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藤原夏良  作者: m@ho
帰国
73/76

70.帰国⑤

【人物】

藤原夏良 主人公 32歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世(よしみねのやすよ)の名をもらう。妻は雪子、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫、宮目姫。

817年 弘仁8年5月

高橋彦兵衛邸にて藤原夏良は渤海からの文を読んでいた。

『大明忠死去により、大仁秀が帝へ』

大明民さんが公主となってしまう。

公になると、政権争いに巻き込まれるため、日本にいる事は知られない事が良い。

結果的に、結婚した事が功を奏した。


いつのまにか背後に半蔵が来ていた(51.正三位⑤参照)

「渤海と親密な出羽国の業者が不穏な動きをしています。」深刻な表情の半蔵。

「どう言う事だ?」

「鉄製の武器を仕入れていると」

「何に使用するのか、情報は?」

「荘園の防衛用のようです」

貴族が荘園を作り、地方官僚と癒着して税金を逃れ、田畑を守るために農民に武装させ利益を守る者が増え始めていた。

「荘園が出来始めている?」

歴史上の流れと同じ流れになってしまっているが、少し早くに組成されているのは、経済成長が早待っているので自然の流れなのだろう。

「自分たちの利益を守りたいという事だと思われますが、税が減る事を良しとされない方もおりますれば、どうしますか」半蔵が指示を仰いでいた。

収益を生む土地からの税金は一律であるべきなので、法律を守れば良いに過ぎない。

あくまでり律令制を守れば良いにすぎない。

「何もせず、そのままで」


「晟」からの収入と陸奥からの収入は随時国へ寄付しているが、無駄遣いを抑制するために、多くは寄付していない。

若手育成の為にも、神社仏閣を増やし、寺子屋を増やしているが、教える住職がなかなか見つからない。

二口の存在はそのような中で、中心的な教育機関となっていた。

色々な事情で親のいない子供達の世話もする事になり、寺院に併設して今で言う孤児院の「晨光(しんこう)」を造っていた。

大明民さんも子供が好きなようで、よく来て手伝ってくれている。

三人の妻達も交互に来て子供達の相手をするなど院長先生のようになっている。

末娘の宮目姫が他の子と一緒に育っている事も何かの縁であろう。 


817年 弘仁8年9月16日

藤原縄主氏が亡くなった。この頃から地震が多い。

地震と旱魃(かんばつ)でしばらくは困難な時期が続く。


818年 弘仁9年7月29日

相模・武蔵・下総・常陸・上野・下野等広域で大地震が起こった。今で言う弘仁地震である。

『秋七月是月、相模・武蔵・下総・常陸・上野・下野等国地震、山崩谷埋数里、圧死百姓不可勝計』(日本後紀十二巻より)

勝計は数え切れないという意味である。

「ここら辺は大丈夫かしら」不安がる家族であるが、京都は歴史的にも地震に強い地域なのである。


地震による孤児は「晨光」にて受け入れた。

今後の日本の礎になる人物になって行くであろう。

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