65話
「は、はい、あーん」
モンブランが乗ったフォークをパクッと食べる明里さん。
モグモグも食べた後
「あ、これも美味しいね!」と楽しそうだ。
これといって特に照れた様子はない。
案外平気なんだな…
「直樹、あーん」
とまたも食べさせてくる明里さん。
それからしばらく俺たちは、お互いにケーキを食べさせ合い、ケーキより甘い雰囲気を部屋に漂わせるのだった。
ケーキも食べ終わり、お茶を飲みながらしばらくマッタリしていたけど、今から何しようか。
アルバムを見るという唯一決めていた予定は終わってしまったし。
初めての彼女で恋人達が何をして過ごしているか分からない俺は、明里さんに聞いてみることにした。
「明里、恋人達って部屋で2人の時何してるのかな?」
「え、こ、恋人がすること…?えっと…それは…その…」
と言って明里さんの顔がドンドン赤くなっていった。
「あ、明里?顔赤いけど大丈夫?」
「な、直樹が変なこと聞くからだよ!」
不味いことだったのかな?
「え!?何か変なこと聞いた??」
「…こ、恋人が部屋で2人の時にすることって…その…え、えっちなこと…とかじゃ…」
真っ赤になった明里さんが手を忙しなくツンツンし、そう言われてやっと気づいた。
めちゃくちゃ勘違いさせる聞き方してる!!
「あ、ち、違うよ!部屋で何して遊んでるんだろうって聞こうと思ってたんだけど」
あー俺も顔が熱い、赤くなってるだろうな。
「そ、そういう意味だったんだ…もう!」
照れ隠しか、バシバシと俺の肩を叩く明里さん。
「ごめんごめん!変なこと言わせちゃって」
「めちゃくちゃ恥ずかしかったんだからね!」
そう言って拗ねたように三角座りになって、膝に顔を埋めた。
俺はどうすればいいか分からずにオロオロしていると
三角座りの明里さんから
「…頭撫でて…」と小さな声が聞こえた。
え…髪触っていいの?
と思いながらもそれで機嫌が直るならと明里さんの横に膝立ちになり、ゆっくりと、出来るだけ優しく頭を撫でてみた。
サラサラの髪の手触りに癖になりそうになる。
しばらく撫でているとゆっくり顔を上げた明里さん。名残惜しいが頭を撫でるのをやめた。
明里さんの顔はほんのりと赤かった。
「さ、さっき言ってた恋人がしてることって、こういう感じじゃないかな?」
「頭撫でたりってこと?」
「ま、まぁ、その…抱き締めたりとか抱き締められたり、イチャイチャはしてると思う」
「そ、そうだよね、恋人だもんね」
「あとはほら、彼氏に後ろから抱き締められながらゲームする!とかよくあるやつじゃない?」
ラノベやアニメとかではテンプレ的なやつだな。
明里さんのが言うってことは現実でもそういうのあるんだ。
一応部屋にゲームはあるし、…やってみるか。
「そ、それ、やってみる?」と俺は勇気を出して聞いてみた。
「いいの!?やりたいな!ちょっと憧れてたんだ!」
と嬉しそうな明里さんをみてホッとした。
聞いてみて良かった。
「じゃあちょっと準備するよ」
そう言って立ち上がり、明里さんが来るからクローゼットに押し込んだゲーム用のモニターとSwitchを取り出してパパッとセットした。
「ゲームは何しよっか?」
と言って数種類のカセットを明里さんの前に置いた。
「あ、これなら知ってるよ!」
と指差したのはスマブラだった。
「やったことあるの?」
「望美の家で少しだけならやったことあるよ!」
あぁ、伊勢さんゲームするって言ってたか。
「わかった、じゃあこれやってみよう」
俺はSwitchにスマブラを入れ、コントローラーを取り外して明里さんに1つ渡した。
「えっと、お、俺が後ろから抱きしめるんだよね?」
「うん、直樹が足開いて座ってもらって、その間に私が入る感じかな」
「じ、じゃあここ座るね」
と、ベットに背中を預けて座って、足を開いて座ってみると、結構恥ずかしい体勢だ。
ここに明里さんが来るのか…
とドキドキしていると
「私も座るね」と言って足の間に明里さんが座った。
そしてそのまま俺の胸に明里さんがもたれかかってきた。
密着する俺たち。これだけでも心臓がドクドクとうるさいほど脈を打っているのが分かる。
これでさらに抱き締めるのか…これ、色々とヤバいんだけど!
そんなことを思っていると
「じゃ、じゃあ抱き締めてみて」と言われて、当たらないように挙げていた両腕を明里さんのお腹の前に回した。
「あッ…」といつもより少し高い声が聞こえた後
「す、すごいね、なんか直樹に包まれてるみたいで、 」
と感想を話す明里さんに、もう俺の心臓は破裂しそうなほどになっていた。
ダイレクトに感じる柔らかい体、腕に当たっているお腹の感触。
この体勢、控えめ言って最高だ。
「く、苦しくない?」と俺が聞くと、明里さんは体を捩って上目遣いで俺の顔を覗き込み心配そうな顔で
「全然大丈夫!直樹は?…重くない?」と聞いてきた。
「うん、俺も全然大丈夫、重くないよ」
と安心させるため出来るだけ平気なように返事をした。
「良かった!じゃあゲームやってみよ!」
「わかったとりあえず対戦してみよう」
と言ってゲーム開始する俺たちだった。




