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藤原夏良  作者: m@ho
平城天皇
40/76

40.正四位上⑤

【人物】

藤原夏良 主人公 22歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家


多治比雪子 生没年 789-880 宣化天皇の三世孫多治比王を祖とする多治比家最後の娘。官位は正四位下。夫は 良岑安世。

808年 大同3年4月

藤原夏良邸にて藤原夏良に会いに来たと多治比雪子が遊びに来ている。

「男子の家に一人で来て大丈夫ですか?」

「はい。先日お会いして、母にも覚悟を話して来ました。もし、噂になって嫁の貰い手がなくなったとしても、藤原夏良様だけは私をお助けいただけるものと信じております。先日お会いした時に藤原夏良様の凛々しいお顔と、お心の優しさと強さに惚れ込んでしまいました」


「ありがとうございます。そこまで褒めていただくとどうして良いものか。本気にして舞い上がってしまいます」照れながら応える藤原夏良。


「正直にしか言わないために、時々争う事があるぐらい、私は嘘偽りが嫌いなんです。本当の気持ちしか言えないです。好きな人に気に入ってもらえるように初めて嘘をつくとしても許してください。何言ってるんだろう。ごめんなさい」真面目な顔で怒り、少し混乱してる?多治比雪子。


『可愛いな』そう思っているとつい抱き寄せてしまった。

「あれま」可愛らしい声で少し喜ぶ多治比雪子。

キスしようと顎に手をかける。

「ダメですわ。子供は結婚してからです」

『えっ、可愛い。キスで子供ね』

「はい。そうしましょう。多治比雪子さんは接吻を我慢できますか?」


赤くなりながら答える多治比雪子。

「頑張ります。でも、こうして密接にくっ付きたいです。ドキドキな音がします」 

「お互いの心の音が聞こえますね」

「心地よいです。早く我が家に来てください。引越しはいつですか?」

「従者に任せていますが、急がせますね」


808年 大同3年10月

そんな毎日が過ぎ、結婚式が藤原夏良邸で行われた。牛車に乗り上京側へ行く。金色に飾られた牛車の中では、仲の良い二人がくっついている。

「夏良様」「雪子殿」ずっと笑顔の二人が北上していく。

周辺の人々の活動は激しく、たまに子供が牛車を見上げている。


従者は元夏良邸と多治比邸の者が合流して残ってくれている。

二人の新居は別棟になっており、藤原夏良の手を引きながら家に入る多治比雪子。

寝床には仲良く2つの布団を並べてくれており、際に立つ雪子が振り向き、夏良に抱きつく。

「二人きりになりたくて仕方ありませんでした」

『可愛い子だな』

「妹達には挨拶しないで良いのかな?」

「今日は私が独占すると言ってあるので大丈夫です」

「我慢できません」

手を引っ張り布団へ入る二人。


翌朝、食卓にて、全員が集まった。

四人の女性に囲まれて少し居心地の悪い藤原夏良。

「ご主人殿も慣れないといけませんね」

見かねた母親が声をかけた。

多治比雪子は満面の笑み。

一服した藤原夏良。

「では行って来ます。」

「これからは、お昼に食事を食べに帰って来てくださいね。お待ちしています」多治比雪子が出口までついて来た。妹二人も続き、従者も続くので家の廊下は大混雑である。

「では」出る藤原夏良に手を振る多治比雪子。

門柱には多治比の名を残し、藤原夏良の名も並べた。

数分で朝堂院へ着く距離である。


朝堂院の執務室にて、藤原冬嗣が入って来た。

「良く眠れたかい?」笑顔の藤原冬嗣が聞く。

「はあ、家に帰るのが楽しみなのは良い事ですね」

「そうだな、皇太弟から呼んでくるようにとのご指示で来た」

「わかりました。」

何だろう?

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