57話
次の日
今日も2人で登校したけど、チラチラと見られるぐらいで昨日ほどの反応は無かった。
教室に入って自分の席に座り、土曜日の話をするために涼也が来るの待っていると明里さんが伊勢さんと一緒に俺の席へとやってきた。
「おはよー、三津島くん土曜日来れるんだよねー?」
「おはよう伊勢さん、うん、参加させてもらうよ」
「そういえば渡辺くん達はどうだったの?」
「ごめん、昨日聞くの忘れてて…」
「なになに?今俺の名前出てなかった?」
ちょうどいいところに涼也が登校してきた。
「おはよ、土曜日にテストの打ち上げしようって話になってんだけど、涼也来れそう?」
部活かな?
「土曜日かー」と言って何かを考えている風な涼也。
「部活?」
「いや、日曜試合だから、多分土曜日は休みだと思う」
「じゃあ来れそうだねー」
「一応参加にしといて、今日の部活で予定聞いてみるわ!」
「OKー!あとは藤岡くんだけだねー」
瑛太いつもギリギリに登校してくるから休み時間に聞くか。
そんなことを考えていると涼也が「…グループLINEで聞けば早かったんじゃね?」とポツリと言った。
「ま、まぁ今の所5人は参加ってことで!」
「そうそう、また次の機会はLINEで確認するよー」
明里さんも伊勢さんもグループLINEのこと忘れてたっぽいな、俺も忘れてたけど。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴った。
「とりあえず瑛太には俺らが聞いとくから」
「よろしくねー」
「じゃあまたね!」
と言って一旦解散する俺たち。
明里さん達が自分の席に帰って涼也と2人になった。
「なぁ直樹、打ち上げって何すんの?」
「今の予定ではカラオケに行こうって話になってるかな、時間はまだ決めてないけど」
そういや、打ち上げの内容涼也に言って無かったな。
「いいじゃん!最近勉強ばっかしてたからパァーッとしたいな!」
「部活休みだといいね」
「それなー、まぁ大丈夫だとは思うんだけどな」
ガラガラ
先生が教室に入ってきた。
「ホームルーム始めるぞー」
今週は土曜も日曜も忙しいな…と少し嬉しくなるのだった。
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昼休み
いつものメンバーで固まって話をしていた。
「土曜俺も大丈夫だぜ!」
「じゃあ全員参加ってことでいいねー」
「うん!」「おけ!」「うん」「おう」
よかった、打ち上げなら人数は多い方がいいよな。
久しぶりに6人全員でカラオケか。
「時間はどうするー?どっかでご飯食べてから行く?それともカラオケでご飯も食べる?」
椎名さんが幹事みたいだ。
「私はみんなに任せるよ!」
「俺もどっちでも大丈夫」
「うちもどっちでもいいかなー」
「飯食って移動するのもめんどいし、カラオケで済ませていいんじゃね?」
「そうだな!俺もカラオケで食べながらでいいと思う!」
「じゃあカラオケしながら昼ごはんも食べる感じでいきまーす」
どうやら男子2人の案が採用されたみたいだ。
「なら12時にビックエコー集合でいいね!食べ物多いし!」
「「「「「はーい」」」」」
楽しみだなー…と思っていると腕をツンツンと明里さんに突かれた。
「どうしたの?」と聞くと「土曜日一緒に行ける…?」と少し不安そうに聞いてきた。
「もちろん、というか初めから一緒に行こうと思ってたよ」
「そうなの!?よかった!」
…ちょっとしたイタズラを思いついたぞ。
俺は明里さんの耳元に近づいて、なるべくイケボを意識して
「ちょっとでも明里と一緒に居たいからね」
と囁いてみた。
「っ!」と恥ずかしがるような反応をして身体がビクッとなっていた。
イタズラが成功したように見えたからニヤニヤしていると
「も、もう!ビックリしちゃったよ!」といってポカポカと肩を叩いてきた明里さん。
なんか静かになったな…と思って涼也たちを見るとニヤニヤしていたり、少し呆れ気味の顔をしていたりと、さまざまな反応をしていた。
「いちゃついてんなー」と涼也が
