すわんぷ!
「苦戦しているようだな手を貸そう」俺は男の子なら一度は言ってみたいセリフを言いつつ襲われているキャラバンに走り寄る。
「悪い助かる」冒険者がゴブリンを払いつつ荒い息で返す。
相当お疲れのようだ、「ぐぎゃっ、ぐぎゃぐぎゃぐー」なんかゴブリンが喋っている。
すると2匹のゴブリンがこぶし大の石を俺に向かって投げてくる。
おいおい冗談じゃない石なんか投げられたらまずいんじゃないかな。
俺は達人でも何でもない駆け出しの冒険者もどきだ、俺が複数のゴブリンから飛んでくる石を華麗にスルー出来る訳がない、いずれは当たる、それも致命傷になりそうな場所に当たる、間違いなくそんな気がする。ゴブリンだって頭とか狙ってるみたいだし。
しかも死角に回り込もうとしてるぞ、「ざっ」石を踏み込む音がしたと思ったら目の前にこん棒が迫ってむる。
「びゅっ」目の前をこん棒が通り過ぎる。
「どがっ」俺の背中に握りこぶし大の石がヒットするが必死に耐える、今気を抜けば俺が死ぬ。
こん棒を持ったゴブリンに応戦しようとショートソードを下から振り上げようとした、「ざんん!」
目の前のゴブリンの首が飛んでいく、その後ろにさっきの冒険者が剣を振り抜いていた。
「悪い助かった」「おう」短い言葉を交わしつつ周囲のゴブリンを警戒する。
3匹のゴブリンによる連携攻撃は1匹が倒れた為、ここで一旦途切れる。
俺は辺りの状況を素早く見まわし状況をアップデートする。
ゴブリンの武器は基本こん棒と石だ、だが倒したキャラバンの隊員から奪った剣を持っている奴もいる。
ゴブリンはヒットアンドアウエイで攻撃を繰り返しむやみに突っ込んでは来ない、しかも3匹一組で攻撃を分担している、とても手ごわい。少しづつ削り取る戦法のようだ。
しかしキャラバン側にも弓で攻撃をする冒険者もいる、「ぐぎゃっ」ゴブリンの一声で木の陰に隠れていた複数のゴブリンから弓の冒険者に石が投擲される。
咄嗟に対応できず弓の冒険者にドコドコと石がヒットする、さすがに防具をまとった冒険者に石の攻撃は効きにくい・・・・のか? あ、倒れた。
どうやら当たり所が悪かったみたいだ。
「ぐきゃっぐーぎゃぐぎゃ」繁みから複数のゴブリンがじりじりと身を構え詰め寄ってくる、遠距離攻撃を失ったキャラバンは完全に囲まれた。
普通ならこれで詰みなのかもしれない、しかし俺がいるからな。
「サークルスワンプ!」なんか適当な感じで近くに落ちていた小枝を持ってそれらしく両手をあげて唱える。
そして小枝をくるりとひと回しする、するとゴブリンの外側に黄色い地面がドーナツ状に出現した。
さらにもうひと回しする、今度はゴブリンの内側に黄色い地面がドーナツ状に出現する、そして最後に前後を黄色い地面に挟まれ逃げ場のなくなったゴブリンをサークルを徐々に太くして両側からゴブリンを追い詰めていく。
「どぷん どぷん」ゴブリンが黄色い沼に落ちからめとられていく。
そして全てのゴブリンが沼に沈み見えなくなる。
「オーケーグーッ」違う違う「オーケーサークル、解除」と適当な呪文を唱えて黄色い沼を閉じる。
安全が確認されて一息ついた所、俺に一人の40代ほどの男がやってくる。
「いやあ助かりました、とてもお強いんですね魔法使いの冒険者さんですか、ありがとうございます」
まあ別に俺は魔法使いではないただのダンジョンマスターだ、あれはダンジョンの肥溜めトラップの上に入り口を作ってゴブリンを落としただけだ、ゴブリンは相当強かったらしくダンジョンポイントも結構入ってきた、とは言ってもまだまだ足りないもっと稼がねばいけないのだよ、背中痛いです。
俺は四十のオッサンから革袋を手渡される、もちろん中身は金銭だ、こういう時冒険者には相場が決まっている、そうしないと命の恩人だとかキャラバンの荷物が全てパーになっていたとか言われてとんでもない額を吹っ掛けられる可能性があるからな、実際そういう事例が過去にあったから相場が細かく決められた。
冒険者への依頼者はキャラバンである事も多いから信用問題的に必要なんだろう。
その後キャラバンの複数の人に色々と情報を聞いて回る。
こうしてキャラバン救出助太刀大作戦は成功したのだった。
つづく




