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藤原夏良  作者: m@ho
桓武天皇
23/76

23.従四位上②

【人物】

藤原夏良 主人公 15歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家

翌日、河内国で阿弖流爲と母禮の刑が執行された報告を受けた藤原夏良。

大弁官となり、平安京内の朝堂院(ちょうどういん)で執務を覚えていた。

報告をうけ、「少し用事があり、出かけます」

従者へ言うと、歩いて執務棟を出た。


東へと乗馬して清水寺へ向かう。


清水寺では坂上田村麻呂将軍が千手観音に拝んでいた。

「こんにちは、坂上将軍、報告があります」

「斬首された事は報告を受けた。一人にして欲しい」


「蝦夷人の罪人は斬首されましたが、罪人ではない阿弖流爲と母禮は蝦夷に向かっています」


「えっ、どういう事だ?」驚きと喜びの顔になった


「私が何故、右弁官の所属を申し出たと思いますか?」

「すまん、全く話についていけない」

放心状態の坂上将軍に笑みを浮かべている藤原夏良。


「順を追って説明しますね。まず、私が蝦夷から戻るときに、河内国へ蝦夷の罪人を送りました。阿弖流爲と母禮は途中で蝦夷行きの酒樽と一緒に運ばれて行きました。河内国の国司は親戚の藤原道雄ですので、事前にお願いにしていた罪人をこちらから送った空の馬車に乗せ、大弁官としての指示書により阿弖流爲と母禮の身代わりとして蝦夷罪人を河内国の山奥で処刑しました。戸籍上は阿弖流爲と母禮の名です。以上で一件落着です。」


「阿弖流爲と母禮はどうするんだ?」

「志波城に向かいました。志波城の従者として仕えます」

「志波城の城主は?あ、俺か」

「何とでもなりますよね。彼らが生きていれば、蝦夷は平定だと思います。彼らが死んだ事になれば貴族も調べる者はおりませんのでご安心ください」

「いつから計画してたのかね?」

「私が蝦夷から戻る時です」

(エピソード16参照)


「帝への報告は?」

「陸奥国司は坂上将軍なのですから、怪しい者が志波城へ向かった事を報告しなかった事ぐらいの事なので、問題のない事かと思われます」

「まあ、確かにそうだな」

「それでは、朝堂院へ戻ります」

「報告をありがとう」坂上将軍が藤原夏良に頭を下げた。

笑顔で応えると、颯爽と馬に騎乗して去っていった。


清水寺から朝廷へ帰り道、商店の前で争いが起きていた。「何で売ってくれないんだ」

「申し訳ありません。全て予約でいっぱいでして」

「嘘をつくな!俺に入りたくないだけだろう!主人を出せ!」

叫んでいる所に槍を持った役人が数名来て取り押さえた。

藤原夏良は商人の近寄った。


「どうしたんですか?」

「最近どぶろくに呑まれて、酔っ払って買いにくる人がたまにいるんです。主人の方針で酔っ払いには売らないようにとのお達しなので、売った方が利益にもなると思うのですが、お騒がせしました」

何処の商店かと思ったら、二郎が奥から出て来た。

「あれ?二郎さん、どうしたの?」


「ええ、今は商売が楽しくなっちゃいまして、ここでどぶろくの販売をしています」

「おお、いいですね、お酒以外にもそばや天ぷら、小料理とかも併せてやるといいかもですね」

「それ、もらいました。早速考えます。ではまた!」

颯爽と戻って行った。

蕎麦屋の初まりである。

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― 新着の感想 ―
>そばや天ぷら 今の形の蕎麦はそば切りと言われ戦国期に書物に登場します。 天ぷらは文献で登場するのは江戸時代ですね、米粉で上げた物は以前から存在していましたが油が高級品ですので一般的ではありません…
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