67話
次の日、朝のホームルームの時。
「今日はこのまま1時間目も使ってロングホームルームだ、体育祭の種目決めするぞー」
と担任の佐々木先生がそう言いながら綱引き、騎馬戦、借り物競争など、黒板に体育祭の色々な種目を書き出していた。
しばらくチョークで黒板に文字を書く音が続いたあと、佐々木先生が俺たちの方に向き話し始めた。
「徒競走と綱引きは男女全員、騎馬戦は男子全員、玉入れは男子10人、ダンスは女子全員、クラス対抗リレーは今日の体育の時に200メートルのタイムの速い順に男子6人女子6人、障害物競走は女子5人、借り物競争は女子5人だ」
「まずは玉入れから決めて行こうか、出たいやつ手上げてくれー」
バッと真っ先に勢いよく手を上げたのは瑛太だった。
それから少しザワザワした後にポツポツと他の男子の手が上がり、順調に10人の枠が決まった。
「よし、玉入れは決まったなー、次は障害物競走ー、はい、女子出たい奴いるかー」
ここで手を挙げたのは椎名さんと伊勢さんだった。
「椎名と伊勢は決まりだな、あと3人誰かいないかー?」
と、先生が聞きながらクラスを見回しているとぽつりぽつりと手が挙がり残りの3人も決まった。
「じゃあ次は借り物競争だな、出たいやつ手挙げてくれー」
明里さんが出たいって言ってたやつだ。
そう思ってクラスを見回すと、それなりの数の女子が手を挙げていた。
「おいおい、人気だなぁ、じゃあジャンケンで決めるから手挙げてる奴らは前に出てきてくれー」
先生の声に教卓の前に出てきた人の数は12人。
その中に明里さんの姿見があった。
「じゃあいくぞー、最初はグー、ジャンケンほい…あいこで、しょ」
としばらくあいこが続いた後「あぁ…」と落胆した声が聞こえた。
「負けた奴は席に戻ってくれ」
そう言われて4人が肩を落としながら席に帰っていった。
残ってる8人の中にまだ明里さんが居る。
「最初はグー、ジャンケン」
と2回戦が始まり、またも「あぁー」「うわ負けちゃった」と落胆の声が聞こえた。
今回は4人が負けたみたいだ。
「よし、勝った4人は決まりだな、あとは負けた4人から1人の勝ち抜けだ」
負けた4人の中に明里さんの姿があった。
頑張れ!とドキドキしながら心の中で応援していると3回戦が始まった。
「じゃあいくぞー、最初はグー、ジャンケンほい!」
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キーンコーンカーンコーン
「はい、じゃあこれで決まりだな、今日の体育の時、真剣に走るようになー!」
と言って教室を出ていく佐々木先生。
先生が出た後俺はすぐに明里さんの席へと向かった。
そこには、机の上で腕を組み、顔を埋めている明里さん。
「明里…」
俺の声に顔を上げた明里さん。
「直樹ぃー!」
「良かったね!ジャンケン最後勝てて」
「うん!なんとか借り物競争に決まって良かったよ!」
と嬉しそうな顔をした明里さん。
「もし負けてたらどうやって励まそうかと思った」
俺はぽりぽりと頬を掻きながら言うと
「ふふ、その時はどうやって励ましてくれたのかな?」
とイタズラっぽく言ってくる明里さんにドキッとした。
「ま、まぁ勝ったからね、内緒だよ」
そんなふうに話していると
「おめでと、ギリギリだったじゃん」
「おめー、前から出たいって言ってたもんねー」
伊勢さんと椎名さんがやってきた。
「ありがと!めっちゃドキドキしたよー!」
女子3人でワイワイし出したので俺は「じゃ、また後でね」と一旦自分の席に戻った。
席に戻ると瑛太と涼也が話していたので俺もそこに混ざることにした。
「何話してんの?」
「涼也はリレー狙ってるのか聞いてたんだ」
「あぁ、涼也足速いもんね」
「これでも一応サッカー部だからなー、直樹も足速いよな、リレー狙うん?」
「うん、狙ってるよ、今日の体育は本気で走る予定かな」
明里さんに応援されてるし、俺も負ける訳にはいかない。
「こりゃ1枠は確定だなぁ」
俺の宣言を聞いて瑛太がポツリとこぼしていた。
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体育の時間になりグラウンドに集まった俺たち。
するとそこに
「よーし今日は200メートルのタイム測るぞー」
と、ストップウォッチを首から下げて、手に紙が挟まれたバインダーを持った佐々木先生がやってきた。
クラスメイトがザワザワしてその中から
「あれー今日は佐々木先生なんですかー?」と言う声がした。
「あぁ、体育祭のリレーの選手決めるから担任の私がタイムを測ることになっててな、まぁ気にするな」
「「はーい」」
という声とともに体育の授業が始まった。
準備運動を終えてグラウンドの内側に集まる俺たち。
ウチの学校のグラウンドは一周でだいたい200メートルだ。
「じゃあ一周のタイム測るぞー、とりあえず4人ずつ走ってもらうから好きな順番で並べー」
俺は涼也と瑛太の元へと行こうとしていたが、途中で新山とその取り巻きに絡まれてしまった。
「おい、三津島俺らと走れよ」
「…いや、俺は」
「俺らに負けるのが嫌で逃げんのかよ」
「まぁドベになっちゃうとカッコ悪いもんなー」
断ろうとしたけど、取り巻きたちの言い方にカチンと来た俺は「別にいいよ、負ける気しないし」と返事をして新山たちと順番を待った。
俺らの前が涼也と瑛太がいるグループで、涼也がかなり早かった。さすがサッカー部。
そして俺たちが走る番がやってきた。
スタート位置に着いて始まりの笛を待っていると隣にいる新山が話しかけてきた。
「せいぜい恥かかないように頑張って着いてきてみろよ」
どうやら新山は自分の足の速さにかなり自信があるみたいだ。
「あぁ、そっちもな」
まだ何やら言ってきてるけど、俺は完全に無視して、走ることに集中する。
「じゃあいくぞ、位置について、よーい…」ピッ
スタートの笛が鳴った。




