに聞いてみるわ」
と言って涼也は席を立ち、他のメンバーのところへと歩いて行った。
しばらく明里さんと雑談しながら待っていると涼也が帰ってきた。
「他のメンバーは練習しないってよ、体育祭直前でよくね?って感じだったわ」
「ありがと、俺だけじゃ練習にならんから練習は無しか」
俺と涼也の話を聞いていた明里さんが
「じゃあ直樹だけでも望美達と練習しようよ!」
と提案して来た。
「えぇ!?俺が行くと迷惑になるんじゃ」
「そんなこと無いと思うけど、一応望美達に聞いてみるね!」
と言ってパタパタと走って行った明里さん。
「はは、羨ましいな直樹、女子達に囲まれて練習なんて」
と揶揄ってくる涼也。
「そんなの気まずいって、しかもまだ決まった訳じゃないし」
「伊勢たちなら直樹のこと断らんって」
そんな話をしていると、明里さんが笑顔を浮かべながら帰ってきた。
「みんなOKだって!これで直樹も放課後練習だね!」
「そ、それなら参加させてもらおうかな」
伊勢さん達ならともかく他の女子も断らなかったんだ…
「じゃ授業始まるから戻るね!…これで放課後一緒に居れるね…」
去り際にボソッと俺にだけ聞こえるように囁いていって明里さん。
…まさか練習に誘って来たのは、明里さんが俺と一緒に居たかっただけなのでは…
まぁそれはそれで嬉しいけども。
ニヤニヤと頬が緩んでしまうのを、なんとか抑えながら授業の準備をするのだった。
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放課後になり、明里さん達とグラウンドに向かう俺、女子6人の中に男子1人だけ、というなんとも居辛い空気感だ。
そのままグラウンドに着いた俺たち。
「先行っててー、バトン取ってくるからー」
と言って伊勢さんがグラウンドの端にある体育倉庫へと向かった。
「じゃあとりあえず準備運動でもしてよっか、いきなり走るとアレだし」
と椎名さんの提案に各々準備運動をしているとバトンを手に持った伊勢さんが帰ってきた。
「おまたせー、どうする?とりあえず軽く走ってバトン渡してみるー?」
「うん、とりあえず私らでやってみるから望美は準備運動終わったら入ってきて、三津島くんは1位同士うるはから受け取ってみて」
「わかった、よろしく柳さん」
と、近くにいた柳さんに声をかけた。
「よろしく」
こうして初めての放課後練習が始まった。




