102話
「え、えへへ、ちゃんと言葉にするのって照れちゃうね」
「そ、そうだね、…でも嬉しいよ」
お互い赤くなった顔でデレデレにまにまする俺たち。
「そ、そろそろ夜ご飯の買い物行こっか!」
そう言ってベンチから立ち上がった明里さんは俺の方に手を出して来た。
その手を掴んで俺も立ち上がり、そのまま手を繋いで歩いていると食品売り場では無く、どうやら出口に向かっているようだった。
「あれ?ここで買っていかないの?」
「うん!家まで距離あるし、食材は近くのスーパーで買おうかと思って」
…それもそうか、わざわざここで買う必要はないわな。
「おっけー、わかった」
イオンを出て、明里さんの家から1番近いスーパーに着いた頃には3時を少し過ぎた頃になっていた。
移動中の明里さんは、自分の右手を見ては上機嫌に繋いでいる手をブンブンと振って楽しそうだった。
スーパーに入り、カートに買い物籠をセットして俺が押す。
こんな何気ないことだけど俺はこの瞬間が好きだ。
「今日の夜ご飯のメニューは?」
「んーとねー、今日は揚げ物にしようかと思ってます!トンカツとか、唐揚げとか!」
…最高です!
「とりあえずまずはサラダに使う野菜から見ていきましょー!」
「了解です」
テキパキと迷いなく野菜をカゴに入れ、卵やお肉類もドンドンカゴに入れる。
…結構な量になってきたんだけど…
「結構買うんだね」
「うちはパパがいっぱい食べるから買い物の量も多くなっちゃうの」
そんなやり取りを終えたあと、レジでお金を払ってレジ袋に買った商品を入れて、袋を俺が持って店を出ようとすると
「優しい彼氏さんだねー」
と、おばあちゃんが声をかけて来た。
「ふふ、そうなんですーいつも優しいんですよ!」
と明里さんが返事をしていた。
なんか前もこんな感じで声かけられてたなぁ。
店を出て明里さんの家に向かって歩いていると明里さんが急に「あっ!」と大きな声をだした。
「そういやゴールデンウィークの時、あのおばあちゃんに声かけられたよね!」
「また同じ人に声掛けられるなんてね、あの時まだ付き合ってないけど俺のこと彼氏って言われたのに明里否定しなかったもんね」
「ふふ、否定するなんて嫌だったもん、直樹とは絶対付き合うつもりだったからね!」
スーパーから明里さんの家は結構近くて、そんな話をしながらイチャイチャしていると、あっという間に家に着いた。
「ただいまー」
「お邪魔します」
そのままキッチンへと向かう。
「おかえりなさい明里、食材ありがとうね直樹くん」
愛菜さんがリビングで洗濯物を畳んでいて、俺は急いで洗濯物から目を逸らした。
なぜかというと、愛菜さんの物か明里さんの物か分からないけど下着がバッチリ見えてしまったからだ。
「疲れたでしょ、なにか飲み物用意するから座った待ってて、明里、洗濯物畳んでおいたから自分の分部屋にしまっておきなさい」
「わかっ…!!!!」
急に走り出してガバッと畳まれた洗濯物を抱え込んだ明里さん。
「ママ!」
…あの慌てようからするとあの下着は明里さんのだったか。
「な、なおき、ちょっと服片付けてくるね!」
そう言って顔を赤くしながらバタバタとリビングを出て行った。
「あら、ちょっとやり過ぎちゃったかしら」
…まさかわざと見えるように置いてたのか!
「直樹くん、お茶かコーヒーかジュースどれが良い?」
「お、お茶で…」
何事も無かったかのように振る舞う愛菜さんに、俺は心の中で〝グッジョブ“と親指を立てた。
お茶を淹れてもらって一息ついていると、まだ少し顔の赤い明里さんが戻って来た。
「お、おまたせ!下ごしらえしていくね」
時間的には4時を過ぎた辺り、もう準備しだすのか…普段料理をしない俺は驚いた。
「手伝うよ」
「ありがとう、でも直樹は待ってて、私が作ったご飯を食べてもらいたいから」
「じゃあ直樹くんはこっちにきて私とお話しましょうねー、いいわよね明里?」
「別にいいけど、直樹に変なこと言わないでよ」
愛菜さんと2人で話すのってまだ緊張しちゃうんだよな…
「よし、許可も取った事だし、ほら座って座って!」
リビングのソファー、しかも自分の隣をポンポンと叩く愛菜さん。
「し、失礼します」
緊張しながらもそう言って愛菜さんの隣に座った。
「デートどうだったの?」
…ど直球だなぁ…
「え、えっと、ハプニングもありましたけど、平日で人も少なかったですし楽しかったです」
「ハプニング?」
「はい、僕がトイレ行ってる間に明里ナンパされちゃって…」
「あの子私に似て可愛いもんねー、大丈夫だったの?」
確かに愛菜さん譲りの可愛さだろう。
「直樹が助けてくれたー!」
キッチンから明里さんの声が聞こえた。どうやら聞き耳を立てているようだ。
「あら!カッコいいじゃない!」
「いや、もっと早く戻れてたらそもそもナンパなんてされなかったと思うんですけど、俺の不注意でした。最終的には警備員さんが来てくれてなんとかなりましたけど…」
「あら、その指輪明里とお揃い?」
ぽりぽりとこめかみあたりを掻いていると指輪が目に入ったのかそう愛菜さんが聞いて来た。
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