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藤原夏良  作者: m@ho
桓武天皇
5/76

5.従七位下④

【人物】

藤原夏良 主人公 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は藤原冬嗣。藤原北家


伊治 呰麻呂 生没年不詳は、奈良時代の人物。姓は公。官位は外従五位下・上治郡大領。

8世紀後半に陸奥国の族長で、朝廷から官位も授けられていたが、宝亀11年(780年)に宝亀の乱(伊治呰麻呂の乱/伊治公呰麻呂の乱)と呼ばれる反乱を引き起こした。

農民の生活に驚いた藤原夏良は、何故蝦夷人が京に反抗していたかが分かってきたように思える。

律令時代の税制では、京から遠くなればなるほど納める事が大変になり、地方の税に対しても国司が京に無断で徴税する事が多く、紀広純(きのひろずみ)が着任して反乱が起きた原因も税金への抵抗となったものである。17歳以降の男性のみが税金の対象ではあるが、戸籍を拒否している蝦夷の人々の気持ちも分る。

まずは、稲作の改善が急務と思う。


「二郎丸鷹森さん、伊治(これはるの)呰麻呂(あざまろ)に会うことは出来ないかな」


「全員を使って手配します。幸三、全員集合だ」

幸三は半蔵に声をかけながら全員に声をかけた。


「全員、隊長に集合」9人がすぐに集まり、二郎丸鷹森の説明で伊治呰麻呂を探す事を告げ解散した。


「僕も探してきます。伊治城に潜入しますね。」

農民の家に入り、干している服を手に取る藤原夏良。

「突然ですまぬが、貸してもらえぬか。代わりにこれを渡しておく」絹を差し出す。

「絹でがすべ?いいでがす」夫婦で絹を触りながら

、男が答えた。

農民の装いに着替えた藤原夏良を見て鎧を脱いだ二郎丸鷹森は苦笑する。

「潜入には完璧な装いです。似合います。普通の童に見えます」


二人で馬に乗り30分ほどすると、丘の上に陣が敷かれ、石で建てられた長屋と長屋の屋上がテラスになったような場所に長弓を持った兵士が警戒している所に出た。


「伊治城です」「頭に会ってみよう」

歩みを止めない藤原夏良に続く二郎丸鷹森。


「ヒュッ トスッ」5メートルほど先の地面に矢が刺さる。

「何者でがすべ?」城から叫び声がした

「京から逃げて来たものです。親が税を納められずに身売り寸前で逃げてまいりました」


ざわついている様子が伺える。

「入るさ」そう言うと、2階から縄梯子が下ろされた。

「門は無いんですね」

「出入りは無いですからね。弓による攻撃が目的なので。前面は石垣だけです。逆に背後は弱いですよ」

この時代の攻撃は弓が全て。接近戦でも弓で応戦する時代である。馬上戦では薙刀がメイン武器となる戦い。

刀による戦闘はこの時代にはほとんど行われていない。戦には弓矢が飛び交う事で、いかに矢を確保するかが大事である。

縄梯子を使い、なんとか入る2人


先ほど弓で射った男が質問した。

「親御さんは亡くなったのかや?」

「いえ、どこかへ逃げてしまいました。僕らが子供だから大丈夫だろうと。親の考えは甘く、身売りされそうになりました」

「租税はまだいいが公出挙はどうにかせんといかんな。借金の証文の写しはあるのかね。」

「こちらに」今朝方、それらしく二郎丸鷹森が作成した証文。

「500文って。ひと家族分かや。ひどいなあ 5段の畑まるまる位かね」

今の価値で50万円ほどである。

農家の収入は少なく、自炊分は稗粟を育てて生活している状態である。

1階へ案内されると、鎧姿の男性がいた。

「この者達か」鋭い眼光が二人に向いている。

「はい。外から来た2名さ」

「名前を」ゆっくりと重い声で質問された。

「鷹と夏です」


「私は伊治呰麻呂と言う。よろしく頼む。まずは弓で警備をするところから覚えてくれ」

探していた人物が目の前にいた。


二郎丸鷹森はわざと下手に弓を使う事をしていたが藤原夏良は真面目に弓の扱いを教えてもらっている。

今朝屋上から声をかけていた男の名は二平と言った。子供が8人いるらしく、大家族のために反乱軍に加勢したとのことであった。

「男の成人が4人いると4人分の税金、特に公出挙が8段分受けることになる。公出挙で稲籾を受けるが、兵役やら労役で稲作出来る労働がなくなり、公出挙の返済分だけ作付けして残りは食べてしまうのさ」

伊治呰麻呂が背後からやってきた。

「馴染んでいるな。いいことだ。農家の苦労は親御さんを見てたら分かると思うが、蝦夷の農民は京とは比較にならないくらいひどいもものさ。」

藤原夏良と二郎丸鷹森は同意するように頷いている

「蝦夷の民が楽になるならこの伊治城は開け放してもいい」


「改善方法はありますよ」

お驚いた伊治呰麻呂は何を童がという顔だ。

「童には分からないだろう」

「ごめんなさい。元服は過ぎているので、大人として見ていただけるとありがたい。」

二郎丸鷹森が苦い顔になった。


「元服と申したか?農家ではやらぬぞ。お前さんは何者だ?」


頭を下げる藤原夏良

「すまん、貴公を見込んで正直に申す。我は藤原の冬嗣が長男、藤原の夏良と申します。」


「藤原か!」抜刀する伊治呰麻呂

二郎丸鷹森がすかさず間に入り込み、小刀で牽制する。

ピリリとした空気が充満する。


次回は更新日は 2024年11月18日 00時00分 です 宜しくお願いします


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