63.渤海③
【人物】
藤原夏良 主人公 30歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪子、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫。
817年 弘仁7年8月
安東都護府に到着した。
現在の北朝鮮の西、現在の瀋陽市である。
山から出てきてやっと平地に出てきた所である。
渤海から唐に入る最初の都市。
渤海との国境でもあり、紛争は絶えない所であるが、現在は唐に帰従している渤海なので平和である。
大明民には男性の服装をしてもらう。
渤海から唐への遣唐使に便乗させてもらっているので、軍備は少なめで良さそうであったが、いざと言う時の為に男装が良いと聞いた事があった。
「大明民さんと皇帝の関係は?」羽栗馬長氏が通訳を続けてくれている。
渤海と唐の言葉を話せるので安心である。
「現皇帝の再従姉妹の孫になります。祖母は倭国から来たと言われています。」
「それで日本に行きたいのですね。最近では倭国という言葉より日本という言葉が広まっているのですよ。特に日本書紀という日本の成り立ちを書いた書物が編製されてからは日本と呼ばれています。大明民さんも日本と呼んでください」藤原夏良が丁寧に説明した。
「わかりました」
物資の補充と情報収集のため、安東都護府で3日ほど滞在する。
日本語の勉強には、羽栗馬長氏と彦兵衛とで教えてあげている。
唐に入り、雇った従者には金大明氏を探してもらっている。
元遣唐使という肩書はそう多くはないので、容易に探せると思ったのだが、他国で国が大きいせいか情報が集まらない。
817年 弘仁7年9月
唐の幽州(現在の北京)へ向かい、一月が経った。
平地の移動なので負担は少ないが多くの人員の移動なので時間はかかる。
幽州が見えてきた。
「皆さん、道のりの半分以上を過ぎましたのであと1月です。頑張りましょう」
旅慣れてきた藤原夏良を中心に明るい顔である。
「良岑安世様、私は膠澳で帰路の準備をする事で宜しいでしょうか」渤海、唐、日本語の3ヶ国語を覚えてきた大明民が中心となり、日本への帰路の準備をしてもらう事になった。
帰りの船は膠澳(現在の青島市あたり)から渤海まできた船か大型改造漁船で帰る予定である。
渤海には膠澳から貸してもらえる交渉はしていたのだが、約束が守られていなかった場合は大型漁船買い入れるしかない。
「私もお供しますのでご安心を」彦兵衛が話す。
彦兵衛がいてくれたら安心である。
幽州の大きな街並みに全員が驚きながら向かっていく。
数日後、渤海使に同行する藤原夏良と唐で雇った通訳の孫中元氏の長安班と彦兵衛、大明民、羽栗馬長の帰国準備班とで分かれるのである。
「では、膠澳で会いましょう。途中で金大明氏にあったら1樽あげてください。見たらわかると思うので、何も言わなくて良いと思います。では」
手を振り2班分かれた。
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