44.従三位③
【人物】
藤原夏良 主人公 24歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。
810年 弘仁元年9月6日
平城上皇が平城京への遷都を宣言した。
正三位坂上田村麻呂、従四位下藤原冬嗣、従四位下 紀田上が平城京の造宮使に任命された。
元々は式家を勅旨していたが、高子妃からの情報で早くに人員変更の手を打てていた。
紀氏は中立的な立場のため、平城上皇側に立たないとも言えなく、要注意である。
『九月癸卯、依太上天皇命、擬遷都於平城、正三位坂上大宿禰田村麻呂従四位下藤原朝臣冬嗣従四位下紀朝臣田上等為造宮使(日本後紀九巻より)』
朝堂院には激震が走り、平城天皇と嵯峨天皇の両天皇がいる状態となる。
藤原仲成と藤原薬子の内乱、いわゆる「薬子の変」である。
日本後紀の九月十日には薬子と兄仲成の説明が長く記載されているのだが、概略だけ説明すると、
色仕掛けで平城天皇の元にいた官職のない一般人(元春宮坊宣旨)である藤原薬子が勝手に平城天皇の言葉として多くの詔を宣言していた。
薬子の兄である藤原仲成は妹を利用して傍若無人な振る舞いをしていた事が民に恨まれ、
薬子は自殺、仲成は射殺され、平城天皇は出家した。
出兵した平城天皇を抑えたのは坂上田村麻呂であった。
訓練された猛者の軍団の前には瞬殺で全滅された記録が残っている。
弘仁元年9月13日、高岳皇太子を廃して淳和を皇太弟(後の淳和天皇)とした。
父親の冬嗣は従四位上となった。
わずか四日で荒れた天下は平穏となった。
家に帰ると、藤原雪子と桜が飛び込んできた。
「お帰りなさい、ご主人様。皆が話す噂がどれが本物か不安で不安で落ち着きませんでした」
「一旦帰れば良かったな、忙しすぎて帰れず申し訳ない」
「今日は旦那様を独占します。」
「ずるいです。私です」
『なんか、幸せで贅沢な状況だな』全てが平和になり幸せな一時。
「今日は、二人一緒に寝ないかい?」
「二人で一緒ですか?」真っ赤になりながら二人が寝室にかけていく。
『あれ?嫌なのかな?いいのかな?どっち???』
810年 弘仁元年11月23日
嬉しい報告が入ってきた。
「多治比高子妃が従三位を授けられた」
これで安心だが、歴史上は高子妃に子供が出来ないので、アドバイスに行くことにした。
一人だと入場できないので三人でうかがう。
高子妃の寝殿も朝堂院から近いが、初めて入る。
女性ばかりの従者が多く、たまに宦官がいるが、基本は女性である。
「叙勲おめでとうございます」女性二人が祝辞をのべた。
「嵯峨天皇からの寵愛を一番受けていると聞いていますが、なかなかお子さんが出来ませんか?」
「はい。なかなか難しいです。」
「以前にお話しした月のものの記録を見せてください」
多治比家の養子に入る時に記録をするように助言していたのだ。
「なるほど。これでは妊娠は難しいかも」
「どういうことですか?」驚く高子
「月のものが終わってから毎日7日間嵯峨天皇に寵愛を求めて下さい。他の日は不要です」
三人とも驚いている
「私たちも同じですよね?」雪子と桜が興味津々で聞いてくる。
「それは、帰ってから話しましょう」
「はーい」
『二人はやはり可愛いな』と思う藤原夏良
弘仁2年3月、高子妃の懐妊の連絡が来た。
我が家の桜も同時期に懐妊となった。
むくれている雪子が妊娠していないため、現在は雪子とのみ夜を共にしているが、たまに桜も遊びに来る。
「幸せだ」そう一人言を言う藤原夏良。
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