AM11:03
二重埋没したときの整形レポです。これからやりたい人の参考になればいいし、整形した人って自分の顔どう思っとるん?って人にも向けてます。
整形をした。
約二ヶ月前のことである。何としても我が子に人並みの幸せを、女の子としての喜びを、といきり立った母の大爆走の結果、私の瞼には一本線が出来た。ここで「暴走」と言わなかったのはこれでも彼女には感謝しているからだ。
私の精神がなかなか危ない状況にあることは一つ前の文とかを読んでもらえればわかると思う。私はどうせ線路に落ちた汚れたペットボトルですよ。
高校卒業までの18年間、私は非常に残念な容姿のままで人生を送っていた。メンタルがガタボコなのも四割はビジュアルのせいである。
せめて目が大きければ、鼻筋が通っていれば、もっと小柄で可愛らしいシルエットなら……と日々グズグズと泣き、布団に丸まり、取り敢えずゲームでバチバチに美しいアバターを作り上げて暴れていた。せめて化粧の勉強でもしろよと言いたい。
そんな娘を母は当然心配する。「この子の母」というよりも「女の子の母親」であることに対する意識が強い彼女は、思春期女子がほぼ確実にぶち当たるこの「どうせ私なんて」という壁をぶちのめしたいと考えていたのだろう。実際、若い頃に美しい幼馴染達と比べられて辛い思いをしてきたらしいし。見た目に関するコンプレックスという点において、彼女は全ての女の子の味方である。
看護師として現代の医療の発達を体感してきた母は、ある日突然私に美容外科を予約するように言った。「麻酔やだぴえん」と喚く私のことなどもうお構い無し、ほぼ半ギレの状態である。ガチ病みキノコのせいで家にカビを生やしてなるものか、という全力の圧には当然屈するしかない。
そして去る九月の六日、誕生日を目前に控えたその日、私はそれまでの顔面におさらばを告げたのである。
ここからは整形レポだ。
まずはカウンセリング。瞼にご立派なラインの入ったカウンセラーさんに大まかな希望を告げ、その後医師の診療で具体的な線の位置や皮膚の状態の確認。その後また別室でプランや金銭の確認があった。
当初は最安値のプランを希望していたものの、母の「いったれいったれ」の精神のおかげで最高値のものに変更になったのは笑い話である。娘の見た目についての情熱が凄い。
私は今まで手術も入院も未経験の健康優良児であったため、非常に緊張していた。まさかの当日施術にはなったが、18年間付き合ってきたこのファッキン一重に別れくらい告げたい。でもそうこの世は上手くいかない。座る間もなく手術室に御連行と相成ったからである。なんでじゃ。こういうところは待たされるのがお決まりじゃないんか。
この後の手術準備が人生で一番緊張したと言っていいだろう。怖すぎた。顔を洗って待たされて痛み止めを飲んで待たされてカルテを撮って待たされて二重の位置を確認して描き込んで待たされた。この待たされタイムがあまりに多いし長かった。あと何気にガイドラインを引くペン先や器具が痛かった。もっと優しくして!と口出ししなかったのはビビり倒していたからである。
その後横になって笑気麻酔のチューブを鼻に差し込み、ドラマでよく見る布を被せられた。
この笑気麻酔が誠に素晴らしい。吸い始めて五分ほど経てばもう体がぼんやりとしてくるのである。意識が、ではない。話しかけられれば応答できる。ただ、体が究極のリラックス状態に突入するのだ。動かすという考えがなくなる。
その後目薬をさし、瞼の裏表に麻酔を打つ。
瞼の裏の麻酔は確かに痛みはあるものの、手の甲を爪で抓られた程度であった。数秒で治まるし18年間の悲しみに比べればこんなの屁でもない。「お前ブスだよな」よりずっと優しいものである。
ここまできたらもうずっと臍の方を見続けるだけだ。指示があったら目を閉じて、また下を見る。ちなみに、視界はプールの浅瀬に寝転んで目を開けた時のような、ぼんやりとしたブルーであった。
手術が終わった後、腫れた瞼もそのままに親の元へ帰った。私がビビっている間、彼女はスタバでのんびりカフェオレを飲んでいたという。
この時の帰路は文字通り輝いて見えた。
瞼の不自然な腫れは人目を引いたし、主に女性からの冷たい何かは感じる。まるでゲームでチートがバレた時のようだ。やったことないけど。
それでも私の足取りは軽く、世界のネオンは煌めいていた。
私は戦いに勝利したのだ。まず顔面に絶望して自殺しなかった。整形代を出してくれる経済力のある親の元に生まれてこられた。怖かったけど頑張った。
やってみると世の視線など気にならぬものである。大切なのは結果、天然だろうと人工だろうと変わんねえのだ。幸せならそれでOKです。
死にたいのは変わらないが、見た目が原因として挙がることはもう無くなった。それだけでも充分だと出資者である母が笑うので、この整形は大成功だったと言っていいだろう。
ここまでが私の整形レポである。そしてここから先はその後、つまり今のお話だ。
疲れたからまた次の機会にするけども。
終わり方雑でごめんなさい……疲れたの……すぐ書くから許して……。