あなたが夕日に鳴いたとしても
あなたが言った言葉は私には聞こえた。
夕日がきれいだね
と
でもあなたは知らない
夕日に泣いたとしても変わりはしないことを
私が夕日に泣いたとしても
ただ虚しさが広がるだけなのに
私が夕日に泣いたとしても
赤い世界に靄がかかるだけなのに
あなたが夕日に泣いたって
濃い灰色の雲の隙間は埋められないのに
もう戻らないのに
私があなたに叫んだって
この声を聞いてくれるのはあなただけ
泣いたって 嗤ったって 叫んだって 流したって
私はただただ夕日に泣くだろう
あなたが夕日に一声泣く
それは虚しさと悔しさを固めた灰色の塊を晴らしてくれるのだ
あなたが夕日に向かって飛び立つ
その影は悠々しく広かった
黒かった
あなたが夕日に泣くのなら
私もともに泣きたい。
あなたが夕日に鳴いたなら
私は今日もそれを聞きながら歩く。
今日もあなたは私の頭の上の空で泣いている。
あなた=カラス