57.従二位④
【人物】
藤原夏良 主人公 28歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫。
藤原園人 生没年:756-819 奈良時代末期から平安時代初期にかけての公卿。藤原北家、参議・藤原楓麻呂の長男。前山科大臣とも称された。
815年 弘仁6年7月2日
従二位 左大臣 藤原園人
従二位 右大臣 良岑安世
正三位 大納言 藤原冬嗣
従三位 中納言 藤原緒嗣
と予定通り詔が出た。
翌日、朝堂院にて、右大臣室へ引っ越ししていると、左大臣側でなにやらあったようで、人の出入りが非常に多くなっている。
今回、部下になった叔父の藤原長岡(エピソード14参照)が情報収集に動いた。
以前部下だった藤原貞嗣は皇后の秘書である皇后宮大夫となっている。
「左大臣が何者かに襲われたそうです」
『やはりそうなったか』不穏な空気が現実的になったが、自業自得と思ってた藤原夏良。
「我々は平常通りに仕事をしましょう」藤原長岡へ言う。
藤原園人の治療が長引き、政務への復帰に時間がかかると二口からの情報連絡があった。
長雨被害で多くの国が今年は不作年となっている。
『弘仁六年十二月 自五月及九月霖雨、諸国多被其害焉』(日本後紀12巻より)
予想して調整池を多数作成していた陸奥には影響は少なかった。
想定以上の雨量の為、治水済の場所でも氾濫による影響があったので、他国の多くは被害が甚大であった。
氷雪庫による昨年の稲は市場に出し、今年の稲は氷雪庫への準備をするのであった。
米の収穫が不安定のため、酒造りは一旦中止している。
そのため、お酒の価格も上がっている。
清酒ではないため保管が効かないのがこの時代のお酒の難点である。
清酒を造るための酵母を探したが、どうしても酵母菌を見つける事ができなく、今に至る。
現状、酵母が付着する様子がなく、発見出来ていない。
いくつかの木の樽を試してアルコール発酵する為の酵母探しをしている。
酵母を使った清酒造りにはもっと後になりそうだ。
藤原長岡が朝堂院右大臣室に入ってきた。
「左大臣を襲った犯人が捕まったそうなのですが、平城京関係者との噂です。」
気持ちを和らげに平城京に行ったつもりだったが、時既に遅かったのか。
藤原長岡と話していると執務室に藤原浜主が入ってきた。
藤原浜主は藤原園人の長男で、右京亮として、右京の警察のような行政であり、亮とは次官級、NO2の位置にある。
「失礼します。ご相談があり、まいりました。」藤原浜主が入ると、藤原長岡をチラッと見た。
藤原長岡は藤原夏良に目配せしたので、出るように無言で顔指示をした。
出て行った藤原長岡を目で追いながら話始めた藤原浜主。
「お忙しい中すみません。良岑右大臣にご助言をいただきたいと思いまして、まいりました」
「お父上の具合はどうですか?」
「矢の傷の治療具合が良くなく、高熱を出して寝込んでおります。お伺いしましたのは、捕えた者ですが、平城京に出入りしていた者という事までは分ったのですが、氏名や身分などが分らず、衛門府への指示を出していただきたい。」
「左衛門督は藤原緒嗣殿ですが、聞いてみてください。恐らく自分が直接調査すると言いそうですが」
「ありがとうございます」
そのまま中納言の部屋まで行く藤原浜主。
予想通り、直接、調査の指示を出すようだ。
数日後、藤原緒嗣が奈良から帰ってきた。
「どうでしたか」
「はい。衛士に確認しましたが、似顔絵に覚えなく、証拠も証人もありません。」
「そうなるでしょうね」
「何かご存知で?」
「いや、平城京から指示があったとしても誰も言わざる見ざるかと」
「確かに。と言うわけで調査は打ち切りとしますが、宜しいでしょうか」
「私が口出す話ではないので、責任者の思うままに」
「かしこまりました」
結局、単独犯行という事で決着した。
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