56.従二位③
【人物】
藤原夏良 主人公 28歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫。
815年 弘仁6年6月16日
河内国、山城国、摂津国で大雨による被害が報告された。
『六月乙卯、河内国澇、脤給乏絶戸』(日本後紀12巻より)
国米庫も被害を受けたと言うことで、陸奥の余剰米を畿内の五国に送った。
そのような中で、右大臣藤原園人は藤原鎌足の時代に給付されなかった一万戸の給付を願って上表している。
左近衛大将の藤原冬嗣に呼ばれ、太極殿に入った。
「よく来てくれた。五国への緊急支援をありがとう。重ねてお願いがあるのだが、此度の大雨と大風被害で朝堂院が被害を受けた。この修繕費用を捻出してくれないか。」帝の頼み事は珍しい。
「かしこまりました。昨年の豊作による在庫が未だありますので、銭貨交換用の稲は確保しておきます」
「助かる。それと、藤原園人の上表はどう考える。」
「150年前の高祖父の話ですので、誰が恩恵を受けるのか、どう分けるのかなど不明確ですし、国内の大雨被害の中で緊急案件は多くありますので、どうでも良い上表は却下すべきと思われます。そろそろ引退させるべきでは?」
「右大臣の意向がまったく分らなくなっている。」
「今回の奉納で、父を昇格していただき、大納言にしていただけないでしょうか。そして、状況を見て、左大臣に藤原園人、右大臣に私を、内大臣に藤原冬嗣としていただければ、牽制が可能です」
「いい案だ。早速詔を出そう。」
「帰りに、朝原内親王と酒人内親王にお会いしていきますので、ご理解の程宜しくお願いします」
「許可する」
奈良平城京の朝原内親王宅へ向かう。
親子でよくお会いしているので、一緒に会えることを考えていた。
酒人内親王(父親:光仁天皇、母親:井上内親王)は桓武天皇妃、朝原内親王(父親:桓武天皇、母親:酒人内親王)は平城天皇妃である。
蘇我系の皇族であり、今回の藤原園人の上表に心穏やかではないと思われるので、労りに訪ねるのである。
住まいは平城京内の旧太極殿に住われている。平安京の太極殿ほど大きくはないが十分な大きさである。
馬で半日程かけて到着した。
「こんばんは、良岑安世と言いますが、朝原内親王に取次願いたい」藤原夏良は門番に依頼した。
しばらくして従者が来たので、後を着いて入っていく。
100年前はここが中心であった。100年一昔と言ったところだろうか。
客間に通された。お二人の女性が待っていた。
「早馬で聞いていましたが、お早い到着でしたね」
「お待たせしては申し訳ないと思い、急ぎました。良岑安世と申します。」
「本当に山部さまにそっくりですね」酒人内親王が近くに来るように手招きした。
※山部は桓武天皇の諱である。
「現帝にもそっくりじゃ」朝原内親王は36才とまだお若く、色気がすごい。
「今日お伺いしたのは、藤原園人の上表の件で、お耳に入ると思い、前もってまいりました。」
正座したまま経緯を説明する藤原夏良。
「わざわざ来たのは、説明のためか?」朝原内親王が疑問を呈した。
「いえ、藤原家総意ではないことをお伝えするためです」藤原夏良の発言に頷く二人。
「隠居二人の為に、わざわざ来ていただき、感謝する」
「いえいえ、まだまだ現政権への影響は大きいお二人なので、直接お伝えしたかったのです」
お酒を置いていき、感謝される藤原夏良。
「これで、懸念はなくなれば良いが」帰りの廊下で、怪しい従者を数名見た夏良は、若干心配を感じていた。
平安京の自宅に夜遅くに到着。馬で少し急いで帰ってきた。
久しぶりに三人の女性に囲まれる。
『やはり我が家が一番良いな』
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