36.正四位上①
【人物】
藤原夏良 主人公 20歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家
空海 生没年: 774年ー835年 平安時代初期の僧。諡号は弘法大師こうぼうだいし。真言宗の宗祖。
日本天台宗の宗祖である最澄と共に、日本仏教の大勢が、今日称される奈良仏教から平安仏教へと、転換していく流れの劈頭へきとうに位置し、中国より真言密教をもたらした。能書家でもあり、嵯峨天皇・橘逸勢と共に三筆のひとりに数えられている。
仏教において、北伝仏教の大潮流である大乗仏教の中で、ヒンドゥー教の影響も取り込む形で誕生・発展した密教がシルクロードを経て中国に伝わった後、中国で伝授を受けた奥義や経典・曼荼羅などを、体系立てた形で日本に伝来させた人物でもある。
807年 大同2年4月
平安京の最南端の道、九条大路を東へ行くと
藤原夏良の秘密情報機関「二口」がある
カタカナのニロではなく二つのクチでふたクチである
三重塔の1、2階が事務所、3階が寮に、4階の屋根裏が鳩小屋となっている。
1階の事務所に空海がやってきた。
「久しぶりです。見張もひいたので、やっと来れましたよ。」
「ありがとうございます。ここでしばらくご滞在いただければと思います」
「良い場所ですね。ここにお寺を造りませんか?」
「教えをしていただける方をご推薦ください」
「私がここをしばらく使わせていただき、教えるので、その中から任せる人物が見つかるでしょう」
「それは是非お願いします。先日、伺った目的の一つなのですが、麻疹と豌豆瘡の治療方法を唐で学んできていませんか?」
「麻疹は対処療法で、豌豆瘡は完全隔離が一番のようです。事前に治った人の膿を傷口に塗りこむと予防になるようですが、定かではありません。薬で緩和をするしかないようですが、酷いと他の病気を併発するのと、感染の勢いが強くて抑え込むのが大変のようです。」
「ありがとうございます。やはりないですか」
「ここは何に使っているのですか?」
「情報収集のために活動をしています。朝廷の中ではなかなか正しい情報が入りにくいのです。伝えたい情報は伝わるのですが、伝えたくない情報が伝わらない事があり、貴族の力を監視しないといけません」
「その考えには同意します。私が監禁されている事もそのような貴族の意思が働いているものと思いますし、帝が変わってからは一方的で表面的な勅令ばかりで、国の運営が行き当たりばったり大丈夫かなと心配になります」
「薬学と医療が不足がちになるはずなので、何とかしないといけないと思っています」
「医療というのは?」
「そうか、薬師しかいないのですよね」
「薬以外で病気を治す?」
「刀傷や弓傷などの切傷などや内出血は、薬だけでは治癒が長引きますよね。」
「内出血を治す?刀傷を治す?」
「薬よりも早く治す方法が外科医療です」
「未知の領域だな」
「針と糸があれば、ある程度はご説明できます」
「糸は何でも良い?」
「出来れば鹿の腱で作られた物があると思います」
「毛皮の縫製用糸ですね」
「はい、鹿の腱の糸と針でお見せできます。」
「是非、今度お見せ下さい」
「はい。経験はありませんが、やってみます」
807年 大同2年12月
疫病により多くの官司が死亡したため、補充人員の指導も含みで、三位から五位までの位を一つあげることになった。
疫病は麻疹(ましん、別名はしか)である。
高熱が続くため解熱をすれば一週間程度で弱まってくる。
感染力が強く、潜伏期間が長いため、この当時は家族でかかり、介抱する者がいないため死亡するケースが多いようだ。
「漢方薬では麻黄湯が一番ですが、唐からの輸入でありますよね?」
「数は少ないが、桂皮で代用かもしれんな」
「はい、麻疹に一度かかった人は2度はかからないので、麻疹の病歴がある人が患者の対応をするようにお願いします」
「指示しよう。しかし、薬師の知識はどこで?」
色々な種類の材料を集めて漢方薬を作る、漢方薬師のゲームでなんて言えない。
「本を読むことが多かったからですね」
自分で気に入らない時にはアップしない方向で、毎日のアップは少し諦めます。頑張って通勤時に書いてます!




