104話
テスト対策へとやる気を燃やして、キッチンへと帰って来た俺たち。
時間は5時を回ったところ。
「夜ご飯の準備していくね!」
「本当に私は手伝わなくていいの?」
「うん、ママはそっちでゆっくりしてて、直樹もね」
そう言って揚げ物の準備をしたり、サラダを作る用に野菜を仕込んだりとテキパキと動き出した明里さん。
…なにもしないのもなかなか気まずいんだよなぁ。
また隣に愛菜さんが座ってるし…
「そういえば直樹くん」
「は、はい、なんでしょう?」
「夏休みなんだけど、私たち毎年知り合いがやってる旅館に泊まりにいくんだけど、一緒に来る?」
サラッととんでもないこと言って来てる!
「え!?と、泊まりですか!?えっと…」
返事に困っていると愛菜さんがニヤニヤと意地の悪い表情になった。
「ちなみに泊まる所の近くに海もあるし、花火大会もあるの、あの子の水着…浴衣…見たくない?」
そう言って愛菜さんは明里さんの方を見た。
釣られて「そりゃ見たいです!あっ…」
と反射的に答えてしまった。
「うんうん、素直でよろしい!じゃあ翔子さんには私からLINE送っておくわね」
「ありがとうございます!…母さんのLINE知ってるんですか!?」
「ええ、体育祭の日に連絡先交換してLINEしてるわよ」
いつの間に…全然知らなかった。
「あ!でも流石に明里と寝る部屋は別よ?」
「そ!それはもちろんです!えっと…いくらほど必要ですか?母さんと父さんに俺からも話さないといけないので…」
「お金なんて要らないわよ!そんなことを子供が心配してくていーの!」
「いや、でも」
「大丈夫大丈夫!あかりー!夏休みの旅行直樹くんも行く事になったからー!」
俺に大丈夫と言ってキッチンにいる明里さんへとそう告げる愛菜さん。
「えぇー!!!ほんと!?やったぁ!!」
嬉しそうな声が聞こえてくる。
…そりゃ行きたいけどもまだ母さんや父さんに言ってないんだけど。
そんな話をしているといい匂いがこっちまで漂って来た。
「直樹ー!ちょっとこっちきてくれるー?」
明里さんに呼ばれたのでキッチンへと向かった。
「どうしたの?」
「唐揚げちょっと味見してみて欲しいの」
そう言って一口分の唐揚げが刺さった爪楊枝を口元へと持ってくる明里さん。
「いいの?」
「うん、あーん」
カリカリとした食感とジューシーな肉汁、うちと違う甘めの味付けに少しびっくりしたけどかなり美味しい。白いご飯が欲しくなる。
「めちゃくちゃ美味しい!」
「ちょっと想像より甘くなっちゃったからどうかと思ったけど、良かったぁ」
「あとちょっとでぜんぶ揃うから、もうちょっとだけ待ってね」
そう言って料理の続きに戻った明里さん。
…なんだか一口食べると余計にお腹減っちゃったな。
それから愛菜さんと夏休みの話をしているとリビングのドアが開いた。
「あら、おかえりなさい、もうすぐご飯できるみたいよ」
「ただいま、明里が作る日だったな」
剛志さんだ。
「こ、こんばんは、お邪魔してます」
「…あぁ」
剛志さんそのまま浴室の方へと向かった。
ふぅー…やっぱり緊張するな。
「あ!直樹くん!泊まりの話しはもちろんパパも了承済みだから安心してね!」
「は、はい」
仮に行けたとして、俺が泊まる部屋ってどうなるんだろう…
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「どうぞ、いっぱい食べてね!」
テーブルに置かれた大皿に乗っている唐揚げと、お洒落なボウルに盛られたサラダ、1人1人の前に置かれたお皿の上に乗っているトンカツ。
この量を明里さん1人で作ったなんて凄いな…
「…いただきます」
「「いただきます」」
「どうぞ召し上がれー」
…まずはトンカツを一口…サクッとした衣と歯切れのいい食感。うん、美味い。
「美味しいよ明里」
「ふふん、そうでしょう?揚げ物も得意だからね!」
隣に座った明里さんにそう言うと嬉しそうな返事が返ってきた。
正面に座った剛志さんは唐揚げをおつまみにビールをゴッキュゴッキュと呑んでいる。
豪快だなぁ。
「うん、上手く揚がってるわよ明里、これで直樹くんの胃袋もがっちり掴めるわね」
「えへへ、ありがとうママ!」
…こんな料理上手な彼女なんて最高です!
母と娘がそんな話をしていたけども、俺も剛志さんも唐揚げを食べる手が止まらなかった。
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「…ご馳走様でした」
美味しすぎてご飯もおかわりしちゃったし、食べ過ぎでくるしい…お腹がパンパンだ。
「いっぱい食べたねー」
「うん、美味しくてつい」
お腹をさするとぽっこりと膨らんでいた。
「ご飯作ってくれたし、後片付けは私がやっておくから2人は部屋でゆっくりしてていいわよー」
「ありがとうママ、じゃあ部屋いこ!」
「すみません食べるだけ食べて何もしないなんて…」
「いいのいいの気にしないで、直樹くんも買い物して来てくれたし」
「ほら!行くよ直樹!」
まだ愛菜さんと話していたけど明里さんにグイグイと引っ張られて2階へと向かった。
ちなみに剛志さんはまだガンガン食べていた。めちゃくちゃ食べるなぁ。
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