53話
家に着いて若干のニヤけ顔のままリビングに入った俺は、食卓に居た姉ちゃんにジロジロと顔を見られていた。
「んー…?んん…?、なんかいつもと違うような…んー?」
イスから立ち上がって俺の周りをグルグルと回りながら何かを確認するような行動をしている。
「な、なに?」
「あんた、明里ちゃんと何かあったでしょ」
な、なんでわかるんだよ!
「え、え?何が?」
「私の勘がね、ビンビンと反応してるんだよねー」
まるでミステリーの探偵みたいに腕を組みながら俺の周りをゆっくりと回る。
「はぁ…何だよ勘って」
「私の勘ってあんまり外れた事ないから、どれ、白状しちゃいなって、明里ちゃんに告白でもしたんだろう?」
そう言われて体がビクッとしてしまう。
なんだよこの無駄な精度の勘。エスパーかよ。
「その様子を見るとOKだったんでしょ?別に隠さなくてもいいじゃん」
ここまで完璧に当てられて嘘を吐くのもどうかと思った俺は正直に話すことにした。正直なところ自慢したいって思いもあるし。
「…あぁ、今日告ったよ、明里もOKしてくれた」
「ほほぉ、本当に告白してたんだ…それに付き合った初日から呼び捨てとはねー、若いって良いねぇ………」
姉ちゃんはそう言ってキッチンでご飯を作っている母さんの方に身体を向けた。
なんか嫌な予感がする…
「ママぁ〜!!!大変!!!!直樹に彼女が出来た!!!!!!」
その叫びを聞いた母さんの方からガチャン!と食器を落とした音が聞こえた。
「な、何ですってー!!!!」と叫んだ後、落とした食器を拾うこともせずに俺の所に走ってきた。
「彼女出来たって、ほ、ほんとなの!?どんな子??年上?年下??可愛いの??それとも美人さん???」
「お、落ち着いて!言う、言うから!」俺の肩を掴みガタガタと揺らしながら聞いてくる母さん。
「ママ!私会ったことあるよ!可愛い6の綺麗4みたいなめっちゃ可愛い子!明里ちゃん!確か苗字は西條だったかな!」
「キャー凄い!!直樹凄いじゃない!!!まさか友達家に連れてくる前に彼女が来ちゃうんじゃないの??」
女2人で盛り上がってる。
「は、はは…まぁ近いうちに母さんにも紹介するよ」
うちに来たいって明里さんも言ってたし。
「はぁ…あの直樹にも彼女が出来るなんて…安心したわ」
目元を擦りながらそう言う母さん。
「母さん…そんなに感動しなくても…」
そこまで喜んでくれるなんて、ちょっと俺も泣きそうだな。
「あぁ、これ?さっきまで玉ねぎ切ってたの、今日カレーだから」
そう言ってキッチンを指差す。
「紛らわしいわ!」
俺の感動返せよ!
「でも、嬉しいのは本当よ、今まで1人だった直樹に彼女が出来たなんて、喜ぶに決まってるじゃないの、早くうちに連れてきなさいよ!」
そう言ってカレー作りに戻った母さん。
姉ちゃんと2人になった。
「さて、何が私に言うことはないのかな?」
そう言って得意げな顔をしている姉ちゃん。
「あぁ…今まで色々とありがとう…その、髪とか服とか、すげぇ助かった」
「どういたしまして!ふふん、分かってるじゃないの」
実際姉ちゃんには感謝してるよ。カットモデルの話も服買いに行くのも結構無理矢理だったけど俺1人じゃ勇気出なかったし。
「私にもちゃんと彼女として紹介してよね!あと髪!もう伸びてきたんだから胡桃さんに連絡しなさいよ!」
そう言って食卓に座った。
確かに髪伸びてきたな、今から暑くなるし短めに切ってもらおうかな。
少し伸びた髪をいじりながら俺は手を洗い行った。
ーーーーーーーーーー
晩御飯を食べ終わり、自分の部屋に帰ってきた俺はバックを机の上に置いてベットに横になった。
なんか色々あって疲れたな。
しかし、あの明里さんが俺の彼女…か…くぅー!ヤバい、ニヤニヤが止まらん。
枕を抱きしめながらベットの上をゴロゴロと転がっていると、LINEの通知音がした。
ベットの上に放り投げていたスマホを取り開くと明里さんからだった。
《明日望美と千晴に会う事になったよ!私たちのこと2人に報告するね!》
すぐに返事を送る。
《俺は家に帰ったら付き合いだしたこと姉ちゃんが気づいた!勘で》
《ええ!優子さん凄い!直樹そんな分かりやすい顔してたの??》
《いや、そんなことは無いと思うんだけど、姉ちゃん昔からやけに勘が鋭くて、その流れで母さんにも俺たちのこと言ったよ》
《お母さんどんな反応だった!?大丈夫そうだった??》
《うん!めちゃくちゃ喜んでた、早く会わせろってさ》
《良かったー!私はいつでも大丈夫だから、お母さん達の都合のいい日にお家行かせてもらうね!》
《母さん達に予定聞いておくよ》
《うん!じゃあ私今からお風呂入ってくるね!また後で!》
《わかった》
さて、俺も風呂入ろう。
ベットから起き上がり風呂へと向かうのだった。
ーーーーーーーーーー
風呂から出て今日明里さんに教えてもらった数学の復習をしていると、スマホに着信があった。明里さんだ。
「もしもし、どうしたの?」
「もしもし!あのね、LINEしようかと思ったんだけど、声聞きたくなっちゃって電話しちゃった!今大丈夫だった?」
声が聞きたくなったなんて…あぁ可愛い…
「あ、ありがとう、全然大丈夫だよ」
「何してたの?」
「今日、あ、明里に教えてもらった数学の復習してたとこだよ」
呼び捨てにするのまだ恥ずかしいな。
「ちゃんと復習するなんてえらいね!先生が頭撫でてあげる!ほら、ヨシヨシ!」
「電話で!?」
「エアーヨシヨシだよ!雰囲気だよ!雰囲気で感じ取るの!」
「…あ、ありがとう」
なんか照れるな。
「私も勉強しとこっかなぁ」
「まぁもうすぐテスト本番だからね」
「そうだよね!じゃあ勉強するよ!…直樹!好きだよ!じゃあね!」
「うん、俺も、す、好きだよ」
「ふふ、ありがと!じゃあせーので!切るね!」
「「せーの」」
で、電話を切った俺たち。
あぁヤバい…幸せだなぁ…
赤くなった顔のまま数学の問題との戦いを再開するのであった。




