28話
あれから数日が過ぎ、明日からゴールデンウィークという金曜日の放課後に、美化委員の清掃活動があった。
連休前ということで、少し長めの清掃時間となっている。
2人は校舎裏へと向かい、明日からのことを話しながら掃除をしていた。
「とうとう明日からだね!」
「そうだね、うちに明里さんが来るなんてかなり緊張するよ。」
「家族以外にご飯作るの初めてだから私も緊張してるよー、大丈夫だとは思うけど失敗しても許してね!」
はにかんだ顔で話す西條さん。
「許すもなにもわざわざ作ってくれることに感謝しかないよ」
「そういや5日に千晴たちと遊ぶ予定はあるけど、何して遊ぶか決まったのかな?特に千晴からは何するか言われてないんだけど。」
「俺も瑛太からなにも聞いてないな。さすがに何するか決まってないことは無いとおもうけど」
瑛太達の計画性の無さに苦笑いする俺たち。
そんな話しをしながらまだ時間はあるが、あらかた校舎裏の掃除が終わったため、だれがこんな所に捨てたかお菓子の包装紙や紙屑が入ったゴミ袋を集積所に持って行くことにした。
2人で歩いていると「三津島せんぱーい!」と、ゴミが入った袋を持った2年の伊藤咲希が走って俺たちの所へ走ってきた。
走ってきたため少し息切れをしている伊藤さん。
「はぁ、はぁ、どうも!三津島先輩が見えたので走って来ちゃいました、西條先輩!どうも初めましてです!伊藤咲希と言います!よろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げて俺の隣に並ぶ伊藤さん。
「ど、どうも、元気だね。」
「はい!三津島先輩見つけたのが嬉しくって!」
「直樹くんずいぶん仲良さそうだね」
少し不機嫌な様子の西條さん
「い、いや、話したのは2回目だよ」
人前で俺のこと名前呼びしてる…
2人の時にしか名前で呼ばない西條さんが伊藤さんの前で直樹と呼んでいる。
「直樹くん、早くゴミ捨てに行こうよ!」
袖をクイクイと引きながら急かす西條さん。
「西條先輩、まだ時間ありますよ?せっかくなんでお話ししながら一緒に行きましょうよ!私、西條先輩ともお話ししたかったんです!」
と言う伊藤さんに「え?私と?何?」西條さんは少し不機嫌そうな態度だ。
「西條先輩ってモテますよねー!このあいだの告白はどうして断ったんですかー?」
いきなり大胆なことを聞き出す伊藤さん
「え?」
告白されていたなんて知らない俺は驚いた顔で西條さんを見た。
「こ、断るに決まってるでしょ!なんであなたがそんなこと気にするのよ!」
「告白した男子が同じクラスだったんで、それでウチのクラスで話題になりまして。告白した子、結構2年じゃイケメンで有名な男子なので。」
「別に顔が良いから付き合うわけじゃないわよ」
「ほうほう、どんな人なら西條先輩のお眼鏡に叶うんですか??参考までにぜひ教えて頂ければ!」
「そりゃ、外見より中身…ってなんで教えなきゃいけないのよ!ほら!直樹くん!もう行くからね!」
告白されていたということに驚いて立ち止まっている俺の手からゴミが入った袋を奪い、西條さんはスタスタと歩いて行ってしまった。
その姿を見て少し言い過ぎたと思ったのか
「怒らせちゃったかなぁ…」と言いながらポリポリと頬を掻く伊藤さん。
立ち止まっていた俺は、ハッと我に返り「悪い、先にいくわ」と伊藤さんに声を掛け、先に行ってしまった西條さんの後を小走りで追いかける。
西條さんに追いついた。
「ごめん、ちょっとビックリしちゃって」と謝る。
「あ、あのね!ちゃ、ちゃんと告白だってキッパリ断ったし、誰とも何も無いから!気にしないで!」と顔を赤らめて言う西條さん
そんな西條さんを見ながらふと思った。
そうだよな…これだけ可愛かったら告白されるわなぁ…
恋愛というものは勝者の1人しかいない競争だ。
