47.正三位①
【人物】
藤原夏良 主人公 25歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。
【言葉】権門
古代末期から中世の日本において、社会的な特権を有した権勢のある門閥・家柄・集団を指す言葉。
811年 弘仁2年10月
時代は弘仁2年10月まで進んでいるが、少し遡ること2月14日。
時代の転換点を説明しておかないと行けない。
孝徳天皇時代(在位:645ー654)に定められた郡領制度。
元々は功績のあった子孫が就任していたが、延暦17年(798年)に才能基準にした。
これにより、立派な門地の上に才能があっても身分の低い者を置く事となり、郡政に合わない結果が増えている、家柄、譜代を優先。譜代の人を起用出来なくなった段階で才用による任用を行うもの。とした。
才能よりも家柄重視を平然と大納言であった藤原園人が提言し認められている。
『二月己卯、~中略~先尽譜第遂無其人後及芸業者』(日本後記10巻より)
これにより郡司を家柄中心で選ぶこととなり、ますます地方の豪族の力が巨大化していくのである。
家から出ようとしたところ、荷物が届いた。
「どなたからでしょう」藤原雪子が不思議そうに開いていた。
荷を開くと紫色の官服である。
2年前に従三位になってから紫色の官服となっているが、誰からだろう。
手紙には、「祝你好运 金大明」とある(エピソード11、28参照)
持ってきた人夫から聞くと、昨年来た渤海使が人からの言づてで預かったらしい。
巡り巡って届いたとのこと。
恐らく聞いたわけではなく、そろそろ紫の地位になりなさい。
という気持ちだったのだろう。感謝の気持ちでいっぱいの藤原夏良。
自然と涙が湧いてくる。京子と一緒に、おなかの大きな雪子と桜がくっついてくれた。
気持ちも新たに、かき集めた貨幣を入れた大量の瓶を荷台にいれ、牛車で朝堂院へ向かう。
一部の貨幣を鋳銭使へ定期的に渡し、朝廷へ新貨幣として環流している。
前回環流した時に記録されたものが残っていた。『丙戌、鋳銭使用乗銅銭進新銭千四十貫』(日本後記10巻より)現在の10億円ほどである。
朝堂院を通過し、太極殿へ行く。大きな瓶を引いた牛車が目立ち、衛兵に止められた。
そのまま、衛兵に牛車を預け、帝へ会いに入っていく。
「どうした、良岑安世よ」
「いただいたその名前には、未だ慣れませんぬ」藤原夏良は困った顔になり返答した。
「周りから言われて慣れてくるだろう。で?」
「はい、さきほど、門番に二万貫預けてきました。」
「二万貫?それでどうしたい?」驚く嵯峨天皇。
「陸奥をください」
二万貫は今の価値で200億円ほどである。
「なるほど、独立したいのか?」少し硬い表情の嵯峨天皇。
「いえ、対外的には国司として勅令を賜りますが、一筆記載いただき、陸奥国土の所有者を国から良岑安世に変更願いたいのです。」まだ、陸奥国の領土は下賜されていなかった。
「わかった、陸奥国全域五万町分を下賜し、陸奥国司を兼務とする。国への貢献として正三位に昇格する」
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