62.渤海②
【人物】
藤原夏良 主人公 30歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪子、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫。
大仁秀 生没年 不明ー830 渤海の第10代王。高王大祚栄の弟であった大野勃の4世孫に当り、傍系の王族ながら僖王大明忠の死により渤海王位を継承した
817年 弘仁7年7月
ようやく首都上京竜泉府が見えてきた。
google map で、44.119673, 129.146141 で尺度を500mにして引いていただけると、
4キロ四方の城壁跡が今でも分ります。
平安京と似た感じの都であるが、人口は平安京ほどは多くないようだ。
日本の網走とほぼ同じ緯度である。季節のイメージはわくであろうか。
夏場であるが未だ涼しい。
港から最初の数日は山を上る感じで大変であったが、その後は平地が多く、山間を通るようにするだけで大変さは無かった。
城壁の外は田畑が多いが、城壁内は民家が主で配置され、大通りには商店が多い。
長安を模して造った都は平安京と姉妹都市のような感じである。
門を通り、内城に入っていく。
謁見の間には日本から乗ってきた藤原夏良と通訳師の羽栗馬長、従者が数名である。
「帝の代理、大仁秀様です」
重々しい雰囲気で入ってきた。
「わざわざ、遠い渤海まで来られて、帝の哀悼の書まで届けていただき感謝する」
「渤海使として来ていただいた王昇基、釈仁貞殿を流行病とはいえお助け出来なかったことを遺憾に思っている事を国民代表として哀悼の意を表したいと思い来訪ました。そして、初めてできました酒を持って来ましたので、是非お飲みください」
持ってきた酒樽の半分を渤海用に献上したのである。
歓迎の宴が開かれ、見たことのない肉や野菜もある。
メインステージにいる大仁秀代理の所に日本酒を持って行く。
「是非、日本を感じていただきたく、お飲みいただけると幸いです」
お酒を注いだ。
「非常に美味しいな、すぐ酔っ払いそうだ」杯をだされたので、さらに注ぐ。
気に入ったようだ。
どぶろくも持ってきたので、交互に注ぐ。
「どちらもうまい」そう喜んでいただき、うれしい藤原夏良である。
「ところで、良岑安世左大臣にお願いしたいことがある」神妙な顔で言われた。
「どんなことでしょうか」
「知り合いの娘が日本に恋い焦がれている者が居る。渤海使の話を聞いて日本に渡りたいと言っている」
「日本に留学をすると言うことですか?」
「いや、永住したいらしい」
「えっ、一人では難しいかと」困った顔をする藤原夏良
「だれか、良い人を見繕って欲しい」
「分りました。戻りましたら帝に相談します」
「宜しく頼む」大仁秀氏は安心したようだ。
頼み事を断れるわけもない。
悩んでいるうちに宴会は終わった。
頼まれた大明民を迎え、数日準備を終え、唐へ向かう。
安東都護府(今の瀋陽市)を通過して、幽州(今の北京近郊)を目指す。
趙宝英、孫興進と一緒に帰国した金大明を探しながら長安へ向かうのが、今回の目的である。
817年 弘仁7年8月
安東都護府に到着した。




