55.従二位②
【人物】
藤原夏良 主人公 28歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫。
814年 弘仁5年12月
経済も活発になり、人も増えた。
そうなると増えるのが悪事である。
横領が増え、横領を隠すために血税である国米倉に火を放ち、横領を隠そうとする不届者がいる。
罪となる事も分かっているが、人間切迫詰まると何をするかわからない。
このような国米横領を防ぐため、陸奥国では管理を細分化して牽制が効くようにしている。
米本位制から貨幣制度へ切り替えたいのだが、時代はまだまだ難しい。
米一束3文固定で陸奥では交換していたが、周辺のインフレが酷くて、大量の貨幣が流入している。
この事から、陸奥国以外との貨幣交換を停止した。
また、貨幣自体が偽造されているものも散見される。両替商も兼ねている事から、1貫として縄で1000文にしたものを全て確認しているが、一般人には区別がつかない事が難儀である。
ついに造貨も中止となった。
数ヶ月前の本殿にて。
「良岑安世よ、銭貨についてどう考える?」
「はい。流通はしているのですが1種類の銭貨では限界があります。庶民と貴族の保有資産の差が大きすぎるので貨幣の多くは貴族が保有してしまい、流通する貨幣が減少する事になります。更に、物価の変動が大きすぎて、同じ春でも年によって1束の米が3文で買えたものが30文になったりと国によっても違いすぎて扱いにくくなっています。現状では労働の対価として銭貨を使う事にとどめ、銭貨製造を止めた方が良策と思われます」
嵯峨天皇には言っていないが、錫鉱山からの錫の量が少なすぎて、自国での銭貨製造には限界があった事と遣唐使減少により輸入も途絶え、流通通貨を発行できずにいた。銭貨の輸入再開と両替商が発展する江戸時代まで出現しなくなってしまう事となる。時代が早すぎた結果であろうか。
「どうするのが良い?」
「銭貨の流通は自然と減少するでしょうから、米、絹、麻と言った現物での交換に戻る事になると思われます」
「ありがとう」
「一つご提案を宜しいでしょうか」
「何だね」
「現在、遣唐使を派遣せず、渤海使のみで交流しておりますが、交易については渤海よりも唐の方がよろしいかと思います。唐との交易を深めてはどうでしょうか」
「藤原園人にも聞いてみよう」
右大臣園人も北家ではあるが、権門抑制派で、意見の対立が多くて藤原夏良とはうまくいっていない。
直接の提言は残念ながら却下された。
『うまくいかないな。養父の昇格を早め、藤原園人を失脚させるしかないのか』
他の貴族を抑制する為にも藤原家を落とす事には躊躇していた。
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