「完全にバカップルだねー」と伊勢さん
別にバカップルまではいってないだろ、と思っていたけど、自分の行動を思い返すと言い返せない。
なんやかんや話していると、教室のドアのところに見覚えのある女の子がキョロキョロしているのが目に入った。
俺に用があるんだろうなぁ…俺もそろそろハッキリ言わないとな…と思っていると目が合った。
「あ!三津島せんぱーい、ちょっといいですかー?」
やっぱ俺ですよね…言い出しづらいな…
「直樹…あの子…」
「うん、心配しないで、ちゃんと話してくるよ」
明里さんに一言言って、俺を呼んだ女の子、咲希ちゃんの元へと歩いて行った。
「呼び出してごめんなさい」
「いや、俺も話さなきゃいけないらことがあるから」
俺と咲希ちゃんは教室から離れて廊下の端で話すことに。
「先輩、西條先輩と付き合ってるって本当ですか?」
やっぱりその話だよな…今日あれだけ騒がれたら知ってるよな。
「うん、本当だよ」
「…連絡くれなかったのもそれでですか?」
「…あぁ、悪い。彼女が居るのに他の女の子と連絡は取れないと思って」
「遊びに行く約束も当然無し…ってことですよね?」
「…すまない」
咲希ちゃんはずっと俯いていて表情は見えないけど、当然怒ってるよな…
2人の間に沈黙が流れた。
少しして咲希ちゃんが口を開いた。
「はぁ…西條先輩じゃないとダメなんですか?」
「あぁ、俺は明里が好きだ」
「…私、先輩のこと好きだったんです…」
「…すまない」
「…先輩と西條先輩は両思いだって気づいてましたからこうなるのも覚悟はしてました、もっと早く行動しなかった私がダメなんです…」
「いや、曖昧な返事をした俺が悪いよ、ごめん」
「謝らなくていいですよ、じゃあ、お時間とってしまってすみませんでした…私をフッたんですから、す、すぐに別れたりしたらゆ、許しませんよ!では、お、お幸せにっ!」
と言って背を向けて歩き出した咲希ちゃんに何も声を掛けれなかった。
泣いてた…よな。
…最初から俺がハッキリしてたらこんなことにならなかったかもしれないよな…
俺は「ごめんな…」とポツリと零して教室に戻ったのだった。
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教室に戻ったときちょうど昼休みが終わる頃だった。
「大丈夫?」
その声に顔を上げると心配そうな明里さんが俺の目の前にいた。
「大丈夫だよ…ちゃんと俺と明里が付き合ってること話したから」
「ありがとう」
キーンコーンカーンコーン
「明里、もう授業始まっちゃうよ、またあとでね」
「う、うん、じゃあまた後でね!」
また心配そうな明里さんだったけど、自分の席に帰って行った。
はぁ…今まで女の子を振ったことなんてないから罪悪感がすごい。なんとか持ち直さないと。
それから放課後まで憂鬱な気分が晴れることは無かった。
「直樹?帰ろ?」
明里に声を掛けられて気がつくと放課後になっていた。もう放課後か…
「あ、うん、帰ろう」
2人で教室を出る。
校門出た所で明里さんが腕を組んで来た。
「私は直樹が大好き、直樹は私のこと好き?」
「…うん、俺も明里のことが大好きだ」
そうだ…いつまでもウジウジしてたら明里さんにも咲希ちゃんにも失礼だろ!
「明里と付き合えて嬉しいよ、俺は明里じゃないとダメだ!」
「ありがとう!私もだよ、直樹じゃないと嫌だ。元気出たみたいだね!」
あぁ気使わせてしまった。しっかりしろ俺!俺の恋人は明里だろ!
「もう大丈夫、いつまでもウジウジしてごめん、ありがとう」
「ううん、いつでも甘えて、我慢しないでいいからね」
その言葉を聞いて通学路だというのに俺は思わず明里さんを抱きしめた。
何も言わずに抱きしめ返してくる明里さん。
「ママー、あの人たちぎゅーッてしてるよ!仲良しだね!」
「しーっ、こういう時は見てないフリするのよ!」
すれ違った親子の会話が聞こえてきて、勢いよく離れた俺たち。
「はは、か、帰ろっか!」
「う、うん、帰ろう!ははは」
と2人とも顔を顔を赤くしてギクシャクとしながら歩き出すのだった。




