2話
校門を出て家への帰路に着く。
学年でも特に可愛い西條の笑顔を間近で見れたことにニヤニヤとしながら1人嬉しさを噛み締める。
やっぱりめちゃくちゃ可愛かったなぁ……西條さん…
今までの中学生活、西條さんとはクラスも違えば陰キャの俺、陽キャの西條さんとでは住む世界が違いすぎで遠くからチラリと見かけるしかなかった。
それが今年は同じクラスになり委員会まで同じになるとは夢にも思っていなかった。
学校を出て家に帰るまでの間、これからの学校生活のことを考え
西條さんと少しでも仲良くなれるといいけどなぁ…
そう思いを馳せていた。
ガチャ
「ただいまー」
リビングに入ると専業主婦で小柄な体に少し童顔な顔の、母である三津島 翔子がソファ座りテレビを見ながらコーヒーを飲んでいた。
「おかえり、なんだか直樹嬉しそうな顔ね」
今までの学生生活、家と学校の往復で気だるげな雰囲気しか見てこなかった母さんは俺のいつもと違う様子の楽しそうな雰囲気に首を傾げている。
「えぇそうかな?い、いつもと変わらないと思うけど、新しいクラスになって気分でも変わってるんじゃ無いかな?」
そう言いリビングを抜け自室へと続く階段をあがろうとした時に2階から声が、
「おかえり直樹、いつも辛気臭い顔してんのに今日は嬉しそうじゃん、気になる子とでも同じクラスになれた?」
と2つ年上の姉、三津島 優子に声を掛けられた。
「べ、別にそんなんじゃないよ!」
そんまんま、好きな子と同じクラスになれて喜んでいた心の中を当てられ、動揺しながら返す。
「分かりやすい子ね、あんた、お父さんに似て身なり整えたらそこそこ見れる顔なんだから、その伸ばしっぱなしの髪ぐらいちゃんと切りに行ったら?」
「なんならこのおねーちゃんが一緒に行ってあげようか??」
バカにしたような顔で言ってくる姉に対して
「別にいいだろ!ほっといてくれよ、散髪ぐらい1人で行けるっての。」
そう言い返し、姉ちゃんの横を通り過ぎて足早に自分の部屋に入った。
部屋に一応だが置いてある姿見で自分を改めて確認する。
そこにはボサボサの頭に、中学2年になってから掛け始めた眼鏡のままの自分が映る。
たしかにもう髪なんてボサボサだなぁ、そろそろ切りに行こうと思ってたけど、せっかく西條さんと一緒のクラスになったことだし、思い切ってバッサリ切ってみようかな……
スマホを取り出し、流行りの髪型をチェックしてみるのだが、今までお洒落な髪型なんてものをしたことがない俺は、どの髪型も自分に似合うイメージが湧かなかった。
なにが似合うか全然わからない…
そう思いスマホをベットに放り投げ一度冷静になることにした。
いや、そもそもあの西條さんが俺なんか相手にしてくれるわけないじゃないか……帰り際の笑顔だって1年間一緒の委員会だからの愛想笑いだっただけだよな……
陰キャぼっちの俺には、今まで彼女はおろか仲のいい女友達すらいなかったため、冷静になったところで頭の中はどんどんマイナス方向に進んでしまう。
同じ委員会になれただけでもラッキーか、せめて嫌われないようにだけはしないとな……
いろんな出来事があった初日はマイナス思考のままベットに倒れ込みながら終わるのであった。




