100話
「待たなくて良いってほんといいね!」
今の時刻は12時になり、ちらほらとお客さんがやってきているけど、アイスを昼ごはんにしようとしている人は居ない。
「いらっしゃいませー、ご注文決まりましたらどうぞ!」
…何にするか全然決めてないや。
「明里は決まってるの?」
「うん!私ここ来るといつも同じやつ食べるの!カップのスモールダブルで、キャラメルリボンとポッピングシャワー!」
「限定系は食べないんだね、俺は何にしようかな…」
ざっと期間限定ラインナップをみるけど、特に惹かれる物はなかった。
「俺も普通のにするよ、注文するね」
店員さんに明里さんの分と自分の分を注文してお金を払った。
支払いの時にまた一悶着あったけど、もちろんここは俺が払った。
「また出してもらって申し訳ないよー」
「いいのいいの、今日は俺が出すつもりだから」
「んー、じゃあ今度のデートのときは私が出すからね!」
「楽しみにしとくよ」
「お待たせしましたー」
アイスを受け取り近くのテーブルに座った。
「頂きまーす!」
早速食べ始める明里さん。
「うん、安定の美味しさ!はい、あーん」
さっきの仕返しだろうか、目の前に突き出されるスプーン。
自分がするのはあまり気にならなかったけど、いざされるとなるとなかなかに照れる。
「あ、あーん」
周囲を気にしながらもスプーンを口に入れると、ぱちぱちと弾ける感覚がする。
「どう?私のおかげで三割り増しで美味しいでしょ?」
「う、うん、美味しいよ」
揶揄ってくる明里さんだが、照れてしまって返す言葉に語彙力が無くなってしまった。
その後、お互いに食べさせ合ったりしながらアイスを食べ終え、ブラブラすることになった。
アイスを食べたからか、トイレに行きたくなった。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
「わかった、じゃあここで待ってるね」
明里さんにベンチで待っててもらって急いでトイレに向かった。
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近くにトイレが無くて、やっと辿り着いた時には尿意が限界になっていた。
…ふぅ、間に合ってよかった。一応お揃いのペンは買ったけどサプライズ的な事もしたいよな…シンプルなネックレスでも渡そうかな。
トイレに来る前に良さそうな店もあったし。
出す物出してスッキリした俺は、明里さんと合流する前にサプライズを仕掛けることにした。
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トイレを出てすぐ近くの雑貨屋さんに立ち寄る。
そこで店頭に飾ってあった細いシルバーのチェーンにワンポイント飾りが着いているシンプルなネックレスを手に取りレジへと向かう。
うん…これならもし学校に着けて行ってもバレないだろうし、俺的には似合うと思う。
プレゼント用に包装してもらって袋がシワにならないよう大事にポケットにしまった。
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急いで明里さんの元へと戻ると、高校生ぐらいの男と言い争いになっているのが見えて、声まで聞こえて来た。
「いいかげんにして!」
「別に良いじゃん!こんな平日にキミ1人なんでしょ?ちょっとだけでいいって!」
…まさかナンパ?
そう思って急いで明里さんの元へと向かうと
「ほら!いいから来いって!」
「離して!」
その男は明里さんの腕を強引に掴んで引っ張った。
「待てよ」
明里さんの腕を掴んでいる男の手首を握りしめた。
「いたっ!なんだよ!」
男は急な痛みに驚いたのか明里さんの腕を掴んでいた手を離し、俺のことを睨みつけて来た。
「人の彼女になにしてんだよ」
「いてぇって!離せよ!」
さらに強く手首を握りしめると痛みに顔をしかめながらも俺の手を振り解こうともがきだした。
「明里、こっちに」
俺の後ろに明里さんが移動したのを確認してから掴んでいた離した。
「オラ!急に何すんだよ!」
「いや、それはこっちのセリフなんだけど」
平日で人が少ないとはいえ、男が大きな声でギャンギャン吠えるから、何事かとだんだんと周りに人が集まって来た。
「俺はただ声掛けてただけで!何様だよ!」
「は?無理やり俺の彼女の腕引っ張ってただろうが」
…なんだこの男。
未だにギャンギャンと吠えている。
そんな一瞬即発の空間が漂って来たところ、近くのお店の人が警備に連絡を入れてくれていたようで、男の向こう側から走ってくる2人の警備員が見えた。
「クソが!なんとか言えよ!」
「こっちでーす!」
男の言葉を無視して警備員さんに手を振ると、俺の動作に振り向いた男は「クソ!ちくりやがって!」と言って俺の隣をすり抜けようと走り出した。
その瞬間スッと出した俺の足に躓いて思いっきりこける男。
「うわ…ださ…」
後ろからそんな言葉が聞こえた。
こけているその間に警備員さんが到着して、男は事務所へと連行されて行った。
集まっていた人たちも興味を無くしたように離れて行った。
「ごめんね、俺が帰ってくるの遅かったから…」
「直樹は悪くないよ!ちゃんと助けてくれたし!」
ネックレス買わずに戻って来てたら明里さんが絡まれることもなかったかもしれない…
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