16.正六位下④
【人物】
藤原夏良 主人公 14歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は藤原冬嗣。藤原北家
阿弖流為 生没年:生不明-802 8世紀末から9世紀初頭に陸奥国胆沢(現在の岩手県奥州市)で活動した蝦夷の族長とされる。史実にはじめて名前がみえるのは、古代日本の律令国家(朝廷)による延暦八年の征夷のうち巣伏の戦いにおいて、紀古佐美率いる官軍(朝廷軍)の記録中である。その後延暦二十年の征夷が終結した翌年胆沢城造営中の坂上田村麻呂の下に盤具母禮とともに降伏し、田村麻呂へ並び従い平安京へ向かい、公卿会議で田村麻呂が陸奥へと返すよう申し出たことに対して公卿達が反対したため河内国杜山(椙山、植山とも)で母禮とともに処刑された。
まだ14歳の男からすると大きな武人である。
「伊治呰麻呂氏から聞いている」
「伊治将軍はどうされていますか」
「蝦夷の平定を祈願しに仏門に入ると言って出かけられた。最後の言葉は、『藤原夏良が最後の望みだ』と言う言葉でした」
「陸奥国の行末を期待しているのですね」
「貴君は陸奥はどうなっていくと思う?」
「長い年月で大きく変わりますが、強大な国になっていくでしょう。豊かになり、幸せな日々が待っていると思います」
「辺境の地には厳しすぎる律令制度はどう考える?」
「国司と郡司が機能していれば問題ありませんが、私欲に溺れる者がいると中央の目が届かない場合には不正が蔓延ります。まさに伊治将軍の反乱の原因もそのような事かと」
後に残る記録には国司と仲が悪かったように残っているが、全てが事実かは不明である。
「そんな中央に従う必要があるのか?」
「不服があるなら、上申すべきです。他の手段がありながら武力による事は間違っています。武力によってしまうと民族自体が話し合わずに武力による、好戦的な民族であると言う風に思われ、友好関係が結ばれ難くくなります」
「軍事的な事は申し難いのですが、現在胆沢城への戦闘準備があります」
「わかっている。中央にも友人はいる」
「規模が大きすぎて、本格的に抗戦する前に降伏いただかないと、全滅の可能性があります」
「その時に考えよう。どんな勢力が来ても我々を簡単に破れるはずはなくてね」
4万の兵が来ている情報はないだろう。
知っていたら我々を入城させないと思われる。
「森の中では強敵なのは知っています。ただ、それ以上に協力な数での軍勢ですし、坂上田村麻呂将軍と部下の強力な軍隊のある事をご理解願います。
また、一度戦闘に入れば、残念ですが私も相対さなくてはいけなくなりますので、ご容赦願います」
「理解している」
「最後にお願いがあるのですが、阿弖流爲将軍と母禮将軍に似た犯罪者の方がいればお引き渡し願います」
「どう言う事だ?」
「最悪な状況を想定した影武者要員です」
「選別しておこう」
「来年雪解け前に、東山道沿いの村は半年は奥地へ疎開して下さい。」
「気にしていただいてありがとう。配慮します」
「軍隊がここまで攻めてきたらもう諦めてください、確実にここまでは攻め入ります。手前の森の防衛は今までのように防げるとは思わないでください。鈴鹿軍師がいる以上今までとは全く別世界の話と思った方が良いです。」
藤原夏良は城から追い出された。
「どうぞ」武器を手渡されたので受け取り、門へ向かっていく二人。
二ヶ月後、雪解けが始まり兵士が集まってきた。
「さすがに四万人はすごいな」今治城周辺が兵士で埋まっている。
坂上将軍が金ぴかの装備でやってきた。
「ご苦労様、準備ができ次第出陣する」