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17話

次の日の朝、なかなか寝付けなかった直樹は昼近くまで起きれなかった。


1階に降りてリビングに入り

「おはよー」

「もうお昼よ、昼ごはん食べる?」

キッチンにいる翔子に聞かれる。


まだ若干寝ぼけてる直樹だがお腹は減っているので

「うん、ご飯もらうよ…」

そう言うと

「じゃあ作るから、先に顔でも洗ってシャキッとして来なさい。」


「わかったー」


顔を洗い目が覚めて、昼食を食べ終わりリビングでマッタリしていると、姉がやってきて「じゃあ出かけてくるねー」と翔子と話していた。

「行ってらっしゃい、気をつけてね!」

と優子を見送る翔子。

『ふーん、姉ちゃん出かけるんだー』

そんなことを考えながら自分は夕方まで暇だから、部屋でゲームでもしようかと、自分の部屋にもどる。


時間を潰すためにゲームをしていた直樹だが、時間がたつにつれて緊張してドキドキしてきた。

何度もスマホを確認したりソワソワしていると、西條からLINEが届いた。


《もうちょっとしたら片付け始めるから、あと1時間後に公園でどうかな??》


《わかった、じゃあ1時間後に公園行くね》


ゲームを辞め、急いで髪のセットを始める直樹。

『確かこんな感じでよかったよなー』

鏡で確認して、初めてにしてはそこそこ上手くできた髪型にホッと安心しつつ、姉に言われた事を思い出した。

『出かけるときはコンタクト…ね』

普段はメガネをかけている直樹だがメガネに何か不具合があった時のためにコンタクトレンズも持っている。

普段コンタクトをつけないため入れるのに少し手間取ったがなんとかコンタクトを装着し、時計を見ると今から家を出てゆっくり公園に向かうとちょうどいい時間になっていた。


1階に降りてリビングにいる翔子に「ちょっと出かけてくる」と伝えて家をでる。


目的地の公園までドキドキしながら歩く直樹。

『いつもと違うから笑われたりしないだろうか…』

そんなことを考えながら歩いていると目的地の夕陽ヶ丘公園に着いた。

少しの遊具と、芝生が敷き詰められたなだらかな丘の上に屋根のあるベンチがあるだけの小さな公園


辺りを見回りしてもまだ西條の姿は無い


『とりあえず上のベンチで待ってようかな』

丘を上りベンチに座っていると夕陽が綺麗に直樹の横顔を照らす。


西條からLINEが届く。

《公園着いたけど、三津島くんもう着いてる??》

《丘の上のベンチにいるよ》

「三津島くん?」

返事を送るとすぐに近くに西條の声が聞こえた。


顔を上げると、「ふわぁ」という声ととも赤い顔の西條がこちらを見ながら固まっていた。


「こんにちは?こんばんはかな?西條さん。」

ハッとした西條は20センチほど距離を空けて三津島の右側に座りながら

「こ、こんばんは?かな??」

しどろもどろになりながらも返事を返す西條。

「めちゃくちゃイメージ変わってるからビックリしちゃった!!」

「自分でもかなり変わったと思うよ、変だったかな??」

そう苦笑いする三津島。


「そ、そんなことないよ!めっっっちゃ似合ってる!」といつもより大きな声で言う西條に驚きつつ

『よかったー西條さんに変だと思われたらどうしようかと思った』

そんなことを考えていると

「その姿って誰か他の友達とかに見せたの??」

そう聞いてくる西條に

「いや、誰とも会ってないから西條さんが初めてかな。」

「そ、そうなんだ!ふふっ」と笑みをこぼす。


「これ、今日作ったお菓子!食べやすいようにクッキーにしてみたんた!食べてみてっ!」

と可愛くラッピングが施されたクッキーを渡された。


「ありがとう、じゃあ、頂きます」

そう言いながら可愛く結ばれたリボンをほどき、小さい丸い形や星形などのさまざな形の中から、1つだけ入っていたハート型のクッキーを食べる三津島。


それを見た西條は真っ赤にした顔を俯けながら

不安そうに「どう…かな…?」と聞いてくる。


サクッとした食感に程よい甘さが口に広がり「美味しい!すごいよ!!家でこんな美味しいの作れるんだ!!」


その言葉を聞いて安心した西條は俯いていた顔を上げ、「よかったー」と言う小声を漏らした。

その後ももらったクッキーを食べ進め、完食した三津島。

「クッキーありがとう西條さん」

「いえいえ、こちらこそだよ!私のわがままに付き合ってくれてありがとう!」

と笑顔で返事をする西條


その笑顔に三津島が見惚れていると、西條から

「記念に写真撮ろうよ!三津島くんのイメチェン記念!!」

との提案が。

流石に写真は恥ずかしいと思い断ろうとすると、西條が空いていた2人の距離をピタッと詰めて、「いいからいいから!せっかくの記念だもん」

と言い自分のスマホを2人の間に掲げた。

西條がグッと顔を近づけて写真を撮ろうとしているが


三津島はそれどころではない状態になっていた

『身体当たってる!当たってるって!』と頭の中は混乱し、感覚神経がすべて自分の右半分に集まってしまったような錯覚に陥っていると

「ほら、撮るよーハイチーズ」

カシャ


急な密着にテンパっていた三津島は自分がどんな顔で撮られたかも分からないまま

「ち、ちょ!急すぎない?」

「大丈夫大丈夫!あとでLINEで送るね!」


とすぐにスマホを仕舞う西條。


そんなやり取りをしていると日も沈み、辺りが暗くなってきた。

「暗くなってきちゃったね…」

「夕方からだったからね。」

とどことなく名残惜しそうな2人



「そろそろ帰ろっか!」

「そうだね。家まで送るよ。」

ベンチを立ちそう言う三津島に

「公園の出口までで大丈夫だよ!うちすぐそこだし」

と、三津島に続いてベンチを立った西條が言う。


小さい公園なので出口まではすぐに着いた。


「じゃあね三津島くん……凄くすっごくカッコよかったよ!!!」

そう言って暗くなった今でもわかるほど顔を赤くした西條は走って家に帰って行った。


『カッコよくなった??そう言われたの、か??』

言葉の意味を理解するのに時間がかかり、気がついた時にはもう西條の姿は無かった。


三津島もすこし肌寒く感じる時間帯なのに家に帰るまで顔が熱かった。



家に帰っても西條の「カッコよかった」という言葉が頭から離れずいつの間にか夜ご飯もお風呂も終わらせベットに横になっていた。


気がつけば西條のことを意識してしまう程の衝撃を受けた直樹のスマホが鳴る。


《記念写真送っておくね!》

その言葉とともに、2人で撮った写真が送られてきた。

写真には、いきなりのことに驚く直樹と、笑顔の西條が写っていた。

この写真の西條を見た直樹は

『今まで見た西條さんの中で1番綺麗だな……』

そう思ったのだった。









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