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藤原夏良  作者: m@ho
桓武天皇
22/76

22.従四位上①

【人物】

藤原夏良 主人公 15歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家


藤原道雄ふじわらのみちお 生没年 771-823 奈良時代から平安時代初期にかけての公卿。藤原北家、大納言・藤原小黒麻呂の四男。官位は従四位上・参議。

西暦801年 延暦20年12月 平安京内裏で桓武天皇へ説明する大伴弟麻呂(おおとものおとまろ)

「是非、最澄と空海に見聞を広めて来てもらいましょう」

翌年の予定だった遣唐使だが、蝦夷討伐に人員を費やした影響で造船が間に合わず、最終的に渡ったのはさらに2年後の延暦23年になる。

「阿弖流爲達を平安京へ呼び、彼らの意見を聞いてみよう」

「かしこまりました。手配します」坂上田村麻呂将軍が答えた。

時代の流れを変える事は出来るだろうか。

坂上田村麻呂陸奥国司が陸奥介である藤原長岡に伝令を送っていた。

藤原夏良は親戚の藤原道雄に伝令を送っていた。

「さて、藤原夏良と言う方がいいかの?」

「はい。ご配慮痛み入ります」

「配属されたい所はあるかの?」

「出来れば右弁官に所属したいと思っております」

「分かった。右大弁官に任ずる」

「えっ。右中弁官ではなくですか?」坂上田村麻呂が確認した。

「ダメかの?」

「大弁官は従四位上の役職ですが、前例がまったく無く分かりません」

「と言うと?」

「神野親王と同じ歳なので現在15歳であります。

皇族以外で15歳の大弁官となると初めてですので」

「今までの功績を考えたら問題ないのでは?」

「はい。私は良く存じ上げているので問題ないですが、軍部以外の方からは多くのご意見をいただくことになる事はご理解ください」

「文句があるなら私に言ってこいと。一喝してやるわい」


西暦802年 延暦21年7月 阿弖流爲と母禮が平安京に上がって来た。

平安京の人々はどんな恐ろしい者が来るかと思っていたが、ひょろっと背が高い好青年を見て、不安の雰囲気から平和の雰囲気へと変化していた。

謁見は大極殿で行われた。

多くの貴族が見守る中で、縄で拘束された2人、軍人8人が取り囲む。過剰防衛かと思うが、帝との謁見であるから当然とも言える。


「皆の者、ご苦労。阿弖流爲よ。何故反乱を起こしてたのか教えてほしい」


「私が起こしたわけではないが、攻め立てられ、同族を拉致されてるのだから反撃は当たり前だと思うが」

「不幸が重なったと思っている。今後は蝦夷に編入する事になるが、承諾できるか?」

「そこにいる坂上将軍の部下とも約束したが、人民の地位さえ守って頂ければ私の命も献上しよう」

ざわつく構内。

あえて無視した桓武天皇。

「2人の対応は今後の沙汰を待て。蝦夷の人民もどこの国の人民も平等である事を約束しよう」

感謝する2人を置いて帝は下がった。

下がる頬には冷や汗が滲んでいるのを見て続く神野親王。


平安京内裏で再度、桓武天皇、神野親王、坂上田村麻呂将軍、藤原夏良大弁官が集まった。

「ダメじゃ、阿弖流爲と母禮を生かしていたら二人の事が明るみになってしまう。斬首せよ」

「しかし、蝦夷の平定が危ぶまれます。蝦夷の英雄を斬首は御検討下さい」

「坂上には悪いが、曲げられん」

不満の坂上将軍は藤原夏良を見た。

「大弁官も同じか?」「はっ」と答えた顔を見て呆れた顔をした。

「勅令でしたらやむを得ません。従います」


「京では混乱する。河内辺りで執行せよ。河内国司は?」

「藤原道雄です」


準備が終わり、時間をかけずに馬車に乗り、河内へ送られる阿弖流爲と母禮。

「申し訳ない」坂上田村麻呂は二人に謝罪した。

無言で頷く二人。

「蝦夷人民をお願いします」そう言い残した二人。

馬車は東へ向かった。他の酒樽を積んだ馬車並びながら遠くなる。


坂上将軍は無言で東へ歩いていく。

背中は悲しげで泣いている。

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