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藤原夏良  作者: m@ho
桓武天皇
2/76

2.従七位下①

【人物】

藤原夏良 主人公 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は藤原冬嗣。藤原北家


二郎丸鷹森 生没年:784〜806

平安時代の武官。坂上田村麻呂に仕え、桓武天皇の護衛としての記録があるが、没年の状況は不明。

父親に報告した翌日、彦兵衛が起こしに来たときに、官服を持ってきた。

浅緑の官服である。

「昇格を報告していないのに情報が早すぎるだろう」独り言を言って起き上がった。

「流石です。藤原家の当主として当然かと。」彦兵衛が呟いた。


今朝も快晴である。

「鈴鹿疾風からの使いが来ています。通しますか?」彦兵衛が伝える。

「ああ、お願いします」官服を着ながら返答する。


「失礼します。二郎丸鷹森以下9名。軍師からの伝言とご挨拶に参りました。」彦兵衛に連れられてやってきたのは15,6歳程の男性

「藤原夏良です。年下ですが宜しくお願いします」頭を下げて答えた

「軍では年齢は関係ありません。気にせず指示ください。軍師から上野国群馬駅にて集合と言われています」

「期限は?」

「7日以内と」準備に1日移動に4日でいける距離だ。

「随分準備をしっかりしろということですね。彦兵衛、食料を多めに用意。10人分保存食をお願い」


「二郎丸鷹森の出身は?」

「太宰府からきました」「南から蝦夷への遠征か。」

土間の隣の大広間に二郎丸達を連れていく。広い広間で、土で固められている上に藁で覆われている。

「1日だけなので、ここを使ってもらえれば。近くに家があるなら家からでもいいし。自由に使ってくれ」

「仮宿舎にさせていただきます。ありがとうございます。」

彦兵衛が簀の子に名を書いていく。一度言われただけで記憶力がどうなっているのか不思議である。

二郎丸鷹森

幸三

半蔵

虎五郎

勝次

太郎

鈴星

継人

竹良

家無

二郎丸以外は家名は無い。村名と名前で個人を特定できる時代。位を持つもの以外は家名を必要としていなかった。 

二郎丸鷹森が部下9人を連れてきた。

「ありがたい。屋外での野営が大半なので。室内は久しぶりです。風切りの半蔵と申します。」

「良かった。長屋を用意出来なくて申し訳ない。」

半蔵が驚いたように。

「とんでもない、十分な高待遇です。」

「出身はどこなんですか?」

(それがし)は伊勢國になります」荷物を下ろしながら半蔵が答える。

「隣国ですね。海もある国と聞いています」

「はい。北は東山道に面し、南は豊かな海に面しています。」

「村は北側ですか?南側ですか?」

「北側にある関津村という場所です。東山道から少し離れたところにあります。ここからだと3刻あれば着きます。」今の時間で6時間程である。

日が暮れて、涼しくなった頃、大広間の竈門に火を入れる彦兵衛。

藤原夏良は自室で今回の遠征を記録していた。


早朝、雀が田んぼの脇で落ちている穂を啄んでいる。

「おはようございます。」

家の前で準備運動する次郎丸鷹森が言うと、全員が立礼をした。

藤原夏良の後ろから彦兵衛と女中が竹皮で包んだ弁当を配っている。配り終わったのを見ると「さあ、行こうか。」と声をかけて歩いて行く。

二郎丸鷹森が先頭、藤原夏良、幸三以下8人の後に彦兵衛と山羊が荷物を持って移動している。


昼を過ぎた頃、伊勢國の関所を通る。

平民や商人が通る時には何もないが、軍備の隊を見ると緊張感がある。

数人の槍を持った兵が関に詰めて通行を止めた。

関所詰の役人は浅緑の服装。藤原夏良と位はさほど変わらないようだ。

「所属と目的地を」と役人から言われ、二郎丸鷹森は軍札を見せ、

「坂上田村麻呂将軍が配下12名で近江国瀬田駅まで」と報告。

聞いた役人は薄い木の板に墨で書いていく。

どうぞと言わんばかりに手を出すと、緊張していた関所の軍人は通行できるようにバラバラになる。

全員一礼すると関を通った。

国境には大小の関が設けてあり、反乱軍などの移動の抑止を目的としていた。

(みことのり)によるものでも緊張しますね。」

藤原夏良が二郎丸鷹森に言う

「ええ、敵対勢力が偽情報を関所に流している場合がありますので注意が必要です。」

「どんな偽情報を?」関所の役人前を通り過ぎてから確認する藤原夏良

「簡単なのは、反乱軍が発生。京都へ向かっている。等ですね。都へ向かってようが離れようが関所には関係ないので、下手をすると一時的に拘留される事もあります。」横にいた虎五郎が答えた。

「ありがとうございます。えっと。」

「武蔵国小川村の虎五郎です。よろしくお願いします」お互い会釈をする。

二郎丸鷹森に近づく藤原夏良

「皆さん色々な国から来られているんですね。」

「そうなんです。優秀な者を集めていたらこうなりました。」

「若輩者の私には、皆さんは頼もしい限りです。」本心からでた言葉であった。

萩原宿に着いた時には結構遅かった。

その後、中津川宿、平井宿と通過して目的地の上野国群馬駅に着いた時には4日が経っていた。

「私の足が遅く、皆さんの負担になってしまいました。申し訳ない」藤原夏良は皆に謝った。

「いえ、急ぐのであれば馬を使いました。全員の訓練のつもりで行っているので問題ありません。特に、7日以内の集合なのですから軍令通りに来たわけですから早いぐらいです。まだまだ部隊は集まる予定ですし、気にせずに。」二郎丸鷹森は気を遣って話している。

予定まで3日あるため、自由時間との伝令があったが、藤原夏良は体力作りのため、赤城山との往復を行っていた。


「おはようございます。」ストレッチをしている藤原夏良に半蔵が声をかけてきた。

「体力作りなら手伝いますよ。」

「ありがとうございます。」

「効率的な体力作りには夜にご飯中心、朝と昼は豆腐や野菜が中心だと良いと思います。」


タンパク質と糖質のバランス生活を自然と覚えたようだ。


体力作りをしている中、屈強な者たちとすれ違ったりと、徐々に軍へ集まってくるのがわかる。

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― 新着の感想 ―
>朝と昼は豆腐や野菜が中心だと良いと思います。 この時代、豆腐は高級料理だと思います、毎日食べれるものでは無いでしょう。
京から群馬まで歩いて4日とかありえるんでしょうか? もっとかかるかと思ってた
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