先に進めずに足踏みしている自分が情けなくなってくる。
もし西條さんが誰かに告白されてそれを受け入ると、自分の隣から居なくなる。
そんな可能性もある事を改めて認識する。
俺も勇気を出さなきゃいけないとはわかってるんだけど…
告白の話から静かになった俺に慌てる西條さん。
「直樹くん?大丈夫だよ!?本当に何もないから!!」
「う、うん、大丈夫…大丈夫だよ」
変な空気になってしまった2人。
そのまま集積所にゴミを出し終え、校舎裏に帰っている時
「あ、あした私すごい楽しみなんだよっ」と、この空気を変えようと話題を振ってくれる西條さん。
西條さんの手料理を食べることができる初めての男子が自分であるということを思い出し、俺は沈んでいた気持ちをなんとか持ち上げた。
「お、俺も楽しみだよ。約束してからの1週間あっという間に過ぎた感じがする。」
「よかった、一緒だね!私もこの1週間楽しみであっという間だったんだ!明日11時に買い物いくでしょ?また公園で待ち合わせする?」
「いや、明日は俺が明里さんの家まで迎えに行くよ、そこからスーパー行く方が近いし。」
「あーそうだね、1番近いスーパーなら私の家からの方が近いね!じゃあまた家出る時にLINEしてくれる?」
「わかった、LINE送るよ。」
そんなやりとりをしていると清掃終了のチャイムが鳴った。
「じゃあ教室帰りますか!」
掃除道具を片付けて教室に戻る2人。
明日から休みということで、少しだが教室で遊んでいる人がいたが、そんな人たちのことは気にせずに「よし、帰ろうー!」と、ごく普通に俺を誘う西條さん。
普段放課後は椎名さん、伊勢さんと一緒に過ごす事が多い西條さんだが、美化委員の清掃がある日は、先に帰ってもらっているみたいだ。
放課後のため、人は少ないにしても好奇の目で見られていることが気になる俺。
「う、うん」
そのまま2人で教室を出て、運動部が部活をしているグラウンド横を通り学校を出る。
…2人で並んで帰ってるのって周りから見たら付き合ってるって思われるのかな?
そんなことを思いながら歩いていると
「明日の昼は王道のメニューにするね!」
2人の時は基本的に上機嫌の西條さん。
「王道??何つくるの?」
「まだ内緒っ!まぁ一緒に買い物行くからどうせバレちゃうんだけど。」
そう言ってニシシと笑う。
「なんかさー、休みの日にご飯作りに行くって恋人みたいだよね!!」
気にしないようにしていたことをいきなり言われた俺はゴホゴホとむせる。
「と、友達以上って感じはするよね。」
「じゃあ私たちって友達以上の関係ってことになっちゃうね!」
ニコニコしながら言う西條さん。
ここは少し踏み込んでみようと思った俺は勇気を振り絞り西條さんの顔を見ながら
「そうだね、俺は明里さんと、友達以上になれれば良いと思ってるよ」
急に真面目に返された西條さんは「え、そ…そうなんだー…」と顔を赤くし視線を泳がせ、少し挙動不審気味に返事をしている。
それから俯いてしまった西條さんとしばらく無言で歩いていると、西條さんの家のすぐ近くまで来た。
未だに無言の西條さん。
これは俺やっちゃったかな…
と後悔していると
「わ、わたしは直樹くんのこと、友達以上だと思ってるよ…じゃ!!」と言い残し、西條さんは自分の家に走って帰ってしまった。
1人残された俺は今言われたことに自分の耳を疑った。
え、今なんて言った?え?…友達以上?
俺は西條さんの言葉に固まってしまい、その場に立ち尽くした。
しばらくしてようやく我に帰った俺は足早に家へと帰ったのであった。
評価してくれているのを見て、嬉しくて不整脈出るかと思うぐらい嬉しかったです!
ホントものすっごく嬉しいです!!
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