32話
レンタルショップに着いた。
レジでDVDを返却し店を出ようと思ったけど、無性に新作ゲームが気になり、フラッとゲームコーナーへ行ってみた。
ゲームコーナーに着くと気になるソフトを見つけた。
…あ…この前のゲームもう発売してたんだ…
とりあえずパッケージを手に取り裏面などを確認して
少し悩んだのだが、最近の生活を思い出した。
…今買ってもする時間ないしな、とりあえず今回は買うのやめよう。
そのままパッケージを元の場所に戻し、店を出ようとした所で聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれ?先輩?」
振り向くと委員会の後輩の伊藤 咲希ちゃんが驚いた顔で立っていた。
「こんばんは!こんな所で会うなんて奇遇ですね!先輩もDVD借りに来たんですか??」
「いや、借りてたのを返しに来ただけなんだ、えっと…伊藤さん…は?」
「先輩!さん付けなんてやめてくださいよー!私の方が後輩なんですから、咲希でも咲希ちゃんでも名前で読んで下さいよ!」
俺はグイグイくる後輩にタジタジになりながらも
「あ、あぁ、じゃあ咲希ちゃんで…」と返す。
「ハイ!ありがとうございます!えっと、私休みのあいだ暇で、何か面白そうなの無いか探してたんです!」
そう言ってDVDが入っているであろう袋をジャーンと顔の前に掲げている。
「そ、そうなんだ…良かったな、良いのがあったみたいで」
と苦笑いしながら、「じゃあ、気付けてな」と言い帰ろうと背を向けて歩き出したんだけど、咲希ちゃんに上着の裾を摘まれたので足を止め振り返ると寂しそうな顔があった。
「先輩もう帰っちゃうんですか…?」
「いやぁ、もう暗いし早く帰った方が良いと思うんだが…」
「大丈夫です!うちそこのコンビニから秒で帰れるんで!」
とすぐそこのコンビニを指差す咲希ちゃん。
「せっかくなので先輩と少しお話ししたいんですけど、…嫌ですか?」
…その言い方されると断りづらいなぁ…
「別に嫌ではないけど…あんまり遅くなると家の人が心配するだろうし…まぁ少しだけなら…」
困ったように言った俺だけど、咲希ちゃんはパァッと目を輝かせている。
「ありがとうございます先輩!じゃあそこのコンビニで飲み物でも買って話しましょう!」
そう言ってスタスタと歩いて行く咲希ちゃんの背中をとりあえず追いかけた。
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コンビニに入り、缶コーヒーを手にセルフレジへ向かうと、ミルクティーを手に持って俺の後ろに並ぶ咲希
ちゃん。後ろを振り返り
「ほら、一緒に払うから」と手を出すと
「そんな!いいですいいです!私のわがままで先輩を引き止めたのに!自分の分は自分で払いますよ!」
と言われたが
「年上だしこれぐらいは」
と言って咲希ちゃんの手からペットボトルを取りパパッと会計を済ませ、「はい」とミルクティーを返した。
「す、すいません、い、いただきます…」
顔を赤くして受け取る咲希ちゃんとコンビニを出て、駐車場の端に移動することに。
買ったばかりの缶コーヒーを飲み、一息付いていると落ち着きを取り戻した咲希ちゃんが
「引き止めた上に飲み物まで買ってもらっちゃって、ほんとありがとうございます!」
ぺこりと頭を下げながらお礼を言ってきた。
「いいよいいよ、気にしないで」
すると、咲希ちゃんは一口ミルクティーを飲み、意を決したように
「あ、あの!先輩はこの連休予定あるんですか??」
と聞いてきた。
正直に言うと明日は暇だが、今日色々あったため明日1日はゆっくり過ごそうと思っていた。
悪いけどやんわりと断ろう。
「あ、あぁ、友達と遊ぶ約束があるんだ」
そう言うとシュンとした様子で
「そうなんですか……もし予定が無くて暇だったら、良かったら私と遊んで欲しかったんですけど…残念です…」
「せっかくの誘いだけど…ごめんな」
…まてまて!いきなり2人で遊ぼうとしてたの!?この子!
