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インターネット上の怖い話

作者: 西嶋のい

全年齢の誰にでもありえる話を書いてみました。

 いつも行くファミリーレストラン。

 いつも一緒にいる友達と、いつものたわいない話で盛り上がるだけの時間。

 コーヒーを飲んでいるだけの、そんな時間。

「この間さあ、かわいい動物の写真とかきれいな絵をずっと載せてる人をフォローしたんだけど」

「うん」

 私はコーヒーカップを一旦置いて、向かいのオレンジジュースを持っている友達を見る。

「どうも普通の家が飼ってるペットにしては動物も後ろに写ってる庭もバラバラだし、絵の絵柄もなんかチグハグだし……勝手に人の写真を保存して自分のアカウントに載せてる人だって気付いちゃったからブロックしちゃった」

「気持ち悪……それお金にしてる人たちだよね。それか自分の手持ちじゃバズれないからパクって承認欲求満たしてるとか」

「私もショート動画を見ていたらさあ、なんかどっかのSNSのスクショをずっと流している動画にあたっちゃってさ……」

 話題に乗ってきたのは、隣でアイスティーを飲んでいた友達だ。

「なにそれ」

「その載ってるアカウント、鍵マークがあるから非公開にしてるんだよね。どうもアイドルのファン同士の愚痴ばっかりなんだけど、投稿してる本人がそんなの流すわけがないからさ……その鍵にしてる人が見られるのを許可したフォロワーさんがスクショ撮って晒してるってことだよね」

「え、怖……。その鍵の人かわいそうだね……この人たちだったら自分の話を秘密にするだろうって信じてフォロー承認したわけだしさ」

「うん。怖くなってその動画主をブロックしちゃった」

「鍵アカって言ったらさー、私もこの間見ちゃったんだよね、鍵アカの人の投稿」

 その隣の友達の向かいで、ジンジャーエールを飲んでいた友達が口を開く。

「そりゃフォローすれば見られるでしょ」

「そうなんだけどー、よく見たらそのアカウントのIDの人、私フォロー待ちした覚えがないんだよね」

「え、何それ……勝手に鍵かけたアカウントの人の投稿が見えちゃってるの?」

「不具合ってこと?」

「たまにあるよね~。『この投稿は削除されました』ってあるやつとか。なら今の時点で削除したはずなのに、こうして私に見えてるのは何なんだって。なんかカッとなって書いちゃったのを後悔して消したっぽいんだけどね~」

「やだ……やっぱり人に知られたくないことってそもそもネットに書き込まない方がいいよね」

「そうだよ~。こうやってちゃんと会って話したいよね」

 そう言って私たちは友達と笑いあった。


「さて……」

 ファミリーレストランのボックス席で、水を飲んでいた男はスマートフォンを持ち上げた。

 動画編集アプリを起動させる。先ほど隣の若い女性の集団が座っていた席の会話を録音していたので、文字起こしをしていく。

「いい再生数になってくれよ」

 インターネット上での情報収集はどうしても限界がある。結局はインターネットで発言する意志のある人間がアップロードした数の情報しかないからだ。最近は信憑性のない情報をペラペラ喋る広告収入目当ての輩や、生成AIが間違った学習結果を出してくるパターンもあるので完全には信用も出来ない。

 やはりリアリティのある情報とは実際に足を運ばないと得られないものだ。

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