49話
約束の土曜日
とうとうこの日が来た…前に1明里さんの家に入ったときはリビングまでしか入ってないけど、今日はたぶん部屋で勉強するだろう。
この前伊勢さんの部屋に入ったけど、あの時は3人だったから、女の子の部屋で2人きりは今日が初めてだ。
昨日は全然寝れなかったし、テスト勉強なんて全く身に入らなかった。
あれ?本末転倒なんじゃ?と思うけど…まぁ気にしないでおこう。
明里さんのご両親は昼ごろから出かけるらしいので、2時に家に行く予定だ。
もし早くなるならLINEが来る話になっている。
今の時間を確認しようと時計を見ると
部屋の壁に掛けている時計は11時ちょうどを指している。
まだまだ時間あるな。
一応朝起きて歯を磨く時に、鼻毛が出ていないか、などのエチケットは完璧に確認している。
さて、何をして時間を潰そう…
ベットに横になったまま、気を紛らわすためにスマホでネットサーフィンをしていると、1つ気になる記事があった。
〔初めての恋人は何歳?〕
……ちょっと見てみるか。
…へぇ…小学生で居る子もいるんだなぁ。
まぁ仲のいい友達って感じだろうな。
…中学生も多いんだ…流石に中学生にもなると、普通の彼氏彼女って感じだろう。
瑛太と椎名さんもあれからいい感じだし。
…告白かぁ…
と、記事を読みながらそんな事を考えていると、そこそこ時間が経っていた。
ぐぅぅぅー
緊張でろくに寝れず、朝早くから起きている俺の腹は空腹を訴えてきた。
とりあえず下に降りるか。
ベットから起き上がり部屋を出て1階のリビングへと向かった。
リビングに入ると母さんがキッチンで昼ごはんを作っていた。
「あら、まだ出来てないわよ、もうすぐで出来るからちょっと待ってなさい」
いい匂いがする。
「わかった」
「今日どこか出掛けるの?」
「うん、友達とテスト勉強」
「どうしたの最近?この前も勉強しに行ってたし、志望校でも決まったの?」
「うん、明峰かなーって思ってる」
「直樹の学力で明峰行けるの?塾でも通う?」
「今年からちゃんと勉強するつもりだからたぶん大丈夫、姉ちゃんでも受かったわけだし」
中学の頃の姉ちゃんっていつも遊んでばっかりだった気がするな。
「あの子3年生の12月ぐらいから勉強漬けだったわよ、たしか試験前なんて地獄だったわ」
と当時のことを思い出して苦い顔をしている母さん
俺はもうちょっと計画的に勉強しておこうと心に誓ったのだった。
「はい、ご飯できたわよ」
今日の昼ごはんは親子丼だ。
「いただきます」
「ま、無理ない程度に頑張りなさいよ、夜ご飯は家で食べる?」
「たぶん、もし外で食べる事になったらLINE送るよ」
そういって親子丼をかき込んだ。あぁ美味い。
ーーーーーーーーー
《そろそろ出掛けそうだから2時ぐらいに来てくれるかな?》
俺は明里さんから来たLINEを見ていた。
今は1時、あと1時間か……心臓めっちゃバクバクしてる。
今ですらこんな状態で明里さんと2人きり…俺の心臓大丈夫か?
とりあえず最終確認しよう。
バックを広げ忘れ物が無いか確認する。
教科書OK、ノートOK、筆記用具OK。…よし。
勉強道具は大丈夫。
次は一応部屋に置いてある鏡を見る。
セットOKのはず、眉毛OKだと思う、鼻毛はOK、服装もたぶんOK。…大丈夫だろう。
身だしなみも大丈夫。
あとは財布とスマホをポケットに入れて準備完了だ。
時間を確認すると1時半。ちょっと早いけどそろそろ行こうかな。
バックを持って部屋を出る。
階段を降りてリビングにいる母さんに行ってくると告げた。
玄関を出て《今から家出るね》と明里さんにLINE送り、俺は心を落ち着かせるようにゆっくりと歩きだした。
ーーーーーーーーーーー
《着いたらインターホン押してね!もう私しか居ないから!》
明里さんの家に着いた。ゴクリと唾を飲み込みながらインターホンを押す。
すぐにドアが開いてそこからひょこりと明里さんが顔を出した。
「いらっしゃい!どうぞ!」
ドアを押し開けて中へと誘う。
「お、お邪魔します」
恐る恐る入り、出されたスリッパを履いて明里さんの後を追う。
「じゃあ私の部屋行こっか!」
そう言って階段を上がり、上がってすぐ右のドアの前で止まる明里さん。
「い、一応頑張って片付けたから綺麗になったとは思うんだけど、粗探しとかしないでね!」
と前置きがあった後ドアを開いた。
「直樹くん?どうしたの?」
「な、なんでもないよ!」
先に部屋に入った明里さんに声を掛けられるまで固まっていた俺は急いで部屋に入った。
一歩部屋に入るとまずとてもいい匂いが全身を包んだ。
最近よく嗅ぐようになった匂いだ。
10畳ぐらいの広めの部屋は白色で統一された家具が置いてあり、机やタンスの上に女の子らしい可愛い小物や写真立てがセンスよく置かれていた。
ここが明里さんの部屋…
「自分の部屋に直樹くんが居るってなんか緊張する…変じゃないかな?」と赤くなっている明里さん。
「ぜ、全然変じゃないよ!明里さんの部屋に比べたら俺の部屋なんて恥ずかしくて見せられないぐらいだよ」
「…じゃあ今度は直樹くんの部屋見に行かなくちゃだね!」
「うぇ!?」
変な声出た。
「私だけ自分の部屋見せたんじゃ不公平でしょ?恥ずかしかったんだから直樹くんにもこの気持ち味わってもらわないと!ふふっ」
緊張が解けたように微笑む明里さん。
「う、うちに来るって、母さんとか姉ちゃんもいるよ!?」
「うん!優子さんにもまた会いたいし、直樹くんのお母さんにも会ってみたいもん!」
「うぇ!?」
変な声でた!!
「まぁ直樹くんのお家に今度お邪魔するのは決まったとして、そろそろお勉強しちゃおっか!」
「ほ、本当に来るの!?」
「うん!本当に行くよ!さ、どうぞそこ座って座って!」
ベットの横にあるテーブルに誘われた俺は、ぎこちなくだがなんとか置かれていたクッションに座った。
すると、対面に座ると思っていた明里さんはスッと俺の隣に座った。
それに驚いていると
「こ、この方がお互い分からないとこあった時教え安いでしょ?」
と言ってそのまま社会の教科書を開いた。
「ま、まぁそうだね…」と返事をするのにいっぱいいっぱいの俺。
こうしてドキドキの勉強会が始まった。




