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ずっと片思いだった女子が同じクラスになった途端グイグイ来るんですけど  作者: ナミツキ


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50話


隣に座って来たことに驚いたのだが、一先ず今日の目的である勉強に取り掛かる。

持って来たバックをゴソゴソと漁りながら、何から手をつけようかと悩んでいると「来週のテスト、1番不安な科目ってどれなの?」と聞いてきた。


「んー数学かな、因数分解とかもう意味わかんない」

暗記系の科目は最悪直前までは覚えるチャンスがあるけど、計算はどうにもね。

「公式とか覚えると案外何とか解けるよ!」


「明里さんは何が苦手?」

「私暗記系が苦手で…社会と英語はちょっとヤバいかも」

勝手なイメージなんだけど、女の子ってみんな勉強できるって思ってるのは俺だけなんだろうか?


「暗記は1人でもできるから、私今日は数学の先生役するね!」

そう言ってどこから取り出したか、スチャっと黒縁メガネを装着した明里さん。

「普段は着けないんだけど、どうかな?似合ってる?」

と、あざとく上目遣いで目詰めてきた。


……ぐはぁ……なんて破壊力!

普段から可愛いのに、こんな小技まで持ってるなんて!

似合わない訳ないじゃないか!めちゃくちゃ可愛いですよ!

最高だよ!好きだ!!

なんて頭の中で褒めちぎっていると、明里さんは何も言わない俺に不安になったのかメガネを外そうとしている。


「や、やっぱ似合わないよ「似合うよ!すごい似合ってる!」

食い気味にその言葉を否定したけど、まだ不安そうな

顔だな。

「本当に似合ってるよ!か、可愛い!ちょっとドキッとしちゃって何も言えなかっただけだから!」

「ほ、ほんと?ドキッとしたの?」

「ほ、ほんと!いつもと違う感じでドキドキする」

さすがにここまで言えば分かってくれただろう。

1つ山場を越えたと安心していると


「…じゃあもう一回言って欲しいな!」

そう言って一度メガネを外して、もう一度掛け直した明里さん。

何をしてるんだろう?


「似合ってるかな?」

上目遣いで聞き直してきた。初めからやり直しってことなのね。

一回本音を話したから今回はスラスラと言葉が出た。


「うん似合ってるよ、すごい可愛い」

「ありがとう!へへへ、今日のために準備して良かった!」

照れくさそうに笑う明里さん。わざわざ準備したんだ…ナイスです。

そこまでしてくれたなら明里さんのノリに付き合おう。

「じゃあ今日はよろしくお願いします!明里()()


「っ、いいね!なんか直樹くんに先生って呼ばれたらゾクっとしちゃった!手取り足取りスパルタ教師でいくね!」

「いや、そこは優しい先生でお願いします」

このやり取りだけで、もう満足してしまう俺でした。


「さぁ始めるよ!直樹くん!」


そんなこんなで勉強を始めるのだった。




ーーーーーー


「先生、ここがイマイチわからなんですけど」

「ふんふん、これはこの公式を当てはめてから考えるの」

「あぁ…なるほど」


と、あれからしばらく勉強していたんだけど、明里さん教えるの上手くてとても分かりやすい。


「だいぶ分かってきたね直樹くん!…そろそろ休憩しよっか」

気がつけば1時間ほど経っていた。

「飲み物取ってくるね!」そう言って部屋を出る明里さん。


俺は立ち上がって身体をグッと伸ばすとポキポキと色んな所から関節が鳴る音がした。

授業中でもしないほど集中してたなぁ。


1人になった俺は明里さんがいないうちに改めてぐるりと部屋を見渡してみた。


綺麗に整理された化粧道具や小さなぬいぐるみ。

それがあるだけでも女の子の部屋って感じだなぁ…


ふと机の上に飾られていた写真が目に入った。

近づいて見てみると、伊勢さんと椎名さんと明里さんが制服で楽しそうにしている写真だった。


マジマジと見ていると、ガチャっとドアが開いたので慌てて元のテーブルに戻ろうとしたのだが間に合わなかった。


「あれ?どうしたの?…あぁそれ?修学旅行の時のやつだよ」

「ごめん!勝手に見ちゃって」

「いいよいいよ全然!2日目の京都で、地主神社で撮ったんだ!あの縁結びで有名な石があるとこ!」

「あぁ、目を瞑って反対の石まで辿り着けたら恋が叶うってやつね」

「そうそう!私やったよ!1回で石触れたんだー」

嬉しそうに話す明里さんを見ているとチクリと心が痛む。


うちの学校の修学旅行は2年生の10月に奈良、京都、大阪に2泊3日だった。


「2年の時も伊勢さんと椎名さん同じクラスだったの?」

「ううん、千晴は2年の時に同じクラスだけど、望美は違うクラスだったの、京都は班で自由行動だったから同じ神社行く予定にして一緒に居たんだよ、それでね!その後も…」

ほんとに仲いいんだなぁ…

明里さんが思い出を話してくれてるけど、俺は当時のことを思い出して気持ちが沈んでいった。


大して仲のいい友達もいなかった俺は、班決めのときは余ってたし、人数合わせで入れてくれた班じゃずっと浮いてたし、楽しかった修学旅行の思い出なんてほとんど無いや。


「…て感じで、…直樹くん?」

「え、あ、ごめん!」

だめだ、ボッーっとしてた。

「だ。大丈夫?」

心配そうな顔だな…明里さん。俺そんなひどい顔してたかな?


「うん、大丈夫、修学旅行楽しめたなら良かったよ」


「直樹くんは楽しくなかったの?」

「まぁ、仲のいい人居なかったから…特には」

もっと早くに友達作ろうとしてたら俺も楽しめたかな。


まだ心配そうな顔をしていた明里さんが急に

「大丈夫…大丈夫だよ!」と言って俺の手を握る明里さん

いきなりのことに「な、なにが!?」と、焦る俺!


「同じ高校行くんだし!次の修学旅行は最高の思い出になるよ!いや!私がする!」

手から伝ってくる明里さんの気持ちに少し泣きそうになる。

「まだ明峰にいけるかどうかもわかんないけどね」

「それも私がなんとかするよ!私が勉強教える!私は直樹くんだけの先生だから!」

そう言ってまだ掛けていたメガネをクイッと上げる。

俺はその仕草がなんだか面白くて気がつくと笑っていた。


「そうだね、これからもよろしくお願いします!明里先生」


「うん!一緒に頑張ろうね!直樹くん!」


そう言って笑い合う2人だった。

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