頭の中ではかなり驚いていたがなんとか平静を保ちながら断ることに成功した。
「いえ、急に誘おうとした私が悪いですし、気にしないで下さい!」
そう言って俯いてしまった咲希ちゃん。
なんて声をかければ良いか分からず少し気まずい雰囲気が流れた。
そこからしばらくお互い飲み物を無言で飲む時間が続いて、俺の缶コーヒーが空になった頃
「あの……先輩が暇な時でいいので、遊んでくれませんか?」
急に声を掛けられた俺はビクッとしてしまい、咄嗟に「あ、あぁ」と返事をした。
「ほ、ほんとですか!?約束ですよ!私は楽しみにしてますからね!」
今度はとても嬉しそうな顔で言う咲希ちゃん。
…そこまで俺と遊びたいものなのか?…なんでだ?
特に接点も無かったはずの俺といつか遊ぶ約束をしただけで喜ぶなんて。
「じゃあそろそろ帰りますね!ありがとうございました!ご馳走様です!!」
不思議に思っていた俺だが、シュバっと頭を下げて嵐のように走り去って行く咲希を見て
…なんだかすごい変わった子……なのかな?
と、呆気に取られていた。
帰り道、気を取り直して今日の出来事を振り返りながら歩く
…明里さんのご飯美味しかったな…膝枕まで……膝…柔らかかったなぁ…手も繋いじゃったし……少し変わった後輩にも会ったけど。
星空を見上げなら歩いていると、ふと違和感のようなモヤモヤとした感情が心に浮かんできた。
好きでもない男にご飯作ってくれたり、手を繋いだり膝枕なんて…普通はしない…よな?
俺は明里さんの事が好きだ…もしかして明里さんも俺のことを?
今まで付き合ったことも女子から好意を受けた事も無いため女の子の気持ちは分からない。
いや、変に勘違いはしないようにしないと…純粋に明里さんの優しさからの行動と捉えておこう。
そんなことを考えていると気がつくと自分の家に着いていた。
お風呂から出て自分の部屋のベットに横になり、スマホを確認すると明里さんからの着信履歴が一件
時間を確認すると俺が風呂に入ってすぐぐらいの時間だった。
何かあったのかと慌てて電話を掛けるとすぐに出た。
「ごめん!お風呂入ってた!どうしたの??何かあった??」
「いや、特になにかあった訳じゃないんだけど、何してるかなぁーと思って!」
「あぁ、お風呂から出てすぐに電話掛けたから今ベットで横になってるよ、明里さんは何してたの?」
「私はねー」とその後もしばらく話は続き、時間も遅くなって来た。
「あ…もうこんな時間だ…長々と話しちゃってごめんね!」
そう言われ、いったん耳からスマホを離し時間を確認すると12時が過ぎ、夜中になっていた。
…時間が経つのめちゃくちゃ早いな…
「全然!明里さんと話すの楽しいし…そろそろ寝る?」
「んーそうだね、いくら連休だからって夜更かしの癖がついちゃうと休み明けが大変だし、そろそろ寝よっかな」
「わかった、5日よろしくね。」
「こちらこそよろしく!楽しみにしてるね!じゃあおやすみ!」
「おやすみ」
そう言って「「せーの」」で電話を切った。
ずっとスマホを耳に当てていたせいで少し耳が痛くなっていた。
耳を揉みほぐし、腕を伸ばすと肘もぼんやりとした痛みがある。
…明里さんとこんなになるほど電話で話すなんてな…
と思いながら腕を伸ばし、このぼんやりとした腕の痛みさえ俺は心地よく感じていた。
ストックが…無くなりそうです!!
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