101話
「ありがとうね!助けてくれた時かっこよくてきゅんきゅんしちゃった」
いらぬハプニング後、少し気分が下がってしまっていたけど、褒めてくれる明里さんのお陰でなんとか気持ちを持ち直した俺は変な男が寄ってこないように明里さんの手を繋いで歩いてた。
「明里はどこか寄りたいところある?」
一応目的の物は買えたし、夜ご飯の食材はここじゃ無くて近くのスーパーで買うだろうし…
「えっとね、アクセサリー系のお店行きたいな!あ!全然高くない雑貨屋の1コーナー的な感じのとこね!」
「全然いいよ!何買うの?」
「な、内緒!でもどうしても欲しい物があるんだー!」
そう話した明里さんは俺の手を引っ張っていった。
すぐ近くに良さそうな雑貨屋があったので入ってみると、所狭しとキラキラとした装飾品が置いてあって、普段は入らない雰囲気になんと無くテンションが上がる。
「んーこの辺りかな…」
キョロキョロしながら店内を進んで目的地に辿り着いた。指輪系が色々と置かれているエリアだった。
…女の子だなぁ。
そう思っていると繋いでいた手を離した明里さん。
「入るかな?」
棚から指輪を1つ取って俺の右手の薬指に嵌める。
「お、俺に!?」
「もちろん私の分も買うよ?やっぱり恋人といえば指輪かなーって、私お揃いの指輪付けるの憧れだったんだー!」
そう言いながらも別の指輪を俺の指に嵌めては外し、また別のを嵌めるということを繰り返している明里さん。
「うん、これにしようかな!直樹って指長いし、似合ってる!」
少し幅が広いタイプのシルバーの指輪が、俺の薬指に収まっていた。
「これとお揃いになるのは……これだね!どう?似合う?」
明里さんは自分の顔の横に手を持っていき、笑顔で聞いてきた。そこには薬指に同じようなタイプの指輪が収まっていた。
「う、うん!似合う!」
「へへ、お揃いだよお揃い!」
…可愛いに決まってるよ!
「いらっしゃいませ、当店サービスで指輪に文字入れれますよー」
ニコニコしたおじさんの店員さん?が話しかけて来た。
「文字入れれるみたいだよ!…ベタなことしてもいい?」
「全然いいけど、何かな?」
「内側にお互いのイニシャル入れたいなぁ…ベタ過ぎてダサいかな?」
…ベタだなぁー。でもそういう気持ち分かる。
「別にダサくないと思うよ、せっかくお揃いにするならイニシャルも入れようよ」
「やった!文字お願いしてもいいですか?」
「わかりました、ではこちらの紙に入れたい文字を記入して下さいね」
「はい!」
文字を入れるのに少し時間が掛かるとのことなのでその間店内を見て回ることになった。
所狭しに商品が置かれている店内は見て回るだけでもなかなか楽しい。
結構時間が掛かると思ったけど、文字を入れる作業は意外に早く終わった。
「おまたせしましたー」
レジに行き、店員さんが渡してくれた指輪の内側には俺の方に〔A・S〕明里さんの方に〔N・M〕と彫られていた。
「文字入れは無料なので、2点で4000円になります!」
「あれ?1つ3000円じゃ…」
「見たところ学生さんなので学割と、カップル割引ですね」
…あれ?売り場にそんな割引のことなんてどこにも書いてなかった気がするんだけど。
そう思っていると「そんな割引あったんですか!?」と隣に居た明里さんが店員さん?に聞いていた。
「ふふ、今作りました!他の人には内緒ですよ」
「いいんですか!?」
「ええ、私この店のオーナー兼店長ですから、彼女さんが絡まれてる所を助ける彼氏さんの姿見てたんです、カッコよかったですよ」
レジから後ろを振り向くと、絡まれていた場所がよく見えた。
「あ、ありがとうございます」
…警備員を呼んでくれたのもこの人かな?
優しいおじさんに感謝しながらお金を払って、店を出た俺たちはベンチに座った。
「さっきのお店の人凄い良い人だったね!」
「うん、割引までしてくれて」
…絡んできたあの男にはちょっとだけ感謝だな。
「早速指輪つけようよ!…はい!お願いします!」
そう言って右手を差し出す明里さん。
…うわぁ…これは緊張する…
その手を取ってドキドキしながらも慎重に薬指に指輪を嵌めようとするのだが「何か一言欲しいなぁ」と言われて固まってしまった。
明里さんは目を輝かせて、ワクワクしながら俺からの言葉を待っている。
「…す、好きです…」
恥ずかしさを抑えてなんとか言葉を絞り出して指輪を嵌めた。
「…えへへ、こういうのいいね、すっごいドキドキしちゃう」
頬を赤く染めながらも嬉しそうにはにかむ明里さん。
「じゃ、次は直樹ね、はい、手を出して下さい」
ビクビクとしながら右手を差し出すと、そっと下から支えられてゆっくりと薬指に指輪が入ってきた。
昼過ぎのイオン、平日とはいえザワザワしていたけど、この時は周りの音が聞こえなくなっていた。
「大好きだよ」
指輪が奥まで入ったところで明里さんは俺の目を見ながらそう言った。
ハッキリと聞こえたその声に、ゾクゾクと足から頭まで電気が走ったような感覚の後、俺の顔はめちゃくちゃ熱くなった。
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