5話
俺は初めての放課後清掃を終え、家に帰ってきた。
ガチャ
「ただいまー」
家のリビングに入ると、キッチンから母さんの声が
「おかえり直樹、いつも帰ってくるの早いのに今日は遅かったのね」
晩御飯の支度をしながら、珍しく帰ってくるのが遅かった息子に声をかける母の翔子。
「今日委員会の仕事があって、俺、美化委員だからたまに放課後に清掃する日があるんだ、だからこれからちょくちょく帰りが遅い日があると思う」
西條さんとの清掃時間を思い出し、ニヤケそうになる顔をなんとか抑えながら返事をする。
「たまには友達と遊びにでもいってらっしゃいよ、もう3年生なんだから2学期ぐらいから本格的な受験勉強しなくちゃいけないでしょう?」
俺は親しい友人もおらず、学校が終わると家で勉強するか、ゲームをするか、漫画を読むぐらいしかする事がなかった。
一応中学1年2年の時の学力は、学年でも中程の成績を納めている
勉強には困っていないが、「友達と遊べ」と言われると困る。
1年の時は、同じ小学校から上がってきて、クラスで話す友達ぐらいはちらほらと居たのだが、2年でクラスが離れ疎遠になってからは話すことも無くなってしまった。
2年の時は、学校生活が普通に送れる程度の付き合いしかクラスメイトとはしていない。
3年になった今も、あと1年後には卒業だし、親しい友達ができたとして、『どうせ高校ではバラバラになるだろう』と思い、クラスメイトとは今まで通り、普通の学校生活ができるぐらいの交友関係しか作る気は無かった。
しかし、このままの生活もダメだとも思っている。
できれば放課後に色々遊びに行ったり、休日などに共通の趣味で盛り上がれる相手が欲しいと思う。
友達か……どうしよう…
リビングを出てこれからの事を考えながら階段を上がり、自分の部屋へと入る。
学校のカバンを机の上に置き、制服から部屋着であるスウェットの上下に着替えると、ベットに横たわる。
友達かぁ……今までほぼほぼぼっちだったから自分から何て声をかけたら良いか分からないな……ここはとりあえず朝のあいさつぐらいから徐々に仲良くなるのがいいかな??近くの席の人から始めてみようかな。
(思い立ったら吉日)という言葉があるように、早速明日から実践してみようと気合を入れる直樹であった。




