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第4話 元神童、モフモフ理想郷で超レベルアップ(後編)

 

 どさっ……


 夢のような数秒間……わずかな浮遊感と甘美な唇の感触を残して、僕の視界はクリアになる。


「っっ! 大丈夫かリーノ! お前、魔法陣に飲み込まれて……!」


 真っ青な顔をして相棒のランが駆け寄ってくる。


 視線を上げると、周囲に広がっていたのはファンシーな森ではなく、たくさんの木々がうっそうと茂る見慣れた森。

 先ほどランが真っ二つにしたボスマンドレイクもそのままだ。


 どうやら、こちらではわずかな時間しか経っていないらしい。


「はぁ、どうやら無事みたいだな……一体何があった?」


 わきわきと両手を閉じたり開いたりしながら最高に好みだった獣人少女……ララィラの犬耳と尻尾の感触を思い出す僕の様子を見て、ひとまず無事であると判断したのだろう。


「……”召喚”された先は理想郷だったんだ」


「……は?」


「超かわいいふわふわモフモフ召喚術師の獣人少女が、僕を抱きしめてくれた……!」

「それだけじゃなく、きっ、キスまで……ああっ……これだけでしばらく気持ちよく寝られるよ」


「……深刻な精神汚染の兆候があるな……ベニート神父に治療の手配をしないと」


 いまだ呆けたように夢見心地な僕を見て、危険と判断したのだろう。

 教会に連れて行こうと手を伸ばしてくるラン。


「……って、マジなんだってば!」

「僕は異世界の召喚術師に召喚されて…………って!?」


 マンドレイクの毒にやられて錯乱していると思われたのだろう。

 気のせいか、いつもより体が軽い。


 だけど立ち上がった瞬間、僕の両目はとんでもないものを目撃する。


「シザー……ハンズ……?」


 僕たちの背後に音も無く近寄っていたのは、巨大な蟷螂(カマキリ)型のモンスター。

 てらてらと体液に濡れた大鎌が禍々しい。

 この辺りではめったに出現報告の無い、Bランクモンスターである。


 僕なんかが戦えるレベルじゃないし、ランでも難しいだろう。


 かわすことのできない必殺の間合い。

 地獄の大鎌が僕たちを両断しようと大きく振り上げられ……。


「くっ……!」


 とっさに右手を突き出す……コイツを倒すにはBランク魔術しかないっ!

 僕のレベルでは使えるはずのないBランク爆炎魔術……その名前を思い浮かべた瞬間、なぜか右手から複雑な術式が展開される。


「えっ……まさか?」


 ありえない……だけど迷っている暇はない!

 僕はありったけの魔力を術式に注ぎ込み、叫んだ。


「フレア……ブラストっ!!」


 ブワッ!


 その瞬間、膨大な熱量の固まりが右手の先に生まれ……。


 ズドオオオオオンンッ!


 火の玉、というには生易しい赤熱の暴力がシザーハンズを焼き尽くした。


「…………マジか」


「…………」


 シザーハンズの燃えカスが静かに降り注ぐ中、呆然と自分の両手を見つめる。


 グレートソードの柄に手を伸ばしたまま固まっているランと僕は全く同じ表情をしているのだろう。


「まさかまさか、僕……レベルアップしている!?」


 あわてて自分のスキル一覧を確認する。


 ■爆炎魔術

 【ファイアシュート】

 【ファイアブラスト】

 【フレアブラスト】

 ……

 フレアバースト

 ■氷雪魔術

 【アイスシュート】

 【アイスブラスト】

 ……

 フロスト・ストーム

 ■剣技

 【追加斬り】

 【魔法剣LV1】

 ……

 ハヤブサ斬り

 ■レベル:30


「えええええええ!?」


 思わず飛び上がって大声を上げる。


 スキル一覧のうち、3分の1ほどが使えるようになっている。


 なにより、燦然と輝くレベル30の文字……レベルアップ出来ないはずの僕は、ベテラン冒険者と言える水準まで一気にレベルアップしていた。


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