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11話


次の日の朝、いつもより早い時間にLINEの通知音で目が覚めた。

スマホを確認すると西條さんからのLINE通知だった。

慌てて開いてみるとメッセージが2つ

《おはよう!起きてるかなー??》

《二度寝はダメだよ!!》


本当に起こしてくれるつもりだったんだ…

急いで返事を送る。

《おはよう。無事に起きました。》


《よく出来ました!じゃあ今日は早めに登校できるね!家出る時またLINEしてね!》


家出る時にLINE??なんでだろう??

不思議に思いつつも

《わかった。LINEありがとう。》

そう返事を送りベットから出て朝食を食べるために一階へと降りる。


リビングに着くとちょうど朝食が出来たところだった。


「あら、おはよう。今日は早起きじゃない。今ご飯出来たところだから食べちゃいなさい。」

母さんが朝食である目玉焼きにウインナーをテーブルに運んできた。


「たまたま早く目が覚めたから、いただきます。」


「直樹が早起きなんてねぇ、珍しいわねー。」

母さんが驚いていると


ガチャ


「翔子さん、おはよう。お、直樹、今日は起きるの早いじゃないか。」

と2児の親とは思えないとても背が高く若々しい父である三津島みつしま 浩之ひろゆき

がスーツ姿でリビングへと入って来た。


「翔子さん、俺にも朝ごはんを。」

といいながらコーヒーの準備をする父さん。


「おはよう父さん。」

朝食を食べながら挨拶をした俺に

「おはよう、優子より早く起きてるの久しぶりに見たな」

父さんはそう言いながら爽やかに笑う。


「そうだね、いつも俺が降りてくるときにはもう父さん仕事に出てるぐらいだもんね。」

少し早く起きたぐらいで両親から珍しいと言われた俺は苦笑いしながらも朝食を食べ終わる。


「ごちそうさま。じゃ今日は早めに学校行ってみるよ。」

食べ終わった食器を流しに持って行き、リビングを出た。


諸々の準備を終えて家を出る時、西條さんからのLINEを思い出した。

そういや家出るときにLINEしてって言ってたな…

《今から家を出ます。》っと

「じゃあ行って来ます。」

家族からの「行ってらっしゃい」の言葉を背に玄関を出る。


家を出てしばらくするとLINEに西條さんから了解のスタンプが届く。


西條さんの家の前に来ると

「三津島君おはよう!」

そこには笑顔の西條さんが家の前に立っていた。

もしかして今日も一緒に登校できるのか…?


「お、おはよう西條さん、朝ありがとう。西條さんのお陰で早く起きれたよ。」


「全然!もちろん明日からも起こしてあげるねー」

と西條さんは明るい声で話す。


「い、いや、毎日は流石に悪いよ。」

慌てて否定するのだが

「えー私からのLINEが嫌なのかなー?」

そういいながら顔を覗き込んで来る西條さん

慌てて顔を逸らし「い、嫌なんかじゃ、ないよ!嬉しい……です…」

だんだん語尾を小さくしながらもなんとか応えることができた。


「そっか!!嬉しいんだー…ふふっ…じゃあこれからもよろしくね!!」

満足げに頷く西條さん。



「じゃあ学校行くよ!三津島くん!!」

と歩き出す西條さんを追いかける。


これって毎日西條さんに起こしてもらって一緒に登校できるってこと!?!?!?

思ってもいなかった事に頭の中はパニック。


流石にいつもの遅刻ギリギリの登校時間では無い為、俺と西條さんの他にも同じ中学の生徒たちの姿もある。

学校内でも可愛いと噂されている西條さんの知名度はかなり高い。


下の学年の生徒や、同級生だと思われる生徒からの『なんで西條さんがこんな人と一緒に登校してるんだ??』という視線が俺にビジバシと飛んで来ているのが分かる。


「今度の球技大会楽しみだね!勝てるかなー?三津島くんはバスケどう?身長も高いし、上手そうだよね!」

しかしそんな視線を一切気にするような素振りもない西條さんは楽しそうに話しかけてくる。


「いやいや、今までそんな運動なんてしてこなかったから、バスケなんて全然出来ないよ!背が高いのも父親に似ただけだし!」

変に期待されて実際のプレーを見た時にガッカリされては困ると思い、俺は慌てて否定する。


「えー去年の運動会とか足早かったよねー」と言ってきた西條さんにふと疑問に思う。


去年の運動会??確か西條さんは赤組で、俺は白組で接点も無かったと思うんだけど…

そう思い、「…去年の運動会??」と聞き返す。


その言葉に一瞬だけハッとした表情をした西條さんは

「そ、そう、去年の運動会のときリレーの時に背が高くて足が速い人が居たから気になってクラスの子に誰なのか聞いたのっ!そしたらそれが三津島くんだってわかったからっ!」

アタフタと視線を彷徨わせながら早口で話す。

「ずっと見てたわけじゃ無いからね!」

「たまたま目に入って気になっただけだからっ!」

そう言って少し歩くスピードが少し早くなっていた。



学年でも可愛いと有名な西條さんとは違い、ぼっち生活の俺の認知度は低い。

そういうことか…クラスも同じになった事がない俺の事なんて知ってる西條さんが知ってる訳ないしな…

そんなことを考えながら、足早になった西條さんを追いかけるのだった。






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